EC戦国時代を勝ち残る一手は「実店舗のような接客」。チャットツール導入店舗のホンネとは?

世界で猛威をふるった新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、外出自粛の流れが到来し、実店舗をもつアパレルブランドは大きな影響を受けました。その状況を打破するべく、大手アパレルブランドを中心に、実店舗の接客からオンライン接客に力を入れるブランドが増えています。

そこで注目を集めているのが、ECサイトでのチャット接客です。実店舗のように顧客に話しかけ、距離感の近いコミュニケーションを取ることで、顧客のファン化に成功し、リピーターにつなげるブランドは少なくありません。

そこで、2021年7月、株式会社フューチャーショップが主催となり、オンラインセミナー「チャット接客を導入したら、どうなった⁈ 実際に使ってみた店舗の”ホンネトーク”」を開催しました。

スピーカーとして登壇したのは、株式会社Channel Corporation CCO(チーフカスタマーオフィサー) 坂本 彩さん、株式会社柳田織物 代表取締役 柳田 敏正さん、株式会社クロシェ 業務推進室 室長 村岡 乃里江さんです。

Channel Corporationが提供する「チャネルトーク」は、実店舗のような接客を実現できる、接客チャットツールです。FAQチャットボットや統計機能のついたサポート強化機能、ポップアップやSMS、メールが連携した自動・一斉配信をするマーケティング機能など、幅広い機能をもっています。

本セミナーでは、同ツールを導入している柳田織物とクロシェの2社に、「そもそもチャット接客をはじめた理由とは?」「チャット導入、1ヶ月目でぶつかった壁、乗り越えた方法」などについて伺いました。接客チャットツールを導入したブランドのホンネをレポートしていきます。

【プロフィール】

坂本 彩さん
株式会社 Channel Corporation
CCO(チーフカスタマーオフィサー)
坂本 彩さん

大学卒業後、アクセンチュア株式会社に入社。

デジタルコンサルタントとして最先端のIoT技術を使った開発とUXデザインなどDX化を支援。大手メーカーを顧客にスマートスピーカーによる家電の音声制御や実店舗でのお肌診断接客ツールの実証実験を推進。

その後、2019年4月より大学時代インターンをしていたチャネルトークに入社、カスタマーサクセスとエンジニアを兼任。現在、CCOとして熱狂的ファンを作るCSチャット「チャネルトーク」ビジョンや機能を顧客に提供すると同時に、開発チームに顧客の声を伝えてプロダクト改善に務めている。

柳田 敏正さん
株式会社柳田織物
代表取締役
柳田 敏正さん
1994年法政大学卒業後、(株)バーニーズジャパン入社。横浜店にてメンズ全般の接客に従事。 1999年退社し、創業1924年の(株)柳田織物に入社。 2002年オリジナルのシャツを販売する自社ECサイト「ozie」を開設。 2012年第4回エビス大賞(現全国ネットショップグランプリ) 大賞受賞。 2013年4月 4代目の代表取締役に就任。 現在EC4店舗と六本木ショールームといったネットとリアルのチャネルを駆使して、お客様のご要望にお応えできるよう日々奮闘中。
村岡 乃里江さん
株式会社クロシェ
業務推進室 室長
村岡 乃里江さん
大阪生まれ。大学卒業後、第一企画入社、雑誌及び新聞媒体担当。その後、TBSブリタニカでFIGARO・Penなどの広告担当及び、デジタルビジネス委員となり、SK-IIブランドサイト立ち上げなどに携わる。コンデナストに入社、VOGUE広告担当。その後、クロシェに入社し、EC担当を経て、現職でDX化、PR・広報など担当。株式会社クロシェでは、2020年10月から「STAFF START」を導入。高3・中1の2男子の母。

なぜチャット接客を導入しようと思ったのか?

