ECリニューアル事例 売上激減からV字回復!課題の整理、解決に向けた手順とポイント

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新型コロナウイルスの感染拡大によって、大打撃を受けたウェディング業界。結婚式で使う席札や招待状など、ウェディングアイテムの製造と販売を手がけている株式会社ファルベ(本社広島県)も、2020年春の緊急事態宣言で売り上げが激減しました。

窮地に陥った同社がとった行動は、EC事業を強化するために、自社ECサイトをリニューアルすること。会社の経営が苦しいときだからこそ、攻めの姿勢で危機に立ち向かい、商品数が3000を超える大規模サイトのリニューアルをわずか3カ月で成し遂げました。

ECプラットフォームをfutureshopに移行し、ECサイトのスマホ最適化やカテゴリーの再構築、コンテンツマーケティングの強化などに取り組んだ結果、リニューアルオープン翌月の2020年10月の月商が前年同月比130%に拡大するなど、業績のV字回復に成功しています。

同社はなぜ、事業の存続すら危ぶまれる状況で、自社ECサイトのリニューアルを決断したのでしょうか。

株式会社ファルベの宮村志穂社長と、ECサイトのリニューアルを外部パートナーとして支えた2人の専門家をお招きし、リニューアルの経緯や、重視して取り組んだことなどをうかがいました。

聞き手:株式会社フューチャーショップ カスタマーコンサルテーション部 稲生 達哉

ファルベ様インタビュー1

株式会社ファルベ・宮村志穂社長(写真中央)/株式会社ユウキノイン・酒匂雄二社長(写真左)/株式会社ソレプロ・市川晴英社長(写真右)

株式会社ファルベとは?

1997年創業。ロゴやチラシ、販促ツール、パンフレットなどのデザイン・制作や、WEBマーケティングの支援などを行なっている。2001年からは自社で企画・デザインしたウェディングアイテムをECサイトで販売。自社ECサイト「FARBE」では招待状や席次表、席札、ウェルカムボードなど3000点以上を取り扱っている。

ウェディングアイテムのECサイト「FARBE」

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    ECリニューアル事例インタビュー動画

    動画では、記事内には書ききれなかった内容も。ぜひご覧ください。

    インタビュー動画:ダイジェスト版

    コロナ禍で売上が激減した窮地で、ファルベ代表の宮村様がECサイトのリニューアルを決めた理由や、futureshopにカートシステムを移行した後の印象について、お伺いしています。

    インタビュー動画:本編

    リニューアルを進めていく上での手順や判断ポイントについて、2人の専門家にお話しいただきました。futureshopの「commerce creator」の機能をどのように活用したのか、そしてリニューアル後に着手した新しい展開の裏側にあった狙いも、お伺いできました。

    自社ECサイトのリニューアルを決断した理由と目的

    ──コロナ禍でウェディング業界に逆風が吹いていた2020年に、あえて自社ECサイトをリニューアルした理由を教えてください。

    ファルベ 宮村さん:事業を存続させるために何をするべきか、悩み抜いた末の決断でした。

    2020年3月以降、結婚式のキャンセルや延期が相次ぎ、そのあおりで弊社のウェディングアイテムの売り上げは激減しました。売り上げがゼロの日もあり、このまま売り上げが戻らなかったら、事業をあと何カ月続けられるのか、そんな計算をせざるを得ないほど苦しい状況だったんです。

    でも、経営者として、指をくわえて見ているわけにはいきません。社員を守るためにも、できることはすべてやりたい。そういった思いから、EC事業の売り上げを回復させるために、課題も多かった自社ECサイトを刷新すべく、リニューアルを決断しました。それが2020年5月中旬のことです。

    ファルベ・ 宮村社長

    株式会社ファルベ 代表取締役 宮村志穂(みやむら しほ)氏

    ECサイト構築とSEOの専門家2人が支援に名乗り

    ──宮村さんはECサイトのリニューアルについて、酒匂さんに相談したそうですね。

    ユウキノイン 酒匂さん:じつは、ファルベさんは2021年の前半をめどに、自社ECサイトをリニューアルオープンする予定でした。以前使用していた自社ECサイトにはいくつか課題があったため、futureshopに乗り換えて、commerce creatorでECサイトを抜本的に改善する計画を立てていたんです。

