
先行運営されているECオーナーは、どのような過程を経てサイトを立ち上げたのか?
制作過程での悩みや葛藤にはどんなものがあるのか?
ライター業を営む傍ら、自身でECの運営代行やwebサイトのディレクションも行う筆者。
そんな筆者が、実際業務にかかわったECサイトの制作過程や、挫折・売り上げ目標をクリアしていく様を赤裸々にご紹介する体験談。
▼前回の Episode4 はこちら
今回の記事では、ECサイトの神髄。
ずばり“商品が売れていくきっかけづくり”に絡むエピソードをお届けしたいと思います。
◇ Contents ◇
そもそも万全だったとは言い難い集客施策
ECサイトのECは、Electric Commerce:電子商取引の略。
インターネットを通じた、仮想店舗のようなものだといえます。
つまり店舗である以上、売れる・利益を上げることを目的に運営するわけですが、これが中々にむずかしい。
品物をお客さまに買ってもらうことは、単純なように見えて一筋縄ではいきません。
- そもそもサイトの存在が知られていない
- 買いにくい(カートへの動線設計が悪いなど)
- 商品や送料が高い
これは、この連載で紹介しているサイトも同じ。
「商品が売れない」ということは、それなりの理由がある訳です。
そもそも広告施策をしていないことが大きな間違い
我々のサイトが当初売れなかった理由、

EC運営を始めるにあたり、クライアントには何度も広告を出すように進言しました。
けれどこのサイトの場合、最低でも半年間/月間20万円の広告料が掛かると知って尻込み。
どうしても首を縦に振ってもらえませんでした。
クライアントのお取引先の方々は買ってくれたが…
集客施策が十分でないまま、サイト運営を開始。
オープン後一週間は、わずかですが品物は売れました。
ただこれは、クライアントとお取引のある銀行関係や企業の方々が、お付き合いで購入されたもの。
スタートアップ時に少数ではあるものの、商品が売れたのは出荷対応やオペレーションの見直しに役立ちましたが、利益としてみると焼け石に水です。
運営開始から2週間、次第にサイトの活気がなくなり売上ゼロの日が増えていきました。
サイト立ち上げ時は、カート機能の売上管理画面とにらめっこするのですが、もう見事にゼロが並びます。
そうなると早晩、「テコ入れをしよう!」という話になるのですが、この時点で売上がない事もあり、クライアントの担当者は費用の掛かる施策提案には首を縦に振りません。
もっと早く広告導入を試みていれば成果も早く出ていたはず
実は何年かあとになって、有料の集客施策の代表である広告展開を行うのですが、開始後直ぐに結果が出たことを思うと、この時点で広告は導入すべきでした。
今思い返してみると、クライアントはサイト制作と運営にかかる費用は想定していたものの、広告費用は想定外だったのでしょう。
ですので、新たに会社に広告費計上の稟議を通すのが難しかったのかもしれません。
さらには担当者の先入観も、広告導入の障壁となりました。
人は自身の行動基準が、他の人にも当てはまると思いがちです。
つまり 『自分がネットの検索画面で広告をクリックしないのであれば、他の人もクリックしないに違いない』 、という思い込みを持つということ。
この当時はクライアントの担当者も、まさにそう言う考えをお持ちでした。

「広告費用が高すぎて導入できない」とお考えのサイトオーナーや担当者は、非常に多いのです。
広告に効果がないのであれば、GoogleもYahooもつぶれている
では広告をクリックする人は、まったくいないのか?
答えは、Noです。
もしインターネット広告に効果がないのであれば、GoogleもYahooもとっくにつぶれているはず。
なにせ検索エンジンの運営会社の主な収入源は、広告なわけですから。
もちろん集客施策は広告展開だけではありませんし、広告だけに頼るのも間違いだと思います。
しかしECサイトの立ち上げ時は、任意のキーワードの検索結果で確実に自社・自店のサイトを出現させることのできる広告は、外すことのできない施策であることを覚えていて欲しいですね。
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SEO施策が功を奏し検索結果で任意のキーワードがTop10入り
広告について思わず語ってしまいましたが、話を戻したいと思います。
できるだけ無料で集客できる施策を求められた、我々サポートチーム。
お金を掛けずに、もしくは少額の投資で集客する施策には限りがありますが、全くないわけではない。
ブログ記事の追加や、サイト本体にコンテンツを追加するコンテンツSEOもその一つ。
買い手に興味をもってもらえるブログ記事の投稿や、サイトに追加する記事を運営者自身でつくることができれば、費用は低く抑えることができるでしょう。
サイト制作の段階でSEOを意識した対策は行っていた
私の本業はwebライターということもあり、このECサイトを構築する段階から、各ページの執筆に関してはSEOを意識して取り組みました。
またDIY系のECということで、「工具」「木の種類」「加工や工法」のコンテンツも一通り用意したつもりです。
サイトがリリースされてからも、こまめに更新を重ねていました。
その甲斐あってサイトの運営開始から3ヶ月後には、いくつかの任意キーワードにおいて検索結果でTop10入り。
記事によっては、3位以内に入る成果を得ることに成功しました。
しかしそれで、売上がバーンと伸びて当初の売上目標が達成されたか?というとそうでもない。
検索上位を取っている訳ですから、以前のように“ゼロ行進”ではないものの、当初目標額の月商100万円には遠く及びませんでした。
Googleアナリティクスを確認してみた結果

