ブラデリスニューヨーク様

ゴールドフラッグ株式会社 藤井英里香さま(写真左)・谷杏奈さま(写真右)

コロナ禍で逆風が吹いているアパレル業界で、オンライン接客に取り組むことでECの売り上げを伸ばしているアパレルブランドがあります。機能性とデザイン性を兼ね備えた補整下着ブランド「BRADELIS NewYork(ブラデリスニューヨーク)」です。
2020年春以降、Instagramを使ったライブ配信を月2回行っているほか、それまで実店舗で実施してきた下着のフィッティングサービスをオンラインでも行うなど、さまざまなオンライン施策を導入。その結果、2020年のEC売上高が前年比145%に伸びるなど、EC事業の拡大に成功しました。
対面でカウンセリングを行うのが一般的な補整下着業界において、異色とも言えるオンライン接客を行い、コロナ禍でも顧客とのつながりを創出することに成功した「ブラデリスニューヨーク」。その成功の裏側には、2020年10月に自社ECサイトを刷新し、実店舗とECを連携したことによるオムニチャネル化がありました。
「ブラデリスニューヨーク」が取り組んでいるオンライン接客やオムニチャネルについて、ブランドを展開しているゴールドフラッグ株式会社の谷 杏奈さまと藤井 英里香さまにお話をうかがいました。

補整下着ブランド「ブラデリスニューヨーク」とは?

機能性とデザイン性を兼ね備えた補整下着ブランド「ブラデリスニューヨーク」1994年にニューヨークで誕生し、現在は実店舗が国内22店舗、海外に3店舗を展開中。テレビショッピング専門番組「QVC」や自社ECサイトなど、通販チャネルでも商品を販売している。2020年10月に「futureshop omni-channel」を導入し、ECサイトをリニューアル。実店舗とECのポイント統合や会員データの一元化を実現した。画像出典:ブラデリスニューヨーク公式ECサイトのトップページより

顧客接点を増やすためオンライン接客を強化

──2020年4月に1回目の緊急事態宣言が発令されて以降、オンライン接客を強化しているそうですね。

谷さま:はい。実店舗で接客を行いにくくなったことを受け、お客さまとの接点を増やすためにインスタライブ(Instagramを使ったライブ配信)やオンラインフィッティングサービスなどを開始しました。

補整下着は体のサイズを計測し、自分の体に合った商品を選ぶことが大切です。ですから、弊社はカウンセリングやフィッティングをとても重視しています。しかし、コロナ禍では店舗でお客さまと直接お会いすることが難しいケースも増えました。

ECで買い物をするお客さまの中には「この商品は自分に合っているのかな」「サイズを間違えたらどうしよう」といった不安を抱くお客さまも少なくありません。そこで、お客さまの下着選びに関する不安をできる限り取り除くために、オンライン接客を強化しています。

──インスタライブはどのような内容を、どの程度の頻度で実施しているのでしょうか。

谷さま:現在は月2回のペースで、午後9時〜10時に配信しています。シーズンごとの新商品やウェブ限定セールなど、商品の販売促進につながる情報を発信することもありますが、基本的には下着の選び方や、正しい着用方法など、お客さまに役立つ情報をお届けすることを意識しています。

ブラデリスニューヨークインスタライブ

インスタライブの様子

画像出典:ブラデリスニューヨークInstagram公式アカウント(bradelisnewyork_official)アーカイブ動画より

インスタライブがEC売上や来店促進に貢献

──インスタライブを行う上で、気をつけていることや意識していることはありますか?

谷さま:インスタライブは、お客さまとのコミュニケーションの場だと考えています。例えば、コメント機能を活用してお客さまのニーズや、よくある悩みなどをヒアリングし、できる限りその場で回答します。コメントに対して出演者が回答すると、とても喜んでいただけて、配信後にダイレクトメッセージで感想をくださるお客様もいるんです。

──インスタライブは商品を売ることだけが目的ではないのですね。とはいえ、インスタライブによる集客効果や、売り上げなどへの効果も気になるところです。

谷さま:インスタライブはECサイトの売り上げにもつながっています。売り上げへの貢献度は配信内容によって差がありますが、1度の配信でECの売り上げが約100万円伸びたこともありました。

また、インスタライブを見たことをきっかけに、実店舗に来店してくださるお客さまもいます。店舗に足を運んでくださった際に、「インスタライブを見ました!」「やっと店舗に来られるようになりました」とおっしゃってくださるお客さまも少なくありません。「ブラデリスニューヨーク」のことを知ってもらい、来店のきっかけを作ることができていることはインスタライブの成果の1つだと思っています。