    コロナ禍になる直前の2020年1月に、宮村さんからECサイトのリニューアルについて相談を受けました。ブライダル業界は春から秋までが繁忙期ですから、閑散期に入った2020年秋以降に、リニューアルに着手する予定でした。

    ──新型コロナウイルスの影響で、リニューアルオープンのスケジュールを前倒しにしたと。

    ユウキノイン 酒匂さん:はい。経営状況が非常に厳しい状況で、リニューアルの日程を大幅に繰り上げたことは、本当に英断だったと思います。

    2020年5月に宮村さんから「FARBE」の状況についてうかがったところ、3月以降の売り上げの落ち込みは想像を絶するものでした。業績を立て直すには、コロナ禍が落ち着いてウェディングアイテムの需要が回復したときに、ニーズを取りこぼさないように、ECサイトを改善しておかなくてはいけません。そのためには、すぐにでもリニューアルに着手する必要がある。私自身も、そう感じましたので、宮村さんの決断をサポートしたいと伝えました。

    ユウキノイン酒匂社長

    株式会社ユウキノイン 代表取締役 酒匂 雄二 (さこう ゆうじ)氏 2020年1月に株式会社ユウキノインを設立。Web集客・SEO・コンテンツマーケティングの専門家として多数のEC事業者を支援している。創業前は紳士アパレルSPAでECサイトの店長・生産管理・実店舗・卸売を統括。SNSを活用して広告費をゼロにしながら、自社店舗の売上を2年で400%に拡大した実績を持つ。自社の成功事例を共有するべく異業種交流会を有志と設立し、セミナー講師、他社ECサイトの構築、企画・運営代行などを手掛けるように。

    ──ECサイトの構築は、株式会社ソレプロが手がけたそうですね。

    ソレプロ 市川さん: 2020年5月下旬に、酒匂さんからリニューアルについてご相談をいただきました。当時のファルベさんの状況について電話でうかがったところ、事態が差し迫っていることはすぐに分かりました。

    その日のうちにファルベさんのECサイトを拝見したときの第一印象は、商品ページを1つ1つ、とても丁寧に作っているということ。ECサイトに対する、ファルベさんの愛情を感じたんです。おこがましいかもしれませんが、ECサイトを大切に運用しているファルベさんなら、きっと業績を立て直せると感じましたので、そのお手伝いをするためにリニューアルを快諾しました。

    ソレプロ市川社長

    株式会社ソレプロ 代表取締役 市川 晴英(いちかわ はるひで)氏
    2015年に株式会社ソレプロを設立。「貴方の利益が出るまで伴走する」を経営理念に、クライアントの事業規模に合わせた提案・構築を行っている。ただキレイでおしゃれなサイトを制作するのではなく、利益を確保するための事業戦略を共に考え、利益の出せる設計に基づいたデザインを考案。公開後の運営サポートにも力を入れており、ECサイトの運営経験が豊富なスタッフが、クライアントのEC運営を支援している。

    リニューアル前は迷宮のようなサイト構造だった

    ──リニューアル前のECサイトには、どのような課題があったのでしょうか?

    ファルベ 宮村さん: ECサイトの表示速度が遅いことや、ユーザー導線が整理されていないこと、スマホに最適化されていないことが主な課題でした。

    リニューアル直前の時点で、商品ページは5000を越えていました。EC事業の売り上げが伸びていく中で、ページを継ぎ足しながら運用していたため、動きは重たいし、導線も複雑で買い物がしにくいサイトになっていました。

    ユウキノイン 酒匂さん:リニューアル前のECシステムは約7年間使用していたのですが、サイト内のユーザー導線が迷宮のように入り組んでいて、商品を探しにくいことが課題でした。カテゴリーの数も非常に多く、商品の分類が分かりにくかったため、サイトを訪れたユーザーが迷子になってしまう構造だったと思います。

    ソレプロ 市川さん:当時はパソコンサイトを中心にECサイトが作られていたため、スマホ最適化も必要でしたね。

    ファルべ 宮村さん:PCとスマホのURLが異なっていたので、それぞれ商品登録を行う必要があるなど、運用面でも苦労していました。

    ECサイトのリニューアルは段階的に移行

    ──5000以上の商品を、すべて新しいECサイトに移行したのでしょうか?

