ランチェスター戦略で大手サイトに勝つ!成功事例から導き出した自社ECのフレームワークと6つの視点


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マーケット規模が10兆円を突破し、コンビニやドラッグストアなどに匹敵する販売チャネルに成長した国内EC市場。2020年以降はコロナ禍でマーケットの成長が加速し、売り上げを大きく伸ばしたEC事業者さまも目立ちました。

その一方で、ECモールや大企業の自社ECサイトはSEOと広告に莫大な投資を行っており、顧客獲得の競争は激しさを増しています。経営リソースが限られる中小企業にとって、厳しい市場環境にあることは否めません。自社ECサイトの運用や集客で悩んでいる担当者さまもいるのではないでしょうか。

そこで弊社は、数多くのネットショップを成功に導いてきた経営コンサルタントの水上浩一さんを講師にお招きし、中小企業がECモールや大手ECサイトに勝つための戦略を解説していただくオンラインセミナー「ネットショップ勝利の法則 ランチェスター戦略セミナー」を開催しました。

✔ 自社ECサイトの売り上げを伸ばしたい
✔ 適正な販売価格の決め方を知りたい
✔ モール依存から脱却したい
✔ 競合ショップと差別化し、安売りから抜け出したい

こうした課題を解決するヒントが満載だったオンラインセミナーをレポートします!

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    「EC実践会 for futureshop」講師の水上さんが登壇

    今回のオンラインセミナーは、水上さんが今年2月に書籍「ネットショップ勝利の法則 ランチェスター戦略」を出版したことを記念して開催しました。水上さんは、英国のフレデリック・ランチェスター氏が1914年に発表した「ランチェスターの法則」をECのマーケティングに応用し、中小EC事業者が大手に勝つための戦略を提唱しています。その戦略と、成功事例から導き出したフレームワークをまとめたのが書籍「ネットショップ勝利の法則 ランチェスター戦略」です。オンラインセミナーでは新刊の内容の一部を特別に解説してくださいました。

    なお、水上さんはfutureshopの店舗さまを対象とした勉強会「EC実践会 for futureshop」を2009年から開催しています。「EC実践会 for futureshop」は6カ月間(全6回)で自社ECの戦略やノウハウを学ぶカリキュラムで、受講者数は2021年4月までに延べ3500人を超えました。今回のオンラインセミナーでは「EC実践会 for futureshop」の受講者さまの成功事例も多数取り上げられました。

    【講師プロフィール】

    株式会社ドリームエナジーコンサルティング
    水上 浩一(みずかみ ひろかず)氏

    EC実践会参加1年間で売上純増2億1000万円(梱包資材)・県産生鮮品月商1億円超、生花生産直売月商4800万円・オープン80日で月商1100万円(ファッション)・月商200万円→6ヶ月間で月商1450万円等(地域土産)等。
    ランチェスター戦略をウェブマーケティングに効果的に活用、SEO×コンバージョン率×リスティング広告、三位一体設計による圧倒的成果の勉強組織「水上 浩一 EC実践会 for futureshop」を全国22地域で展開、受講者数は3500名を超える。
    講演・セミナー回数は年間180回以上。ジャンルを問わず短期間で劇的なネットショップの売上アップ実績多数。大手上場企業、大規模小売店から生産者直売店舗等地域活性化までジャンルを問わず短期間で劇的なネットショップの売上アップ、コンサルティング成果実績多数。

    水上さんが提唱する「ランチェスターWeb戦略」とは?

    「ランチェスターの法則」とは、戦闘における軍事力(攻撃力)を兵力や武器効率などから計算する理論です。水上さんはランチェスターの法則をECのマーケティングに応用し、中小企業が大手に勝つための戦略を提唱しています。

    ランチェスターの法則とは、「兵力数」と「武器性能」によって「攻撃力」が決まることを論証した理論です。攻撃力を「販売力」に、兵力数を「リソース(経営資源=人・物・金・情報・時間)」に、武器性能を「効率化」に置き換えてECに応用しています(水上さん)

    水上さんが提唱する「ランチェスターWeb戦略」の公式

    販売力=リソースの2乗×効率化

    ランチェスターの第二法則をECのマーケティングに応用している

    中小ECサイトは「リソースの集中」が必須

    ランチェスターの法則では、「販売力」は「リソースの2乗」に比例します。そのため、計算上はリソースが分散するほど企業の販売力は低下します。

    リソース「10」の企業が1種類の商品Aを販売している場合(効率は1と仮定)

    商品Aの販売力 → 10の2乗×1=100

    リソース「10」の企業が3種類の商品A/B/Cの3種類を販売している場合(効率は1と仮定)

    商品Aの販売力 → 3.3の2乗(=10.89)×1=10.89
    商品Bの販売力 → 3.3の2乗(=10.89)×1=10.89
    商品Cの販売力 → 3.3の2乗(=10.89)×1=10.89

    商品ごとの販売力は約10分の1に低下し、トータルの販売力も約3分の1に下がってしまう!

