中国越境ECの基本から最新事例まで! 中国ビジネスの専門家が成功ポイントを徹底解説!【後編】

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前後編でお届けしている、「中国デジタルマーケティング最新事情 & 中小企業でも活用できる中国越境EC」セミナーレポート。
前編●第1講座 中国デジタルマーケティング最新事情のレポートをご紹介いたしました。

中国越境ECの基本から最新事例まで! 中国ビジネスの専門家が成功ポイントを徹底解説【前編】

2019-06-04

後編の今回は
●第2講座 中小企業でも活用できる中国越境EC
●第3講座 越境EC専用サイトを構築せず海外販売に対応した事例

セミナー後半をまとめてご紹介いたします。

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    第2講座 中小企業でも活用できる中国越境EC

    第2講座では、株式会社エフカフェの高岡正人取締役が講師として登壇しました。

    中国EC市場の現状を踏まえ、日本企業が中国向けに越境ECを行う方法を具体的に解説。

    越境ECを始める方法と、それぞれのメリット・デメリットを説明したほか、販売価格を決める際の考え方や、顧客対応の方法など、多くの企業の越境ECの実務をサポートしてきた経験に裏打ちされた、実践的なノウハウも公開しました。


    高岡正人(たかおか・まさと)氏 コンサルティングファームにて企業変革コンサルティングを経て、2005年に有限会社フリースタイルカフェ(現エフカフェ)の創業に参画、取締役に就任した。これまで日本、中国、ASEANでネット通販事業に特化したコンサルティングや運営支援を行い、1カ月の半分を上海、台湾、香港、シンガポール、アメリカなどで過ごす。銀行などでの講演多数。日経ネットマーケティング、impressなどでも執筆。最近は銀行などの海外支援事業部と連携し、日本からアジアへのネット通販進出を支援している。

    中国の消費者は「爆買い」から「越境EC」へ

    高岡氏は冒頭、中国向けの越境ECが盛り上がっている一因として、近年は「爆買いが減り、越境ECへと移行している」と説明しました。

    訪日中国人観光客の消費行動が「モノ消費からコト消費」へと移行していることなどから、観光客1人あたりの物品の購入額が数年前と比べて約5万円下がっているとのデータに言及。

    また、通関時に国際スピード郵便(EMS)の開封検査が厳格化されたことや、越境ECを健全化するための法律(いわゆる、「電子商務法」(電商法):編集部注)を中国政府が2019年1月に導入したことで、日本から中国に商品を輸出する「個人代行業者」が事業を継続できなくなっていることも、中国人による消費が下がっている要因だと指摘しました。

    EMSのチェックが厳しくなったことや、電商法の導入によって、中国に商品を輸出していた個人代行業者が、ほぼ全滅しました。
    一方で、日本を訪れた中国人観光客が日本の商品を体験し、帰国後にネット通販で購入するなど、日本の製品を求める中国国内の消費者は増えています。

    また、中国政府は越境ECの健全な発展を推進する方針を打ち出していますから、日本から中国への越境ECには追い風です。
    グレーゾーンでビジネスを手掛けていた中国の個人代行業者が減り、今後はメーカーが正規のルートで越境ECを行いやすくなるでしょう

    高岡氏

    中国越境ECの主要モール「Tmall Global」「JD Worldwide」

    高岡氏は、日本の企業が中国向けに越境ECを行う際の主なECモールとして、TMall Global」や「JD Worldwide」などについて解説しました。

    アリババグループが2013年にTMall内に開設した「TMall Global」は、海外企業の商品カテゴリーを扱うプラットフォーム。
    中国全体の越境ECの輸入額に占める市場シェアは約70%(同社の公表数値)に達しており、「中国の越境EC市場では、『TMall Global』の1人勝ち」(高岡氏)という状況です。

    「TMall Global」におけるカテゴリー別の売上高の上位は美容関連、食品・健康食品、マタニティ・ベビーなど。現在、十数社の日本企業が出店しているそうです。

    「TMall Global」のトップページ。(※画像出典:「TMall Global」のサイトより。)

