YouTubeショッピングとは?機能や企業の活用事例をGoogle担当者が詳しく解説【セミナーレポート】

YouTubeショッピングセミナーレポートのサムネイルYouTubeチャンネルの「ストア」タブや、動画・ショート・ライブの画面上などに商品情報を表示し、ワンタップでECサイトへと視聴者を誘導できる「YouTubeショッピング」。その機能を使って動画コマースやライブコマースに取り組むEC事業者さまが増えています。自社ECサイトを運営している企業がYouTubeショッピングで成果を上げる方法とは?グーグル合同会社の仲田さんと陳さんに、YouTubeショッピングの基礎から活用法まで詳しく解説していただきました。

この記事は2024年8月20日に開催したオンラインセミナー「無料送客を実現!YouTubeチャンネルと動画をフル活用する『YouTubeショッピング』とは?」をもとに構成しています。

【スピーカー】

グーグル合同会社 YouTube ショッピングパートナーシップ マネージャー

仲田 真人(なかだ まさと)氏

2012年グーグル合同会社。YouTubeライブ、キッズなどの立ち上げ後、コンテンツパートナーシップマネージャーとしてクリエイターやMCNとのパートナーシップ業務に従事。2020年からYouTube ショッピングのパートナーシップ業務を開始。

 

YouTubeショッピングセミナーのスピーカー陳さん

グーグル合同会社 YouTube オペレーション マネージャー

陳 萌(ちん もえ)氏

テレビ局、デジタル音楽、MCNを中心に日本と中華圏のYouTubeのコンテンツパートナーのオペレーションサポート業務を担当。2023年から日本と中華圏のYouTubeショッピングのオペレーションサポート業務を開始。

 

YouTubeショッピングとは?

「YouTubeショッピング」とは、YouTubeチャンネルの「ストア」タブや、動画・ショート・ライブの画面上などに商品情報を表示し、ECサイトのリンクを設定できる機能です。視聴者が商品情報をタップするとECサイトの商品ページに遷移し、そのまま買い物をすることができます。商品情報はYouTubeチャンネルの次の箇所に表示されます。

  • YouTubeチャンネルの「ストア」タブ
  • 動画・ライブのコンテンツの下
  • 動画・ショート・ライブの画面上

【YouTubeチャンネルの「ストア」タブ】

YouTubeショッピングの機能説明スライド1

YouTubeチャンネルの「ストア」タブに最大30個の商品情報を掲載できる

【動画・ライブのコンテンツの下】

YouTubeショッピングの機能説明スライド2

動画・ライブのコンテンツの下に、タグ付けした商品情報が表示される

【動画・ショート・ライブの画面上】

YouTubeショッピングの機能説明スライド3

動画・ショートの画面上(左下)に商品情報を表示することもできる。タイムスタンプ機能で任意の表示タイミングを指定することも可能(ショートは未対応)

YouTubeショッピングの機能説明スライド4-2

ライブ配信中に商品情報を表示してライブコマースを行うことも可能

EC事業におけるYouTubeショッピングの有用性

YouTubeショッピングの特徴は「商品の認知獲得から興味・関心の喚起、ECサイトへの集客まで1つのコンテンツで完結できる」(仲田さん)こと。例えば、商品の正しい使い方や便利な活用法を解説する動画に商品情報をタグ付けすれば、視聴者に商品のことを詳しく知ってもらい、商品への興味・関心を掻き立てて、購入ページに誘導するまでの一連の施策をシームレスに実施できます。

また、最大1分間のショートを活用すれば新規顧客の開拓にもつながります。仲田さんはショートの特徴について「比較的再生されやすく拡散力があるため、商品の認知拡大につながる」と説明しました。

ライブコマースで会員限定のタイムセールを行うなど、既存顧客向けのマーケティングにYouTubeショッピングを活用することもできます。ライブコマースで使われることが多い他のソーシャル、ライブ配信プラットフォームでは、現時点ではライブ配信画面に商品情報を表示してECサイトへのリンクを貼ることはできません。ライブからECサイトに視聴者を直接誘導できることは、YouTubeショッピングのメリットと言えるでしょう。

YouTubeショッピングは新規顧客の獲得から既存顧客向けのマーケティングまで、さまざまな目的で活用できます(仲田さん)

 

YouTubeショッピングのフォーマットごとの特徴1

YouTubeショッピングのフォーマットごとの特徴2

動画・ショート・ライブはそれぞれ特徴があり、目的に合わせて使い分けることが重要だと説明した

視聴者に納得して商品を買ってもらえる

EC事業におけるYouTubeショッピングの有用性について仲田さんは、「動画やライブといった情報量がリッチなコンテンツを発信することで、視聴者に納得して商品を購入してもらえる」ことも挙げました。