    ユウキノイン 酒匂さん:6月中旬にリニューアルに着手し、9月にオープンするタイトなスケジュールでしたから、商品の優先順位を決めて、段階的に移行しました。

    リニューアルオープンは第1フェーズ、その3ヵ月後の2020年12月が第2フェーズという具合に、段階的に拡張していくスケジュールを組みました。

    ソレプロ 市川さん:ECサイトを段階的に構築できるのがcommerce creatorの良いところです。プラットフォームに拡張性があるので、運用を開始してからもECサイトの機能や商品数を増やしていくことができます。

    ──移行する商品の優先順位は、どのように決めたのでしょうか。

    ユウキノイン 酒匂さん:商品ページの月間アクセス数を基準に、商品を絞り込みました。

    GoogleアナリティクスでECサイトのアクセス解析を行い、月間アクセス数が100以上の約3000商品を、第1フェーズで移行しました。

    ソレプロ 市川さん:商品の絞り込みと並行して、ECサイトのカテゴリーを再構築しました。たくさんのカテゴリーをすべて見直して、必要なものと不要なものを整理した上で、約3000点の商品をカテゴリーに当てはめていきました。

    ECサイトのリニューアルにおいて、カテゴリーの整理は非常に重要です。3000以上も商品があるECサイトですから、カテゴリーが整理されていないと、サイトを訪問したユーザーが商品をスムーズに見つけることができません。商品のタグ付けも含めて、ユーザーが商品を見つけやすい導線を設計することに、もっとも多くの時間を使いました。

    商品のカテゴリをシンプルに、分かりやすく再構築した

    1日100件以上のチャットが飛び交う

    ──リニューアルを進めている時期は、プロジェクトのチャットルームで、1日に100件以上のチャットが飛び交う日もあったそうですね。

    ソレプロ 市川さん:そうでしたね。

    ユウキノイン 酒匂さん:ECプラットフォームを乗り換えて、約3000もの商品ページを作り直したのですから、ファルベさんにとっては非常に負担が大きかったでしょうね。

    ファルベ宮村さん:スタッフのみんなは、すごく大変だったと思います。リニューアルオープンまで、本当にたくさんの山がありました。でも、酒匂さんや市川さんも伴走してくださったので、スタッフみんなで乗り越えることができました。

    リニューアル後は3階建てのECサイトに

    ──リニューアル後は、ECサイトのフロント側も大きく変わりましたね。

    ファルべ 宮村さん:大きな変更点は、farbeco.jpのドメインで、複数のECサイトを運営する構造に変えたことです。結婚式アイテムの「FARBE」に加え、インテリアポスターの「FARBE Design」、ギフト商品の「OIWAI工房 by farbe」という3つのショップを運営しています。

    ソレプロ 市川さん:commerce creatorを使うと、デザインがまったく異なるECサイトをいくつも運営することができます。それぞれのECサイトのHTMLやCSS、JavaScriptが違っても、問題なく動きます。

    一般的なASPカートは、特定のページのデザインを変えようとすると、CSSなどが他のページにも影響し、デザインが崩れてしまうこともあります。commerce creatorは、そういった問題も発生しません。

    ユウキノイン 酒匂さん:ジャンルが異なるネットショップを同居させて、2階建てで作れるということですね。

    ソレプロ 市川さん:2階建てでも、3階建てでも、何階建てでも可能です。特定の商品ページだけデザインを変えるとか、特定のカテゴリーページだけデザインを変えるといったことも実現できます。

    ウェディングアイテムの「FARBE」、インテリアポスターの「FARBE Design」、ギフト商品の「OIWAI工房 by farbe」を運営している

    ──リニューアルを機に、コンテンツマーケティングも強化していますね。

    ユウキノイン 酒匂さん:リニューアル以前は、ECサイトの他にブログサイトが複数あり、それぞれバラバラに運用していましたが、リニューアル後はECサイトの直下にコンテンツを集約しました。これがSEOにも効果的に働き、ECサイトのアクセス数の増加につながっています。

    ソレプロ 市川さん:futureshopはWordPressをいくつも連携できるCMSオプション連携機能がありますので、ブログページやコーディネートページのWordPressをECサイトに組み入れることができました。

    リニューアル翌月の月商が昨対130%

    ──自社ECサイトをリニューアルしたことで、どのような成果が現れていますか?