    アリババグループの売り上げが特に伸びるのは、毎年11月11日に開催される「独身の日」
    中国国内のECサイト「TMall」の1日の売上高は年々拡大しており、2018年の11月11日の流通総額は3兆6000億円でした。

    「独身の日」は越境EC(中国への輸入)の売り上げも大きく伸びることが知られています。
    高岡氏は独自の推計によって、2018年の「独身の日」における日本から中国への販売額は、「肌感覚としては、1日で120億円ほど売れたのではないかと推測している」と私見を披露しました。

    また、「独身の日」に「TMall Global」で買い物をしたユーザー層は、「47%が90年代生まれ(17歳から27歳)で海外旅行が好き」「海外からコスメやベビー用品、健康食品などを買いたい」といった特徴があると説明。
    また、日本の商品だけを欲しがっているのではなく、「世界中の良い商品を探している」と指摘しました。

    『メイドインジャパン』の商品なら何でも売れるかというと、そんなことはありません。世界中の本当に良い商品を探しているということです。

    高岡氏

    越境EC市場シェア2位の「JD Worldwide」

    京東が2015年に開設した越境ECサイト「JD Worldwide」は、中国の越境ECモールとしては市場シェア2位と見られています。

    売れ筋の商品カテゴリーはマタニティ・ベビーやデジタル製品・家電などが上位。こちらも日本企業は現在、十数社が出店しているそうです。

    「JD Worldwide」のトップページ。(※画像出典:「JD Worldwide」のサイトより。)

    中国越境ECを行う5つのパターン

    高岡氏は、日本企業が中国向けに越境ECを行う方法として、次の5つを挙げました。

    中国向け越境ECを行う方法
    1. 「TMall Global」や「JD Worldwide」などの越境ECモールに出店する
    2. 越境ECの自社ECサイトを開設する
    3. 越境EC事業者に業務を委託する
    4. 販売代理店に卸売りする
    5. 中国の個人オークションサイトに出品する

    ①越境ECモールに出店

    「TMall Global」「JD Worldwide」「全日空海淘」といった、越境ECモールに出店する方法。
    中国に法人を設立せずに、本格的に越境ECを行いたい企業に向いている。

    「TMall Global」「JD Worldwide」に出店した場合の条件
    ◆法人・・・日本法人でOK
    ◆商標・・・日本、香港の英語表記商標
    ◆決済銀行・・・日本の銀行で円決済
    ◆物流・・・中国へ個配
    ◆販売許可・・・日本の販売許可でOK

    ②越境ECの自社ECサイトを開設

    日本にサーバを置き、独自ドメインで越境ECを行う方法。
    近年、「T-Mall Global」などモールの出店基準が厳しくなり、出店が難しいケースも出てきていることから、今後は自社ECサイトで越境ECを行う企業も増えていく可能性がある。

    ③越境EC事業者に業務を委託

    すでに越境ECを行なっている事業者に、越境ECの業務を委託するモデル。
    エフカフェは「JD Worldwide」に出店し、業務委託契約で日本企業の健康食品やサプリメント、化粧品、ボディケアなどを月商数百万円以上販売している。

    ④中国のパートナー企業に卸売り

    中国の販売代理店や輸入業者など、現地のパートナー企業に卸売りする方法。
    販売ボリュームが大きくなるメリットがある反面、エンドユーザーのニーズが見えにくいためにマーケティングが難しいことや、中国のパートナー企業の都合でビジネスが左右されるといったデメリットがある。

    ⑤中国の個人オークションサイトに出品

    個人オークションサイト「タオバオ」に出品する方法。
    中国に法人を設立せず、安価に越境ECを始められる。

    越境ECの販売価格を決める際の考え方

    高岡氏は、越境ECの販売価格を決める際の考え方として、

    ①販売する商品そのものや、類似商品の価格を検索する
    ②通関での開封率に合わせて、関税金額を商品の販売金額に反映する
    ③販売しながら定期的に価格を調整する

