”脱広告依存”で自社ECの売り上げを伸ばすメディア戦略とは? トーモ・ネタフル・スマニューが徹底解説!【後編】

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株式会社フューチャーショップは3月7日(木)、ECの売上アップに役立つメディア・SNS・PR戦略をテーマとしたセミナー
『 脱広告依存!!集客できるブログ・SNS・PR・・・新しい時代のモノの売り方とは?中小Eコマースのメディア戦略を考えよう 』を都内で開催しました。
このセミナーの様子を前後編にわけてお届けしております。

■ 前編はこちらから

”脱広告依存”で自社ECの売り上げを伸ばすメディア戦略とは? トーモ・ネタフル・スマニューが徹底解説!【前編】

2019-04-25

それでは、後編をお楽しみください。

【ディスカッション】 テーマ1  記事を読者に届ける方法とは?ネットメディアの”中の人”が語るEC事業者のメディア戦略

続いて、株式会社トーモの東氏と、ニュースキュレーションアプリ「スマートニュース」を運営するスマートニュースの鷹木創氏が、EC事業者のメディア戦略をテーマにディスカッションを行いました。

EC事業者がオウンドメディアを運営するメリットや、記事をターゲット層に届ける方法などについて議論を深めました。

スマートニュース株式会社 鷹木創氏 インプレスやアイティメディアで記者として活躍した後、Engadget日本版の編集長に着任し、IoT分野などでページビュー(PV)やユニークユーザー(UU)を拡大した。日本アイ・ビー・エム、さくらインターネット、Cerevoなど各種オウンドメディアの立ち上げ/運営をサポート。クラウドファンディング「Makuake」のテクノロジープロダクトアドバイザー。2017年スマートニュース株式会社に入社、Media Business DevelopmentにてPartnarRelationとして、主に動画分野を担当。

オウンドメディアの記事を読者に届けるには、どうすればいい?

スマートニュース株式会社 鷹木創氏(以下、鷹木):
企業がSNSやブログを運用して発信の基盤を持つと、炎上などが起きたときに、自分たちの言葉で正しく説明できるなど、メリットは多いですね。
ただ、オウンドメディアを運営していても、記事が広がっていきにくいという課題があるんじゃないですか?

株式会社トーモ 代表取締役 東智美氏(以下、東):
情報を読者に、どのように伝えるかは、常に考えなくてはいけない課題だと思います。

鷹木: ブログなどのコンテンツを、ターゲット層に届ける方法の1つとして、「スマートニュース」のようなニュースアグリゲーションを上手く活用するのも良いのではないでしょうか。
「スマートニュース」は、企業のオウンドメディアや、ブロガーさんの記事も一部取り込んで発信していますから。

東: 「スマートニュース」さんなどを活用するのは、本当に重要だと思います。じつは、私が個人で書いている「note」や「はてなブログ」が「スマートニュース」さんに取り上げられると、PVがドンと跳ねるんです。

ディスカッションする株式会社トーモの東社長(左)とスマートニュース株式会社の鷹木氏(右)

記事が拡散されるには「読者視点」が必要

鷹木: 「スマートニュース」に限らず、ニュースアグリゲーターに取り上げてもらうために、ぜひ考えていただきたいのが「読者視点」です。

自分たちが売りたい商品の情報を押し付けるような記事では、ニュースアグリゲーターは取り上げにくい。

東:どんな記事が掲載されやすいんですか?

鷹木: 「スマートニュース」では、その記事が、いかに読者に伝わったか、いかに読者から注目を集めているかといったことを分析し、自動的に掲出順を決めています。

特に、読者の人たちが「読んで良かった」と思う記事や、読者の態度変容を促すような記事を重視しています。

ですから、記事を読んだら暗い気持ちが明るくなるとか、知らなかったガジェットが欲しくなるとか、態度が変わるような記事をどんどん書いていただきたいです。

「スマートニュース」の仕組みでいうと、取り上げる記事のほぼすべてをシステムが選定しています。クリックスルーレートなども見ていますが、同時に、記事がきちんと読まれたかもよく見ている。ですから、タイトルが派手で中身が薄い、いわゆる「釣り記事」は掲載されにくくなります。

EC事業者さんがブログなどで記事を書く場合には、自社のターゲット層を決めて、その人たちに刺さる記事を書いてくださると、結果が出やすいと思います。

ターゲットをはっきりと決めて、そのターゲットが知りたいことを深掘りして書く。そうすると、検索エンジンであれ、ニュースアグリゲーションであれ、ターゲット層に届きやすくなると思います。

【ディスカッション】 テーマ2 「cheero」の自社ECサイトのポテンシャルは?その実力と課題に迫る

ディスカッションのテーマの2つ目は、「cheero」の自社ECサイトの使いやすさや課題を、フューチャーショップの稲生が、ユーザーの立場から”診断”するという内容。
東社長に失礼は承知の上で、「cheero」の課題に鋭く切り込みました。

さらに、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」の機能をベースに、改善策も具体的にご提案することに。稲生から東社長に対する”公開プレゼン”と化したディスカッション。その結末やいかに!?