オンラインフィッティングでECの単価アップも

──2020年11月からは、下着のフィッティングサービスをオンラインでも行っていますね。

谷さま:はい。実店舗とお客さまのご自宅をビデオチャットでつなぎ、フィッター(カウンセリングを行う店舗スタッフ)が一対一でお客さまの悩みをヒアリングしながら、体に合った下着をご提案します。ご自宅にいながら、店舗のようなカウンセリングを無料で体験していただけるサービスです。下着の選び方や使い方、買い替えのタイミングなどでお悩みのお客さまにオススメしています。

2020年11月から4カ月間はzoomを使っていましたが、2021年3月からはリモート接客ツール「VIRTUAL STORE(バーチャルストア)」を活用しています。

ビデオチャットツールを使い、オンラインフィッティングを実施している(画像はデモンストレーションのようす)画像出典:オンラインフィッティング紹介動画を加工して掲載

──オンラインフィッティングサービスは、どの程度のニーズがあるのでしょうか。

谷さま:お客さまからは、とても好評です。ECで購入する前にオンラインフィッティングを利用するお客さまもいますし、オンラインフィッティングの翌日に実店舗を訪れ、商品を購入してくださるお客さまもいます。フィッティングをオンラインで済ませておくことで、実店舗の滞在時間を減らすことができますから、コロナ禍でできるだけ外出を控えたいお客さまのニーズにも合っていたのでしょう。

私が想像していた以上のニーズがあり、正直驚いていますフィッティングサービスをオンラインで利用するお客さまがいらっしゃるのかは未知数でしたが実際はオンラインで接客を受けたいお客さまが、たくさんいらっしゃいました。

──オンラインフィッティングを実施したことで、ECの売り上げなどへの影響はありましたか?

谷さま:顕著に変化が表れたのはECの客単価です。ECの客単価は実店舗よりも低いのですが、オンラインフィッティングを利用したお客さまは、 ECでも店舗に近い客単価になります。フィッターと話をすることで、商品に対する納得感や安心感が高まり、そのことが単価にも影響しているのではないでしょうか。

また、オンラインフィッティングは実店舗の来店促進効果も生み出しています。例えば、近くに実店舗がないお客さまがオンラインフィッティングを利用し、それをきっかけに実店舗に来店してくださるケースもあります。新しいお客さまとの接点を創出できていることも、オンラインフィッティングの成果だと考えています。

定員100人のオンラインセミナーが告知後2時間で満席

──2021年5月からは、会員限定のオンラインセミナーも開催しているそうですね。どのようなセミナーなのでしょうか?

谷さま:下着の選び方や正しい着方の方法、買い換えのタイミングなどを店舗スタッフが解説するセミナーです。現在は月1回ほど開催しています。

事前予約制で定員は100名なのですが、予約メールを配信すると1~2時間で予約が埋まってしまうこともあるほど人気です。オンラインフィッティングを受けたいけれど、一対一のカウンセリングには踏み出せないお客さまもいらっしゃいます。オンラインセミナーはそういったお客さまからも好評です。

参加してくださったお客さまからは、「オンラインフィッティングを予約する勇気が出なかったので、こうした機会があってよかった」という感想もいただきました。オンラインで相談したいお客さまのニーズが大きいことを、あらためて実感しています。

オムニチャネルに取り組むためECシステムとアプリを刷新

──2020年10月にECシステムとアプリをリニューアルしました。「futureshop omni-channel」を導入していただき、ブランドのオムニチャネル化も加速させていますね。

藤井さま:オフラインとオンラインの両面でサービスを強化するために、ECサイトとアプリをリニューアルしました。

以前はECサイトをパッケージシステムで構築し、アプリはフルスクラッチで開発していたのですが、オムニチャネルに取り組むにはシステム改修の手間とコストがかさむなど、さまざまな課題がありました。そこで、オムニチャネルに対応できるECシステムとアプリにリプレイスしました。

リプレイス後は実店舗とECのポイントプログラムを統合し、購買データや会員情報も一元化しました。また、それまで実店舗では顧客カルテを紙で管理していたのですが、すべて電子化し、お客さまごとの購買履歴や接客の履歴などをデジタル上で共有できる仕組みも構築しています。

──ECシステムとアプリをリニューアルしたことで、デジタルマーケティングの施策に変化はありましたか?