チャット接客を導入した理由
クロシェ 村岡さん:

新規訪問のお客様への接客を行いたかったからです。

弊社のブランドのなかで、新しい施策を積極的に取り入れているバレエシューズブランド「farfalle(ファルファーレ)」において、Web広告や百貨店での催事などから流入したお客様に対し、重点的に接客を行っていくことになりました。

そこで、外出自粛などの流れの影響もあり、お客様の抱える不安や疑問をオンライン接客で解決できたらと思い、チャネルトークを導入することになりました。

柳田織物 柳田さん:

ECサイトの運営において、ただ効率化を追い求めていくだけでは、もう勝てない時代が来たと思ったからです。

弊社は、ワイシャツ専門ブランド「ozie」を運営しています。新型コロナウイルス感染症が拡大し、テレワークが急速に普及していき、オフィスウェアを必要としなくなった人が増え、弊社のブランドも大きな影響を受けていました。「オフィスウェアがいらなくなったので、会員登録を解除します」といったお客様も何人かいらっしゃったくらいです。

チャット導入の理由は?

こうした流れのなかで、外出自粛の影響を受け、実店舗の客足が減少した大手アパレルブランドなどが、ECサイトでのオンライン接客に力を入れ出しました。実店舗の接客スタッフが、空いた時間を使い、オンライン接客ツールで実店舗と同じような接客を実現しています。

実店舗をもつ大手アパレルブランドの強みは、高いクオリティの接客です。一方、ECサイトを運営するアパレルブランドは、これまで効率化を強みにすることが多かったように思います。大手アパレルブランドの接客を、ECサイトで実現されてしまったら、中小企業のブランドが戦いに勝つことは難しくなるでしょう。

弊社はもともと接客を大切にしたいという思いがあり、電話の対応を積極的に受けたり、ショールームを構えてリアルでのコミュニケーションを取ったりしています。一方で、効率化を考える場面も多くありました。

大手アパレルブランドのオンライン接客への移行を受け、私が抱いたのは「これまで通り、効率化を追い求めてECサイトを運営していたらまずいのではないか」といった危機感です。そこで、お客様とのコミュニケーションをより取りやすくするために接点を増やそうと、チャネルトークを導入することにしました。

実際にチャット接客ツールを導入し、どうでしたか?

実際にチャット接客ツールを導入した効果
クロシェ 村岡さん:

チャット接客ツールを初めて導入したので、最初はスタッフのなかで「スピーディにチャットに対応できるだろうか」「たくさんチャットが来たら、対応しきれるだろうか」といった不安が多くありました。

そうした不安を解消するために、チャット対応をするスタッフ全員が行っているのが、ロープレです。まずはスタッフ同士でロープレをして、問題なく対応できるレベルまでもっていってから、お客様からのチャットに対応するようにしています。お客様とのチャットに慣れないうちは、チャット対応を行うスタッフが後ろで見ているようにして、できるだけスムーズにお客様の不安や疑問を解消できる体制を整えています。

また、日々のチャット対応でわからないことがあった場合に活用するのは、お客様には見えない社内チャットの機能です。チャット対応中のスタッフが、ほかのスタッフに「どう対応すればいいですか?」「この商品、まだ在庫ありますか?」などとリアルタイムに相談できて助かっています。

導入直後はどうだったか

最近では、会員登録のコンバージョンを上げる工夫をしています。チャットをしているお客様が会員か非会員かがわかるようになっているので、ひと通りチャットが終わった非会員のお客様に対して、「もしまだ会員になっていらっしゃらなかったら、会員登録でポイントを差し上げています」とご案内するようにしました。

ポイントとなるのは、自然な流れです。お客様の悩みや疑問を解決する前に伝えるのではなく、すべて終わったあとに自然な会話の流れでご案内すること。この工夫をしてから、非会員のお客様に会員登録していただける機会が増えました。

柳田織物 柳田さん:

チャネルトークの導入は、futureshopにタグを入れるだけなので、簡単にできました。しかし、タグを入れただけでは問い合わせはほぼ来ないことを、導入直後に実感しました。2月末に導入をし、3月はほぼ2日に1回のペースでしか問い合わせが入っていません。

そもそもお客様との接点を増やしたくてチャネルトークを導入したのに、問い合わせが届かないのでは意味がありません。しかし、自分たちではどうしたら問い合わせが増やせるかわからなかったため、Channel Corporationさんに相談することにしました。