    上記のようなことがポイントだと説明しました。

    販売価格の目安は、日本での売り値の110〜120%ほどがセオリーになるそうです。

    TMall Globalでは、いくつかの価格帯を想定し、セールに合わせて調整するのが一般的。
    販売価格を値引きできないメーカーは、クーポン券などを利用しながら商品価格を合わせていきます

    高岡氏

    顧客対応はチャットが主流

    中国ではチャットで顧客対応を行うのが一般的です。

    商品に関する問い合わせなどにチャットで対応するだけでなく、値引きの交渉などもチャットで行われることもあるそうです。
    チャットで顧客対応を行う際のポイントは、「攻め」の接客を行うことだと高岡氏は説明しました。

    チャットを使うと、受注時に『受ける』だけではなく『攻める』こともできます。

    例えば、お客さまからAという商品を探していると問い合わせを受けた際に、Aと一緒に新商品もクロスセルすることが可能です。
    この辺りは日本とはまったく感覚が異なると思いますが、中国でECを行うなら、チャットを上手く活用することがポイントです。

    高岡氏

    チャットと使った顧客対応のイメージ

    事業計画は3~4年で単月黒字をめざす

    現在の中国市場でECを行う場合、中国で知名度があるブランドなら2年目無名ブランドなら3〜4年目で単月黒字をめざす事業計画を作ることが一般的だと説明しました。

    しっかりと事業計画を作って、投資と売り上げのバランスを見ながら、地道に現地でブランドを作っていく必要があると思います。
    ときどき、KOLを使って商品が一気に売れたというニュースが流れますが、あれはレアケース中のレアケースです。

    高岡氏

    中小企業による越境ECの「もっともリアルな攻め方」の3ステップ

    中国でブランドが浸透していない、日本の中小企業が越境ECを行う際は、まずはリスクを最小限に抑えて事業を開始し、段階的に進めていくことが現実的だと高岡氏は指摘しました。

    リスクを抑え、段階的に進めていく手順
    ◇ ステップ1
    まずは日本国内でインバウンド対応や、中国に販路を持つ企業への卸売りを行い、中国で商品を販売するための基盤を作る。

    ◇ ステップ2
    中国向けの販売代行業者や運営代行業者と組んで、アカウントを拡大する。

    ◇ ステップ3
    中国語の自社ECサイトを作ったり、中国のモールに出店したりして、越境ECの販売インフラを作る。

    高岡氏は、越境ECに取り組むセオリーを次のようにまとめ、降壇しました。

    最初から大きなコストをかけるのではなく、ライトにスタートし、売り方などを理解するのが良いでしょう。
    同時に、中国での卸先を探してください。
    そして、事業の基盤ができたら、TMall GlobalやJDWorldwideなどに出店して本格的に越境ECを展開していくのが良いと考えています。

    ただし、これはあくまでも現時点での結論であって、来年は状況が変わっている可能性は十分にあります。それくらい中国のマーケットは変化のスピードが早いです。

    高岡氏

    第3部 越境EC専用サイトを構築せず海外販売に対応した事例

    セミナーの第3部では、株式会社フューチャーショップのセールス・マーケティング部で統括マネージャーを務める安原が、越境EC専用のECサイトを構築せずに、「futureshop」で構築した日本語のECサイトで海外販売に対応している店舗様の事例を紹介しました。

    株式会社フューチャーショップ セールス・マーケティング部 安原貴之(やすはら・たかゆき) 商品企画・アライアンス・マーケティング・プロモーション等を担当するセールス・マーケティング部の責任者。受託開発を行う企業に新卒で入社し、上海現地法人立ち上げのため6年間上海に駐在。帰国後にフューチャーショップへ転職してEコマースの世界へ。フューチャーショップ入社以降、商品企画・アライアンス・プロモーション等を担当した。2019年度からセールス・マーケティング部の統括マネージャーを務める。