売り手の皆さまが顔を出して商品について詳しく語ることで、視聴者は納得し、安心して買い物ができます(仲田さん)

さらに、YouTubeの利用者の71%が「元々買う予定がなかったものを買ったことがある」と回答したアンケート結果などにも触れ、YouTubeは購買促進にも効果があることをあらためて強調しました。

YouTubeは、予期せぬ発見や、商品との出会いのきっかけを創出します(仲田さん)

 

YouTubeは購買促進にも効果があることを示す調査結果

YouTubeショッピングの利用条件

YouTubeショッピングを利用するにはYouTube Partner Program(ユーチューブパートナープログラム 以下、YPP)に参加し、チャンネルの収益化を行う必要があります。以下の条件をクリアし、Googleの審査を通過すると、YPPに参加してYouTubeショッピングを利用することができます。

【YPP参加の条件(YouTubeショッピングの利用条件)】

  • YouTubeチャンネルの登録者数が500人以上
  • 直近90日間にアップロードした有効な公開動画が3本以上
  • 直近12ヶ月間における有効な公開動画の総再生時間が3000時間以上、または、直近90日間における有効な公開ショートの総視聴回数が300万回以上

YPPの要件を満たして審査を通過し、利用規約に同意していただくと、YouTubeショッピングを利用できます。要件を満たしたチャンネルの管理画面には「ショッピング」タブが表示されます(陳さん)

YouTubeの管理画面

YPPに参加したYouTubeチャンネルの管理画面には「ショッピング」タブが表示される

Googleマーチャントセンターに商品情報を登録

YouTubeショッピングを利用するには、Googleマーチャントセンターに商品情報を登録する必要があります。その後、YouTubeチャンネルの管理画面でコンテンツへの商品情報のタグ付けや、タイムスタンプの設定などを行います。

YouTubeの管理画面2

管理画面でコンテンツへの商品情報のタグ付けやタイムスタンプ、固定(ライブ画面上に商品情報を表示する機能)の設定などを行う

動画・ショート・ライブのコンテンツ例

仲田さんはYouTubeの動画・ショート・ライブの3つのフォーマットについて、YouTubeショッピングで成果を上げるコンテンツの作り方も解説してくださいました。セミナーではさまざまな企業のYouTubeチャンネルを紹介しながら解説していただきましたが、具体的な事例はセミナー限定での紹介だったため、この記事では要点をまとめてお伝えします。

動画のコンテンツ例

  1. 商品紹介:商品の特徴やこだわり、使い方などを長尺動画で詳しく説明する
  2. 商品レビュー:客観的な視点で商品のレビューを行い、その分野のプロとして視聴者から信頼を得て、ネットショップのブランディングにつなげる
  3. 企画動画:キャンプ動画の中でアウトドアグッズを紹介するなど、企画に絡めて商品を販売する
  4. メイキング:工場見学など、ものづくりの裏側を紹介する

長尺の動画は、ファンのエンゲージメントを高めながら、新規の視聴者にもリーチできるフォーマットです。商品の認知獲得から理解の促進、購入までシームレスにつなげることができます(仲田さん)

ショートのコンテンツ例

  1. 商品説明:商品の魅力をキャッチーな切り口で伝える
  2. メイキング:商品を製造する過程や、開発の裏側などをコンパクトにまとめる
  3. ハウツー:商品を使って困りごとを解決したり、生活が便利になる豆知識を伝えたりする
  4. リマインダー:セールやキャンペーン、期間限定アイテムの発売時期などをリマインドする

ショートは1分以内の動画なので、商品を詳しく紹介することには不向きですが、拡散されやすく新規の視聴者にもリーチしやすいため、商品やお店の認知拡大につながります。フリックで飛ばされないためには、最初の2〜3秒にキャッチーなトピックスを持ってくるのがポイントです。(仲田さん)

ライブのコンテンツ例

  1. 商品紹介:商品を紹介しながらコメントで寄せられた質問に答えるなど、双方向のコミュニケーションを通じて商品の魅力を伝える
  2. 受注会(ライブコマース):ライブで受注会(ライブコマース)を行い、YouTubeショッピングを活用して視聴者をECサイトに誘導する

ライブは視聴者ひとりひとりと丁寧にコミュニケーションを取ることができるフォーマットです。既存のお客さまや、ブランドのファンの方々に、より納得感のある買い物をしていただけます。フラッシュセールやタイムセールなどとの相性が良いのも特徴です(仲田さん)