    ユウキノイン 酒匂さん:リニューアルオープン翌月の2020年10月の月商が、前年同月(2019年10月)と比べて約130%に伸びました。新型コロナウイルスの影響が続いていた時期に、昨対130%というのは、驚きの数字でした。

    宮村さんの率直な感想として、自社ECサイトをリニューアルして良かったですか?

    ファルべ 宮村さん:それは、本当に良かったです。リニューアルしていなければ、今の状況を想像することすらできませんでしたから。

    商品の魅力をオンラインで伝える方法について議論する皆さん

    Saas型ECプラットフォーム「futureshop」を選んだ理由とは?

    ──自社ECサイトのプラットフォームをリプレイスする際に、プラットフォームを選ぶ基準として、どのようなことを重視されたのでしょうか。

    ユウキノイン 酒匂さん:プラットフォームを選ぶ際は、「お店として、何をしたいのか」「どういう売り方をしたいのか」をしっかり整理して、それに合った製品を選ぶことが重要だと考えています。EC事業を5年、10年、20年と続けていくには、どういったプラットフォームがベストなのか。初期費用やランニングコストだけで選ぶのではなく、運用を開始した後に発生する業務や、セキュリティ対策なども見据えて選択することが大切だと思います。

    ──市川さんは制作会社という立場から、futureshopをどのように評価してくださっていますか?

    ソレプロ 市川さん:futureshop は開発しやすいシステムですし、ECサイトを構築していく上で、技術的に分からないことが出てきたときに、フューチャーショップさんのサポート窓口を利用できることも、すごくありがたいです。フューチャーショップさんのサポート窓口は、ショップさんからの問い合わせに対応するだけでなく、弊社のような制作会社からの技術的な質問にも回答してくださいます。システム開発に関する高い技術と、深い知識をお持ちで、電話で質問すると迅速に回答を返してくださるのでとても助かっています。

    ──宮村さんは、futureshopの運用面について、どのように感じていますか?

    ファルべ 宮村さん:必要な機能がそろっていますので、本当に満足しています。痒いところに手が届くプラットフォームです。サポートに関しても、気軽に問い合わせができるので、EC運営を社内で続けていく上でのスタッフの安心感につながっているようです。

    ユウキノイン 酒匂さん:フューチャーショップさんはシステムを提供して終わりではなく、電話サポートや利用者向けのセミナーなど、アフターサポートが手厚いですよね。ECサイトは、作ってからがスタートですから、ECサイトを使いこなすためのサポートが手厚いことは、とても重要だと思います。

    プラットフォーム選びの基準や、futureshopの長所も語ってくださった

    株式会社ファルベが描くEC事業の展望

    ──ユニークな商品開発に取り組んだことも、売上回復につながったそうですね。

    ファルべ 宮村さん:フェイスガードとして使える席札や、マスクケースなど、コロナ禍で必要とされる商品を作りました。結婚式のキャンセルや延期が毎日のように発生していたことを受けて、新郎新婦さんのために私たちに何ができるのか、スタッフみんなが知恵を絞った結果として、アイデア商品が生まれました。それらの商品は全国ネットのテレビ番組にも取り上げられたこともあり、ヒット商品に育っています。

    ──最後に、ファルベさんの今後の展望についてお聞かせください。

    ファルべ 宮村さん:ウェディングアイテムのECサイト「FARBE」はもとより、インテリアポスターの「FARBE Design」や、ギフト商品の「OIWAI工房 by farbe」を、さらに活性化させたいです。

    これまでは新郎新婦さんに喜んでもらうための商品を中心に手がけてきましたが、今後は結婚後の生活で使える商品や、新郎新婦以外の方々にも喜んでいただける商品を増やしていきたいです。

    ──本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました! 

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