狙っているキーワードの検索順位も悪くないのに、売上が伸びない。
これは一体どういうことなのか?
不思議に思って、Googleが提供してくれているサイトのアクセス解析ツール“Google Analytics”を確認してみました。
するとアクセス数はそこまで悪くないものの、直帰率や離脱率が高いことが判明。
せっかくサイトに人を呼び込んでも、商品を買わずに帰ってしまう人が多いということが分かったわけです。
この時点で「魅力的な商品がないのでは?」という仮説を立てる
我々サポートチームはこのデータを見て、“サイトで販売している商品をもっと魅力的なものに替えれば結果は変わる”という仮説を立てました。
なぜなら当時サイトで販売していた商品は、大手モールや他のサイトでも販売しているものと大差なかったからです。
さっそっくこの見解をクライアントに伝えたのですが…
特別変わった商品はありません。
魅力的な商品があるのであれば、こちらが教えてもらいたいぐらいです。 』
と言う返答が…。
またもや壁にぶち当たってしまった訳です…。
単体で売れないのなら商品を組み合わせてセット品をつくろう

行き詰まったら、原点に帰れ。
そう考え、自分たちで再度、商品構成の在り方を見直し、実際に商品も購入してみることにしました。
サイトがオープンした2015年当時は、何度目かのDIYブームが始まりかけた時期。今も人気がありますが、2×4(ツーバイフォー)材を天井と床にジョイントして、狭い部屋や賃貸住宅でも自由に壁収納を楽しめる。そんなDIYグッズが出回り始めていたころでした。
そこでサイトで最も売れていた、2×4材とそれを天井と床にジョイントする、突っ張り形状の金具のセットを試しに購入してみたのです。
エンドユーザーが商品を使うシーンをチーム全員で想像
実際に購入して気が付いたのですが、2×4材は2.6mもしくは2.4mもの長さがあり、使用時には部屋の高さに合わせて木材をカットしなければなりません。
本格的にDIYを楽しむ方であれば、この木を切る作業も楽しいのでしょうが、のこぎりを使い慣れていない女性やDIY初心者にはややハードルが高い。
ましてや賃貸マンションの部屋の中で、2m超の木材をカットするのは木くずの処理も含めて大変です。
サイトオーナーの強みを活かして商品やサービスを開発
幸いなことに、サイトのオーナーは製材メーカー。
木材をカットする機械もノウハウも十分に備わっています。
このような背景もあり、

天井と床とのジョイントと2×4材を、セット品として売り出すことはできないか?
と進言。
この案を採用してもらうことになりました。
企画した商品が顧客に受け入れられるのはECの醍醐味の一つ

さっそくサイトに新たなバナーを設置し、カートに木材カットの記入欄を設ける施策を実施。
これが、お客さまにウケたのです。
他にこのようなセット販売されているサイトがなかったこともあり、このセット品が徐々に売れ始めました。
自分たちが企画して考案した商品が売れること、お客さまが反応してくれるさまは、得も言えぬ達成感を味わえます。
この時は、サイト担当者と我々サポートチームで共に喜びを分かち合うことができました。
まとめ
広告をはじめとする集客施策を行うのは、もはや当然のことと言っていいでしょう。
ただこれらの施策には、年間数百万円の費用が掛かることも珍しくありません。
ECサイトの運用をお考えなのであれば、出来れば2~3年。
最低でも1年間の運用費用を見込んだ、事業計画は立てておきたいものです。
同時に
それら集客施策を行っただけでは、不十分であることも覚えておいてください。
品物やサービスがあふれている現代において、より魅力的な商品を提供しなければ結果はついてきません。
魅力的な商品を探すのは簡単なことではありませんが、
★購入いただいたお客さまに直接ご意見をいただく
など、何かしらの対応を取る必要はあるでしょう。
他のECサイトやモールを覗いて、どのような工夫があるのか確認してみても良いかもしれません。

ECサイトは利益を出してナンボ。
儲けが出ない、売れば売れるだけ赤字という状況が続くと、早々と『閉店』の二文字が見えてきます。
次回予告
ECサイトをオープンして3ヶ月、新商品とサービスの見直しでボチボチ売上も立ってきました。
しかしまだまだ満足できる売上目標には到達していません。
そんな中…
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次回予告:DIY系の「まとめサイト」に投稿した記事がバズった?!
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そう、広告を出していなかったのです!