藤井さま:お客さまに対するセグメント配信を、より細かく行えるようになりました。例えば、実店舗とECサイトの購買データを活用し、特定の条件のお客さまに対してマーケティングシナリオを組んでアプリのプッシュ通知やメルマガ配信などを行っています。

お客さまがいつ、どの店舗に来店し、何を買ったのか。また、オンラインではいつ何を買ったのか。さらには、オンラインフィッティングでどのようなカウンセリングを行ったのか。それらの情報も活用しながら、セグメントを細かく切って、お客さま一人ひとりに合った情報を届けることを目指しています。

店頭やコールセンターの接客もレベルアップ

──「顧客データの一元化」を実現したことで、店頭での接客にも変化はありましたか?

谷さま:会員さまが実店舗に来店した際に、店舗スタッフが顧客カルテを閲覧し、お客さまの購買履歴やオンラインフィッティングの履歴、過去にヒアリングしたお悩みなどの情報をすばやく確認した上で、それらの情報を踏まえて接客を行えるようになりました。

オンラインフィッティングでうかがった内容などを、店舗スタッフが再度質問することはありません。それはお客さまにとって心地よい購買体験につながっていると思います。

お客さまからすれば、オンラインカウンセリングでフィッターに伝えたことや、ECサイトで過去に買った商品などを店舗スタッフから再度質問されたら「情報は共有されていないの?」「購入履歴を見ていないの?」と不満を感じることもあるでしょう。そういった不満が積もり積もって、ブランドの不信感につながる可能性があります。オンラインフィッティングを強化する上で、顧客データの一元化は不可欠でした。

また、カスタマーサポート部門も顧客カルテを閲覧できますので、お客さまから電話やメールで問い合わせを受けた際には、お客さまをお待たせすることなく回答できます。

──実店舗とECのデータを一元化し、顧客カルテを電子化したことで、店頭やコールセンターにおける接客の質も上がったのですね。

谷さま:そうですね。このタイミングで顧客カルテの電子化を実現できたことは、非常に意義があったと思います。もし、実店舗とECの顧客データが一元化されていなければ、オンライン接客サービスを強化することも難しかったでしょう。

「futureshop omni-channel 」で実現したいサービスとは?

futureshop omni-channel サービスイメージ図

──「futureshop omni-channel」を導入していただいて約8か月経過しました。使い勝手などの観点で、導入後にどのような変化を感じていますか?

藤井さま:管理画面の操作などに携わっている担当者からは「作業をしやすくなったことが一番のメリット」という感想を聞きました。ECサイトのデザインやコンテンツを変えるとき、以前のシステムでは複雑なHTMLのコーディングが必要でしたが、futureshopはデザイン変更の操作も簡単なので、使いやすくなったそうです。

また、これは私の感想ですが、futureshopの商品登録などの操作も難しくありません。楽天市場など大手ECモールの操作に慣れている人であれば、futureshopの管理画面の操作は特別難しいことはないと思います。

──最後に、今後のオムニチャネルの展望をお聞かせください。

藤井さま:オムニチャネルを進める上で、商品の受け取り方法の選択肢を増やすことが必要だと感じています。特に、店舗受取を利用したいというお客さまが多いため、対応していきたいポイントです。

これはフューチャーショップさんへの要望になるのですが、「futureshop omni-channel」で店舗受取を利用できるようになるとオムニチャネルをさらに促進できると思います。

──貴重なご意見ありがとうございます。じつは店頭受取機能の実装に向けて開発を進めており、2022年の初旬をめどに正式に発表する予定です。

藤井さま:それはありがたいです。機能のリリースを楽しみにしています!

──本日は大変貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

インタビューを終えて

今回のインタビューでは、コロナ禍におけるオンライン接客の成功例を詳しくうかがいました。アパレル業界に限らず、対面販売の機会が減った企業さまにとって、示唆に富む内容だったのではないでしょうか。

下着のフィッティングサービスをオンラインで実施し、会員向けのオンラインセミナーを開催するなど、アパレルEC業界では異例とも言える施策が成功している背景には、店舗スタッフさんをはじめとする社員の皆さまとお客さまとの信頼関係があることは間違いありません。その上で、ECシステムやアプリを刷新し、商品力や接客といった自社の強みを発揮できる仕組みを構築したことが成功の要因と言えるでしょう。

弊社は、今回のインタビューでもご要望をいただいた店頭受取機能の実装を含め、「futureshop omni-channel」の機能を一層強化することで、店舗さまのオムニチャネルを支えてまいります。ぜひご期待ください。

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