    リソースが分散すると販売力が下がることをケーススタディーで解説した

    水上さんは、売り上げが伸びないネットショップの中には、リソース(経営資源)が分散しているために販売力が下がっているケースが多いと指摘しました。

    大手と比べてリソースが少ない中小企業が大手に勝つには、取扱商品を絞り込み、リソースを特定の商品に集中することが必要です。もともとリソースが大手よりも少ない中小企業がリソースを分散すれば、大手に勝つことはできません(水上さん)

    中小の自社ECサイトは「専門店化」と「高級路線」で活路を見出す

    水上さんは弱者(大手以外のEC事業者)が自社ECサイトを運営する場合、「安売りをしない」ことが鉄則であると強調しました。

    大手企業は仕入れや販売においてスケールメリットが働くため、原価率が下がりやすく、安売りをしても粗利を確保しやすくなります。そのため、大手企業は安売りを仕掛けることは有効な販売戦略になります。

    一方、大手以外のEC事業者はスケールメリットが働きにくく、商品原価は大手と比べて高い場合が多いため、単純な値下げ競争では大手に勝つことはできません。水上さんは大手企業と中小企業のコスト構造の違いを説明し、「弱者は価格競争を避けなくてはいけない」と強調しました。

    強者と弱者は、そもそもコスト構造が違います。弱者は値引きで勝負してはいけません(水上さん)

    強者(最大手)は弱者(中小企業)よりも商品原価が下がるため安売りで勝負できるが、
    弱者は価格競争を続けると利益がなくなり負けてしまうことを説明した

    水上さんは、自社ECサイト運営している中小企業が大手と戦うには、お店の専門性を高めることと、高級路線にシフトすることがポイントになると指摘しました。

    専門店化して商材のスペシャリストになれば、お店の信頼性が高まり、顧客に対する訴求力が高まります。また、ネットショップの専門性を高めることは、Google検索のSEOにも効果があるそうです。

    Googleの検索エンジンはE-A-T(専門性・権威性・信頼性)を重視すると言われています。ネットショップを専門店化し、E-A-Tを重視したコンテンツを増やせばSEOにも有利に働きます(水上さん)

    水上さんは専門店化に加え、高級路線にシフトすることも重要な戦略であると説明しました。低価格の商品を大量に売るビジネスモデルは、スケールメリットが働き大手に有利です。一方、専門店化に加えて高級路線にシフトすれば、ショップの信頼性や店員の目利き力などで勝負することができるため、中小企業にも勝ち目はあります。

    水上さんは、価格競争という不利な戦いを避けることも重要な戦略であると指摘。実際に専門店化と高級路線に取り組むことで、自社ECの売上拡大に成功したネットショップさまの事例も紹介しました。

    高級路線で成功した「加藤商店」さまの事例

    男性用着物の「加藤商店」さまは、数年前まで女性用の着物も扱う総合着物店でした。また、自社ECサイトの売り上げは少なく、楽天市場を中心に販売していました。しかし、5年ほど前からECモールにおける着物ジャンルの競争が激化したため、「加藤商店」さまはモール依存から脱却し、自社ECサイトへシフトすることを決めました。

    「加藤商店」さまは、自社ECサイトのコンセプトを男性着物の専門店へと転換。専門性を高めることで他社と差別化し、自社ECサイトの売上拡大に成功しました。

    また、大手ECモールが低価格の浴衣の販売を強化した際は、「加藤商店」さまは高級路線にシフトすることで価格競争を回避しました。ECモールで販売されている浴衣は2,900〜4,900円の低価格帯。「加藤商店」さまの浴衣の平均単価は1万2,000円でしたが、高単価の品ぞろえを増やしてさらなる高級化を図り、差別化しました。