ECのためのアカデミー「futureshop ACADEMY」の企画および講師を務める。 Web制作会社でディレクターとしてキャリアを積んだ後、2012年にフューチャーショップにジョイン。カスタマーリレーションチームに4年所属し、futureshopユーザー2400店舗のECサイト相談を毎日対応。その後、よりユーザーに近い対面での支援強化に伴い、カスタマーサクセスチーム発足と同時に「futureshop ACADEMY」の起ち上げ、カリキュラム作成、コンテンツ作成を行う。EC業界7年目。 futureshopのECサイト担当者のためのメディア「E-Commerce Magazine」のライターも兼任。

顧客と直接コミュニケーションできる環境を強化

実は、稲生は「cheero」のユーザー。2012年に初めてのスマホバッテリーとして「cheero」を購入し、そこから約5年後、買い替えが必要になった2017年にも再度「cheero」のスマホバッテリーを購入しました。

ただ、「2回目は別のメーカーの商品を買う可能性も十分にあった」と言います。

稲生
『cheero』のバッテリーを約5年半使い、そろそろ買い替えどきだと思ってインターネットでスマホバッテリーを探しました。
最終的には『cheero』のバッテリーを選んだのですが、1回目に購入してから5年半も「cheero」のECサイトとつながりがなかったため、2回目は別のメーカーの商品を買ってしまう可能性も十分にありました。

稲生が1回目に購入したのは、「cheero」の楽天市場店。

楽天市場では、出店者から顧客にDMのようなプロモーション目的の郵送物を送付できません。

メールは送信できるものの、稲生は楽天市場からのメールを別フォルダに振り分けており、「cheero」からのメールには気付いていなかったそうです。

稲生
もし、「cheero」さんからDMやメルマガを受け取っていて、自分のニーズに合った新商品が出ていることを知っていれば、買い替えのタイミングで迷わず「cheero」の商品を購入したと思います。

今回のセミナー前に改めて「cheero」さんのHPを見て、スマホバッテリー以外にも、思わず「欲しい!」と思うような魅力的な商品がたくさんあることを知ったので、そういった新商品などの情報が届いていたら、バッテリー以外の商品も買っていたと思います。

稲生は自身のユーザーとしての経験を踏まえ、購入後に「購入いただいた顧客」とコミュニケーションを取り切れていないことが「cheero」の課題ではないかと提案しました。

稲生
顧客情報を取得し、購入いただいた方々に直接的に情報を届け、コミュニケーションを深めていくためにも、大手モールでの販売だけではなく、自社ECサイトでの販売をより強化していく必要があるのではないでしょうか?

「cheero」のECサイト

在庫の「再入荷通知機能」で顧客満足度アップと業務効率化を両立

「cheero」ECサイトのもう1つの課題として稲生が挙げたのは、スマホバッテリーの人気が高すぎるために、在庫切れが発生しやすいこと。

ユーザーが商品に興味を持ってECサイトを訪問しても、在庫切れになっていると顧客満足度は下がってしまい、場合によっては離脱後に別サイトで購入されてしまう可能性もあります。

離脱せずに「再入荷の時期」について、お問い合わせをいただけた場合でも、その問合せが頻繁に寄せられると、社員のリソースが奪われることが課題になります。

東社長も、問い合わせへの対応には課題を感じていたとのこと。

東社長
(在庫の再入荷に関する)問い合わせは多いので、最近、対応しきれなくなってきています。
その都度対応するのは大変なので、解決策を検討していました。

この課題について稲生は、「futureshop」の「予定在庫機能」を例に挙げて解決方法をご提案しました。

「予定在庫機能」とは、通常在庫とは別に、次回の「入庫予定数・入庫予定日」を登録しておくことで、

通常在庫がゼロになった段階で「在庫切れ(購入できない)」になるのではなく、商品ページに「お届け予定日」が表示され、顧客はその予定日を確認しながら、通常どおりに注文することが可能になる機能です。