    「futureshop」は海外からの注文が年間4575件

    ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」では現在、国内で2447店舗が稼働しています。

    日本語のECサイトでありながら、2018年4月から2019年3月までの1年間で、海外からの注文は467店舗で合計4575件、販売金額にして8892万円も発生しました。

    海外からの注文件数の商品カテゴリー別の内訳。ファッション、ゲーム、おもちゃ、コスメ、医薬品、ジュエリー、コンタクトレンズなどが人気

    転送サービス「楽一番」「転送コム」で海外販売に対応

    海外からの受注が多い店舗様の中には、「楽一番」「転送コム」といった転送サービスを利用しているケースが少なくありません。

    「楽一番」や「転送コム」は、専用バナーを日本語のECサイトに貼っておくだけで、海外からの注文に対応できるサービス。

    転送サービスの会員に登録した海外ユーザーは、商品を注文する際、配送先住所を転送サービス会社の日本国内の倉庫に指定します。
    店舗様は、商品を転送サービス会社の国内倉庫に送ると、インボイスの作成や国際配送などを転送サービス会社が代行します。

    「楽一番」、「転送コム」のトップページ。(※画像出典:「楽一番」「転送コム」のサイトより。)

    また、「futureshop」で日本語のECサイトを構築している「w closet」様は、海外のIPアドレスでアクセスしたユーザーにだけ「転送コム」のバナーを表示。日本語のECサイトのままで海外からの注文に対応しています。

    日本から中国への越境ECを行うには、中国のモールに出店するにせよ、独自ドメインの越境ECサイトを立ち上げるにせよ、準備に多くの時間と手間がかかります。

    本格的な越境ECを行う前に、転送サービスを活用してテストマーケティングなどを行うと良いと思います

    安原

    自動翻訳を追加することで販売促進

    転送サービスを利用している店舗様の中には、海外向けの販売を促進するために、自動翻訳機能をECサイトに実装している事例も増えています。

    「竹虎」様はGoogle翻訳をECサイトに実装している。

    海外のお客様は、日本語のECサイトでも商品を買うケースは多いようですが、トップページや商品ページなどに言語選択機能を実装しておくと、海外のユーザーに商品のことがより伝わりやすくなると思います。

    安原

    Google翻訳は現在、新規の提供が終了しているため、最近は「WOVN.io(ウォーブン)」「shutto翻訳」といった自動翻訳ソリューションが使われることが増えています。

    機械翻訳ツール「ウォーブン」は管理画面で翻訳結果を修正できる

    セミナーの最後に安原は、国内のEC事業者は意識していなくても、海外から多くのアクセスがあるECサイトは、実はたくさんあることを説明。
    まずは転送サービスなど、コストをかけずに海外ユーザーのニーズを探ってみることを提案し、セミナーを締めくくりました。

    日本語のECサイトでも、実際にたくさんの商品が海外から買われています。
    『futureshop』で構築したECサイトの海外向けの販売件数は、3年で約2.5倍に増えました。

    最初から越境EC専用のサイトを作るのはハードルが高いと思います。まずは転送サービスや自動翻訳などを活用し、自社の商品が海外で、どれくらい買われるのかを確認してから、越境EC専用のECサイトを開設したり、現地のECモールに出店したりすることを検討すると良いのではないでしょうか

    安原

    さいごに

    今回のセミナーでは、実務に即した越境ECのノウハウが多数公開されました。

    会場限定のクローズドな情報など、セミナーレポートには掲載できなかったノウハウもあります。
    これから越境ECへ参入を検討している企業様で、より詳しい内容をお知りになりたい場合には、お気軽にご相談ください。

    「中国デジタルマーケティング最新事情 & 中小企業でも活用できる中国越境EC」セミナーレポート【前編】はこちら

    中国越境ECの基本から最新事例まで! 中国ビジネスの専門家が成功ポイントを徹底解説【前編】

    2019-06-04