    その結果、高級志向のお客様の獲得に成功し、「加藤商店」さまの浴衣の平均客単価は20%向上して売上高を伸ばすことに成功したそうです。

    「加藤商店」さまは専門店化と高級路線によって、大手に負けない自社ECサイトを運営している

    バリューチェーン分析で効率化すべき場所を見つける

    ランチェスターWeb戦略では「効率化」も販売力に影響する要素です。水上さんはEC事業を効率化する方法として、バリューチェーン(価値連鎖)分析を応用した戦略を解説しました。

    バリューチェーン分析とは、企業活動を価値(バリュー)の連鎖(チェーン)であるとみなし、構成要素の効率化や差別化などによって企業価値を高められるとする経営理論です。水上さんは、バリューチェーン分析で自社の強み(差別化要素)と弱点(ボトルネック)を把握し、「強みを伸ばし、弱点を補うという視点でリソースを集中すると効率化につながりやすい」と説明。「EC実践会 for futureshop」の受講者様の成功事例も紹介しながら、事業を効率化する方法を解説しました。

    バリューチェーン分析によって自社の強み(差別化要素)と弱点(ボトルネック)を把握し
    効率化すべきポイントにリソースを集中させる

    ランチェスターWeb戦略の6つの視点

    水上さんはランチェスター戦略をECに応用する際のポイントとして、一点集中 ・ 局地戦 ・ 差別化 ・ 一騎打ち ・ 接近戦 ・ 陽動戦という6つの視点を解説しました。詳細はセミナー限定での公開だったため記事では概要のみを紹介します。

    ランチェスターWeb戦略 6つの視点

    1. 一点集中
      「商品」「市場」「ターゲット」を絞り込み、ビジネスインパクトがもっとも大きいところにリソースを集中的に投資する
    2. 局地戦
      販売する「地域」や「時間」を限定し、効率的な集客を行う
    3. 差別化
      バリューチェーン分析を活用し、経営の8大要因の掛け合わせによって差別化する
    4. 一騎打ち
      専門店化によって特定の分野や商材でSEOを行う
    5. 接近戦
      顧客に接近した販売促進(会員へのメルマガ・SNSフォロワーに対する施策など)と、ブランド化によるマインドシェアの向上を図る
    6. 陽動戦
      成功要因を競合に把握されにくい自社ECのマーケティングを行う

    一点集中におけるターゲット(市場)の選び方を解説した

    経営の8大要因(商品対策・地域対策・客層対策・営業対策・顧客対策・組織対策・資金対策・時間対策)
    の掛け合わせで差別化を行う方法も解説

    接近戦(顧客リストの活用)で月商の最高額を更新したネットショップさまの事例を紹介した

    商品の一点集中と売上高構成比率

    「売上高構成比率」というのは、「たとえば月の売上のうち、1位の商品は全体の何%のシェアですか?2位の商品は全体の何%のシェアですか?」といった全体の売上高のうち特定の商品の占める割合のことを指します。

    たとえば、あなたのネットショップの月商における売上高が高い順の1位から5位までの構成比率が

    1位商品:9・2%
    2位商品:8・8%
    3位商品:8・1%
    4位商品:7・6%
    5位商品:7・2%
    という結果になった場合、たいていは「当店はいろいろな商品がまんべんなく売れているバランスの良いショップだ」と考えると思います。

    しかし、実はこの結果は「ユーザーがあなたのショップでどの商品を買ったら良いかわからず、商品を選べないでいる、迷っている数字」と言えるのです。

    この売上高構成比率を分析することで、ユーザーが商品を選びやすくなっているか、商品を選べない状態かを把握できます。
    自社の売上高構成比率を分析し、商品を選びやすいショップになっているかどうかをチェックしてみてくださいと、水上さんは解説しました。

    1位必達のマーケットシェア率の応用

    売上高構成比率目標値

    キー・プロダクトが機能していると判断できる条件としては、

    1. 1位の商品が25%以上のシェア率
    2. 1位商品シェア率が2位以下のシェア率に10ポイント以上差をつけている
    3. 全体の月商が最も高くなる比率は35%~40%
    4. 70%を越えると、月商の上限値の可能性、次のキープロダクト候補を選定する時期
    と判断できると、水上さんは解説されました。

    ※一般的には「クープマン」として知られていますが、ランチェスター経営の竹田陽一先生によると音楽家のトン・コープマン(Ton Koopman)と同じ綴りであることから「コープマン」が正しいとのことです。それにならい、本書では「コープマン」と表記します。

    「売上高構成比率」と「キー・プロダクト」で売り上げ伸ばす

    水上さんは「売上高構成比率とキー・プロダクト」という独自の概念も解説しました。

    「売上高構成比率とキー・プロダクト」とは、商品ごとの売上高構成比率にもとづき、リソースを集中すべき商品(キー・プロダクト)を選定したり、投資判断を行ったりするフレームワークです。

    「売上高構成比率とキープロダクト」とは?