「futureshop」の「予定在庫機能」

とはいえ、「次回の入庫予定日」が不明な場合もありますし、突然、話題になりバズった結果、在庫切れになってしまうこともあります。

その場合には、在庫切れ状態をそのままにするのではなく、顧客に「入荷お知らせメール」の受信登録を行ってもらうことで、商品が再入荷した際にメールで通知することができます。

こうした機能によって「買いたい」と思っていただいた気持ちを受け止めることができ、在庫切れによる顧客の不満を軽減したり、問合せ増加による社員の業務負担を減らしたりすることができます。

「futureshop」の「入荷お知らせメール」

自社ECサイトなら、SNSのフォロワーを増やす施策を打ちやすい

さらに稲生は、SNSのフォロワーを増やすために、注文完了画面に”一工夫”することも提案。

注文完了画面は「お客様をお見送りする」場面です。しかし、「ご注文ありがとうございました」とテキストだけが表示され、少し寂しい画面のECサイトが多いのが実情です。

注文完了画面

注文完了画面でテキストのみが表示される場合(画像は稲生が作成した架空の注文完了画面)

なので、まずはここに、お見送りをしている画像を加えます。そして注文完了画面は「購入する方が必ず見る画面」なので、SNSアカウントのフォローボタンを改めて置くことで、購入直後の顧客にSNSをフォローしていただける確率が高めることができます。

注文完了画面にSNSフォローボタンを設置する

注文完了画面にSNSフォローボタンを設置する(画像は稲生が作成した架空の注文完了画面)

購入した方は、cheeroに対して良い印象を持っている状態なので、フォローしていただきやすく、購入後の接点をキープし、情報をリーチさせていく施策としても有効と提案しました。

この施策について東社長は、「それは、さっそく取り入れたいアイデア」と応じてくださいました。

稲生の話を一通り聞いてくださった東社長は、自社ECサイトの取り組みについて、次のように振り返りました。

東社長
私はPRが好きですし、得意なので、PRにばかり意識が行きがちになり、ECサイトの機能を突き詰められていない部分もあったと気づかされました。
あらためてご指摘いただけると、きちんとコミュニケーションを取れていないお客さまがいたのかな、という反省はすごくあります

「cheero」の自社ECサイトは社内エンジニアがWordPressで構築し、2018年末にリニューアルを実施したばかりだそうですが、東社長は稲生の話を聞いたことで、「すでに、いろんな仕掛けがあるASPのECシステムを使う必要もあると感じました」と話しました。

そして、稲生が最後にうかがった「futureshopを、ご契約いただけますでしょうか?」という質問には、「次のリニューアルで、ぜひお願いします」と応じてくださいました。

第2講座 「ネタフル」コグレマサト氏が明かす「資産になるブログの作り方 & クチコミの次にある大事なこと」

第2講座では、人気ブログ「ネタフル」管理人のコグレマサト氏がスピーカーとして登壇。

2003年から約17年間で5万1000本以上の記事を執筆し、「日本一稼ぐブロガー」とも言われるコグレマサト氏が、自身の経験を踏まえ、EC事業者がブログを作るコツや、ブロガーを巻き込んでPRを行う際のポイントなどを語りました。

コグレマサト氏 獨協大学大学院経済学研究科博士後期課程中退。経済学修士。コンテンツ制作会社、インターネットサービスプロバイダー、ウェブ制作会社を経て、2006年にブロガーとして独立。アルファブロガー2004、アルファブロガー2006選出。第5回WebクリエーションアウォードWeb人賞。

EC事業者がブログを活用する方法とは?

コグレマサト氏はブログの役割について、「情報を蓄積するホーム」と説明しました。

TwitterなどSNSで発信したコンテンツはバズりやすい反面、時間とともに流れてしまう「フロー」であるため、情報が蓄積されにくいのが弱点。

一方で、ブログの情報は「ストック」であるため、「蓄積された情報が資産になる」と強調しました。

EC事業者がブログを活用する方法として、「商品の開発秘話などを書き、商品ページにリンクを貼る」といった施策を紹介。

また、顧客がSNSなどに投稿したクチコミを、ブログにまとめて1つのコンテンツにするなど、実践的な方法も解説しました。

そして、コグレマサト氏はブログで情報を発信するときのポイントとして、「仲間を増やす」「ブログを書く習慣を身につける」「バズより深掘り」といった点を挙げました。

情報を発信するときのポイント

● 仲間を増やす
SNSやブログの相互フォローを行ったり、ブロガーのイベントや飲み会に参加したりして、横のつながりを作る。
また、自社の商品について言及しているユーザーには、積極的に話し掛ける。
そうすることで、自分が発信する情報を拡散してくれたり、自分の代わりに情報を発信してくれたりする仲間ができる。