YouTubeショッピング活用事例

ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」をご利用中の店舗さまが、YouTubeショッピングを活用して動画コマースやライブコマースに取り組むケースも出てきています。今回のオンラインセミナーで紹介されたものではありませんが、YouTubeショッピングの活用方法を知っていただくため、先進的な取り組みを進めているシャツ専門のECサイト「ozie」の事例を紹介します。

株式会社柳田織物が運営している「シャツの専門店ozieチャンネル」では、スーツやシャツのユーザーにとって有益な情報をコンテンツ化し、動画・ショート・ライブで発信しています。

例えば、「これはNG!結婚式にスーツで参列する際にしてはいけないネクタイ」という動画では、結婚式や披露宴に不向きなネクタイの特徴を解説するとともに、結婚式や披露宴にオススメのネクタイも紹介しています。そして、動画で紹介したオススメ商品をタグ付けし、視聴者がワンタップでECサイトの商品ページに遷移できるようにしています。

シャツの専門店ozieチャンネルのコンテンツ

動画で紹介したオススメ商品をタグ付けし、視聴者を自社ECサイト「ozie」の商品ページに誘導している

「シャツの専門店ozieチャンネル」はチャンネル登録者数4900人(2024年9月時点)で動画投稿数は500本を超えています。動画やショート、ライブをご覧いただくと、YouTubeを活用した動画コマースやライブコマースの参考になるでしょう。

futureshopとYouTubeショッピングの連携方法

ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」をご利用中の店舗さまは、必須要件を満たしているかの確認や、ECサイトとYouTubeチャンネルとの接続方法などのサポートを受けることができます。YouTubeショッピングの利用をご希望の方は、YPPに参加した上で、futureshopの管理画面内にある「YouTubeショッピング連携依頼」からお問い合わせください。futureshopとYouTubeショッピングの連携について詳しくはこちらのページにも記載しております。

YouTubeショッピングに関するQ&A

セミナーではQ&Aも実施し、参加者の皆さまから寄せられた質問に対して、仲田さんとフューチャーショップ・八木が回答しました。質問と回答の一部を紹介します。

【Q1】YouTubeでメインチャンネルとサブチャンネルを運用しています。複数のYouTubeチャンネルをfutureshopに連携することはできますか?

複数のYouTubeチャンネルをfutureshopに連携することも可能です。その際、futureshopへの申請はチャンネルごとに行っていただく必要があります(フューチャーショップ八木)

【Q2】国内のECサイトはfutureshopで運用し、越境ECサイトは他社のカートを使用しています。それぞれのECサイトにYouTubeチャンネルを連携することは可能ですか?

1つのYouTubeチャンネルを、複数のECサイトに連携することも可能です。なお、越境ECを行う場合には、Googleマーチャントセンターの商品情報(価格など)を各国に適した内容に変更してください(仲田さん)

【Q3】YouTubeショッピングで動画からECサイトに視聴者が遷移した場合、動画の滞在時間が短くなることで、そのコンテンツはYouTubeからマイナスの評価を受けますか?

YouTubeショッピングを経由して視聴者がECサイトに遷移しても、動画は再生され続けるため、離脱したことにならず、マイナスの評価を受けることはありません。スマートフォンでは小さい画面で再生され続け(Picture in Picture)、パソコンでは別ウインドウでECサイトが立ち上がります(仲田さん)

【Q4】YouTubeショッピングは利用料金がかかりますか?

現在は無料でご利用いただけます。futureshopとの連携にも費用はかかりません。今後はYouTubeショッピング経由で商品が売れた場合に販売手数料などをいただく可能性もありますので、無料のうちにぜひご活用ください(仲田さん)

【Q5】YouTubeチャンネルで動画の再生時間を伸ばす方法はありますか?

コンテンツを作る際は「自分が発信したいこと」よりも「視聴者が知りたいことや見たいもの」を発信することを心がけてください。再生回数の多いコンテンツの企画や構成を参考にするのも良いでしょう(仲田さん)

まとめ

国内の月間利用者数が7370万人という膨大なユーザー基盤を持つYouTubeは、ECにおける「動画コマース」や「ライブコマース」のプラットフォームとしても存在感が高まっています。YPPの参加条件はハードルが高いと感じるEC事業者さまもいらっしゃるかもしれませんが、まずは再生数が比較的伸びやすいショートから挑戦するなど、できることから始めてみると良いのではないでしょうか。

また、ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」で構築・運用しているECサイトはYouTubeショッピングと連携することができます。YouTubeショッピングとの連携をご希望の方は、管理画面の「YouTubeショッピング連携依頼」からお問い合わせください。