そこで「まずはチャットボットを設定してみてください」とアドバイスをいただき、実際に設定し、チャットボットで疑問を解決できなかったお客様用に「スタッフに相談する」ボタンを設置しました。その結果、4月の問い合わせは24件に伸びており、チャットボットから商品が購入されることも少なくありません。

ozieでのチャット問い合わせ数の推移

ozieでのチャット問い合わせ数の推移

さらに、「スタッフに相談する」ボタンを押してもらう際、お名前やメールアドレスを入れてもらうために、以下の文章をチャットで送っています。

この後予定がおありで当店からの返信前にページから離れなくてはいけない場合は、下記フォームからお名前、お電話番号、メール情報をご入力いただきますと、ページから離れてもメールやSMSを通して当店からの返信が送信されます。よろしければお待ちの間にご入力くださいませ。

問い合わせが徐々に増えていったその後も、Channel Corporationさんに相談しながら施策を進めていき、6月には問い合わせが84件にまで伸びました。「疑問をスピーディに解決したい」というお客様からのチャットが増えた分、メールでの問い合わせは減っています。

チャネルトークを導入したことで、メールよりも問い合わせに対するハードルが下がっており、顧客接点の増加につながっているのではないでしょうか。数年前に購入したきりのリピーター様がチャットで問い合わせをし、最終的に購入してくださるなど、コンバージョン率も高まっています。実際に、チャネルトークを経由して、1,235,310円分の商品が売れています。

相談に対して親身にアドバイスをしてくれて、寄り添ってくれるChannel Corporationさん姿勢は、とてもありがたいです。

導入後、運用していくなかで何か変わったことはありますか?

運用していくなかで何か変わったこと
柳田織物 柳田さん:

リアルな接客のように、気持ちよくお客様と向き合えるようになりました。

例えば、ECサイトで商品の買い方がわからない方から、電話で問い合わせをいただいた場合、以前は「今どのページを開いていますか?」「そのページには何が見えますか?」と質問しても、うまく誘導できないときがありました。

しかし今は、電話先で「今開いているページの下に、チャットのマークがあるので、そこから一言でもいいので何か送ってください」とチャットにつなげることができています。チャットにつながれば、欲しい商品を電話でヒアリングし、在庫がある商品ページのURLをそのままチャットに送ることが可能です。商品を購入することになった場合も、「このままECサイトのカートで注文しますか? それともこのまま電話で注文しますか?」と、スムーズにご案内できています。

クロシェ 村岡さん:

運用してからの変化

お客様の疑問を解決できるようFAQを書いていましたが、実際にあまり伝わっていないことがわかり、伝え方を変えられました。

farfalleでは、同じ型、色の連続した2~3サイズを合わせて注文し、自宅で試し履きができる「ご試着サービス」を提供しています。その説明をFAQに記載しているのですが、チャネルトークを導入してから「どうやってサービスを利用するのですか?」「サービスを利用するのに申し込みは必要ですか?」といった質問がチャットに多く寄せられました。

そこで、実際にはあまりサービス内容が伝わっていなかったことがわかり、バナーのデザインや説明文を変更したことで、ご試着サービスが多く利用されるようになりました。チャネルトークを導入していなかったら「あまりサービスが利用されないな」と感じるだけで終わっていたと思います。

まとめ

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ますますECサイトの重要性が増している今日。EC戦国時代を勝ち抜いていくために重要なのは、「顧客との接点をどう増やし、ファン化につなげていくべきか」という考え方なのかもしれません。

最後に「EC業界はどうなっていくべきだと思いますか?」という質問に対して、お二人は「ECは単なるオンライン上の1店舗ではなく、顧客接点の重要なプラットフォームになる」と答えられていたのが印象的でした。

インターネットという小宇宙に、商品は星の数ほど存在しています。そのなかで、自社の商品を選んでもらうためには、チャット接客ツールで実現できる、距離感が近く心のこもった接客が決め手となるでしょう。

「futureshop」は「チャネルトーク」と連携し、チャット接客を始めやすい環境を整えています。興味がある方は気軽にお問い合わせください。

ABOUTこの記事をかいた人

自らもEC業界を学びつつ、みな様のお役に立てれば!と 日々奮闘する中の人です。
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