● 1記事について1つのテーマで書く
その記事が、「何について書かれているのか」が分かりやすい方が読まれやすい。
結果的にSEOにも有効。

● 書き手の熱量が大事
書き手の考えや熱量が、読者に伝わる記事を書く。
読んでいる人が引くぐらいの熱量を持って書くとちょうど良い。

● とりあえず試してみる
note、はてなブログ、Twitter、Facebook、Instagram、Youtubeなど、情報発信のツールはたくさんあるので、とりあえず試してみる。
それぞれの使い方や作法を学んでおくと、ブロガーやインフルエンサーなどに何か依頼するとき、流儀を理解しているためお願いしやすい。

● SNSのサービスがなくなる可能性も考慮する
プラットフォームはいつなくなるか分からないため、特定のSNSに依存し過ぎるのは良くない。

● ブログは毎日書く
ブログを書くと決めたら、休日を除いて毎日書く
ブログを書く習慣を身に付けることが大切。

● 形にこだわり過ぎない
最初は短い文章でも良いし、写真や目次などは必ずしも付けなくても良い。
ただし、タイトルはしっかり考える。

● バズより深掘り
記事をバズらせようとしない。
影響力が限定的でも、特定のテーマに関して深掘りした記事を書いた方が良い。

● 最低でも1年は続ける
ブログを始めても、最初からたくさん読まれるわけではない。
徐々にフォロワーが増えていくので、地道に続けることが重要。

● 検索キーワードも意識してみる
「Google search console」などを使って、どのようなキーワードが、どのぐらい検索されているかを調べ、検索されやすいキーワードを記事に使う。

PRは「クチコミ」から「マキコミ」の時代に

メーカーやEC事業者がPRの一環として、ブロガーに商品などを体験してもらう際は、「クチコミを依頼するよりも、ブロガーを巻き込むことが重要」(コグレマサト氏)と強調しました。

ブロガーを巻き込んで成功した事例として、コグレマサト氏が挙げたのは、2008年ごろに「ハイボールブーム」を作ったサントリーの取り組み。

サントリーは2008年にブロガー約50人を集め、ウイスキーの蒸留所の体験ツアーを企画。その企画の後、コグレマサト氏を含めて多くのブロガーがハイボールの記事を投稿。これがハイボールブームのきっかけの1つになったそうです。

コグレ氏によると、サントリーは蒸溜所体験ツアーを行う1年ほど前から、ハイボールに興味を持ちそうなブロガーと個別にコミュニケーションを取っていたとのこと。

「本気でハイボールを好きになり、記事を書いてくれそうなブロガーとの人脈を作り、そのブロガーを巻き込むことでハイボールブームを作り出した」とブームの源流を紐解きました。

コグレマサト氏
蒸留所ツアーの前に、ブロガーとの人脈を作るための下積みを行なっていたことが良かったのだと思います。
ブロガーやインフルエンサーにお金を配ったわけではなく、サントリーのウイスキーを好きになってくれる人を、地道に集めていました。

商品を配ったり、広告費を払って短期的にクチコミを作るよりも、自社のことを好きになってくれる、サッカーチームのサポーターのような存在を増やしていく方が良いと思います

最後にコグレ氏は、ブログを始める上でのポイントを、次のようにまとめて降壇しました。

コグレマサト氏
大事なことは、周囲を巻き込むこと、コツコツ継続すること、ギブ&ギブの精神を持つこと、そして、自社の熱狂的なファンを増やすこと。
自社の商品などについて言及してくれている人たちをフォローすることで、その人たちを巻き込んで、継続的にサポートしてくれるファンを増やすことが大切です
◇ ◇ ◇

今回のセミナーは、EC事業者の情報発信やメディアリレーションズに関する、具体的なノウハウを学ぶ貴重な機会になりました。
当日はEC事業者など100人以上が参加。多くの聴講者が熱心に聞き入るようすから、PRやメディア戦略に対する関心の高さがうかがえました。

情報の流れや、商品の売り方が多様化・複雑化している現在のEC業界において、SNSやメディアを活用することの重要性は高まっています。
自社ECサイトの集客や売り上げを伸ばすために、ぜひみなさんも情報発信やメディアリレーションズにチャレンジしてみてください!

当日は100人以上が参加した

【 前編 】 はこちらから!

”脱広告依存”で自社ECの売り上げを伸ばすメディア戦略とは? トーモ・ネタフル・スマニューが徹底解説!【前編】

2019-04-25

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