    売上構成比率が1位の商品を「キープロダクト」と位置付け、キー・プロダクトの売上高構成比率が25%以上で、2位との差が10ポイント以上あるときにネットショップの売り上げが伸びるとする理論。

    キープロダクトの売上高構成比率が25%以上のとき、ECサイト全体の売上高は伸びることを説明した

    実践上、キープロダクトの売上高構成比率が25%以上で、2位との差が10ポイント以上あると売上高が伸びる傾向がみられます。特に、キープロダクトの売上高構成比率が35〜40%のとき、月商の伸び率が最も高くなります(水上さん)

    「売上高構成比率とキープロダクト」の理論上の裏付けや、実践データについては書籍「ネットショップ勝利の法則 ランチェスター戦略」で詳しく解説しているそうです。興味のある方は書籍を参考にしてみてください。

    質疑応答

    Q&Aコーナーでは、セミナーの聴講者の皆さまからコメントで寄せられた質問に、水上さんがその場で回答しました。回答の一部を紹介します。

    Q1: 「高級路線」にシフトして商品単価を上げると、既存客の客離れが起こらないか心配です。
    A1: 商品価格を急に値上げすると、客離れを招くリスクがあります。単純に値上げをするのではなく、既存の商品よりも価格帯が高い商品を追加し、商品ラインナップを変えて高級路線へシフトしてください。
    Q2: 酒類の輸入販売を手がけています。リソースの集中が重要とのことでしたが、取扱商品を増やすことは好ましくないのでしょうか。
    A2: ネットショップの戦略によります。品ぞろえで差別化するのであれば、無理のない範囲で品ぞろえを増やすことは有効な戦略です。一方、専門性や目利きで勝負するのであれば、商品を絞った方が良いでしょう。
    Q3: 一点集中するターゲット(市場)を探す方法を教えてください。
    A3: Googleアナリティクスやサーチコンソール、キーワードプランナーなどを活用し、ターゲットキーワードの検索ボリュームや購買確率、月間平均検索数の伸び、競合指数などを調査して探しましょう。
    Q4: 会員限定の産直サイトを運営しています。現在は低単価の商品がよく売れているのですが、高級路線にシフトした方が良いでしょうか。
    A4: 低価格の商品が売れているのに急に値上げをしたら、売れなくなるリスクがあります。サイト内でプレミアムコーナーを新設するなど、既存のビジネスで売り上げを確保しながら、新規のビジネスを展開していくと良いでしょう。
    Q5: リスティング広告のキーワードには社名を入れた方が良いでしょうか?
    A5: ケースバイケースですが、自社の社名で検索した際に、競合サイトの広告が出てくる場合はリスティング広告のキーワードに社名を入れておいたほうが良いと思います。

    まとめ

    今回のセミナーで水上さんは、ランチェスター戦略を応用したECのマーケティング戦略について「EC実践会 for futureshop」の受講者さまの成功事例を挙げながら解説してくださいました。実践に裏打ちされた戦略の数々は、自社ECサイトの売り上げを伸ばすためのヒントになったのではないでしょうか。

    記事では紹介できなかった事例や戦術のほか、「売上高構成比率とキープロダクト」の詳細などは「ネットショップ勝利の法則 ランチェスター戦略」で詳しく解説しているそうです。また、「EC実践会 for futureshop」も継続的に実施していますので、興味のある方はそちらもチェックしてみてください。

    株式会社フューチャーショップはビジネスの役に立つさまざまなセミナーを今後も開催していきます。今後のスケジュールは専用ページに随時アップしていますのでご確認ください。

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    ネットショップ勝利の法則 「ランチェスター戦略」(マイナビ出版刊)

    ネットショップ勝利の法則 「ランチェスター戦略」(マイナビ出版刊) 2021/2/26発売 水上 浩一 (著)

    ★この記事を読めば、もっと理解が深まります!

    ランチェスター戦略から学ぶ、ネットショップ勝利の法則・第1回(全3回)

    2021-03-02
    水上 浩一 出版記念連載 全3回 →第2回目

    ランチェスター戦略から学ぶネットショップ勝利の法則・第2回(全3回)現場主義編

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