「なんとなくEC」はもう限界。2026年の激変環境でも自社ECを黒字化する「売上・利益計画」の絶対法則【セミナーレポート】
- 2026.07.23
2026.07.23

- 自社ECを“感覚”ではなく“数字”で伸ばす方法論
- 「広告」「SEO」「リピート」のチャネル別に売上計画を立てる方法
- 検索回数、クリック率、CV率から受注件数を逆算する考え方
- 原価、広告費、人件費などを踏まえて利益計画に落とし込む方法
- 計画と実績の差から、次に打つべき施策を判断する方法
広告費の高騰やSNS投稿の伸び悩み、AIの台頭による検索行動の変化など、自社ECを取り巻く環境はこの数年で大きく変わっています。
「モールで広告を出せば売れる」「SEOで上位表示できればアクセスが増える」「SNSを頑張ればフォロワーが増える」という時代が終わり、従来の手法だけでは売上拡大や黒字化の道筋を描きにくくなりました。
こうした環境でも“狙って”黒字化を達成している会社は、どのようなことに取り組んでいるのでしょうか。
2026年6月5日に開催したオンラインセミナー「自社ECの『赤字』はこれで終わらせる!必ず黒字化する売上・利益計画の絶対法則」では、EC支援で数多くの実績を持つ経営コンサルタントの橋本勇太さんが、感覚頼みのEC運営から脱却し、数字にもとづいて売上アップと黒字化を実現する方法を実例付きで解説しました。

経営コンサルタントの橋本勇太さん(写真右)が自社ECサイトの売上アップと黒字化を実現するための売上・利益計画の作り方を解説した
セミナーを通じて印象的だったのは、橋本さんの「数字から逃げない」という強いメッセージです。
広告・SEO・SNS・リピート施策など、やるべきことが増えるほどEC運営は感覚に流されやすくなります。しかし橋本さんは、そうした曖昧さを一つひとつ具体的な施策へと分解し、数値目標に落とし込む重要性を、熱量高く語りました。
参加者の皆さまからも次のような感想が寄せられ、大変ご好評をいただきました。
ECサイトを黒字化させるためのロードマップが明確になりました
こんなに細かく数字を精査しなくてはいけないのだと目からうろこでした
数字が大事とわかっていましたが、売上目標を「広告流入」や「オーガニック」などに細分化できていませんでした。大変勉強になりました
本記事ではセミナーの内容を詳しくレポートします。自社ECの売上が伸び悩んでいる方、黒字化までの道筋を描きたい方、広告・SEO・リピート施策の優先順位を整理したい方は、ぜひ参考にしてください。

経営コンサルタント
橋本 勇太 氏

商材や売上規模を問わず、数多くのEC事業者を売上アップ・黒字化に導いてきた
目次
2026年は従来のやり方だけでは伸びない:自社ECの3つの環境変化
橋本さんはセミナーの冒頭、「自社ECを取り巻く環境が大きく変わり、これまで通りのやり方が通用しなくなっている」と指摘しました。
特に大きな変化として挙げたのは「広告CPCの上昇」「SNS運用の難易度が上昇」「従来型SEOの限界」の3つです。それぞれ詳しく見ていきます。
- 広告CPCの上昇
- SNS運用の難易度が上昇
- 従来型SEOの限界
広告CPCの上昇
CPC(Cost Per Click):1クリックあたりの広告費。クリック単価とも呼ばれる。計算式は「広告費÷クリック数」
橋本さんは、検索連動型広告のキーワード入札の競争が激化していることに触れ、「以前と同じ広告予算をかけても獲得できるクリック数が減っている」と説明しました。
集客を広告に頼っているEC事業者は、売上高に占める広告費の比率が上昇しています(橋本さん)
このとき、運用型広告のROAS目標を高く設定して費用対効果を上げようとすると、「広告の配信量そのものが減り、かえって売上が落ちてしまうことがある」と警鐘を鳴らしました。
運用型広告でROASの目標を引き上げると、広告媒体は「購入につながりそうなユーザー」に配信を絞り込みます。その結果、ますます広告が表示されにくくなり、売上が落ちてしまうケースが実際に出てきています。広告だけで売上を伸ばそうとするのではなく、広告を通じて得られたデータを活用することが重要です(橋本さん)
SNS運用の難易度が上昇
2つ目の変化は、SNS運用の難易度が上がっていることです。
SNSの運用は担当者のセンスやスキルに成果が左右されやすく、プラットフォームの仕様変更によって成功パターンが使えなくなるといった難しさがあります。「その傾向がより顕著になっている」と指摘した上で、「近年は企業や個人の参入が増えて競争が激化し、とりあえず投稿すればフォロワーが伸びる時代ではなくなった」と述べました。
手が空いた人が片手間で運用するような体制では、SNSで安定的に売上を獲得し、黒字化まで持っていくのはほぼ不可能です(橋本さん)
従来型SEOの限界
3つ目の環境変化は、従来型のSEOが通用しにくくなっていることです。Google検索にAI Overviews(AIによる概要)が表示されるようになるなど、AIの台頭によってゼロクリックが広がったこともあり、「もともと検索回数の少ないキーワードでは、上位表示してもアクセスがゼロという例が出できている」(橋本さん)と説明しました。
検索ボリュームが多く、かつ購入につながるキーワードを精査し、そのページがいくらの売上につながるのかまでシビアに計算してSEOに取り組む必要があります(橋本さん)
3社の成功事例:黒字化の鍵は「売上・利益計画」の策定
こうした厳しい環境でも、自社ECの売上拡大と黒字化に成功している事業者は、どのようなことに取り組んでいるのでしょうか。橋本さんは、業績が伸びている会社と停滞している会社の差を1枚のスライドに整理しました。

伸びている会社の特徴をひと言で表すと「根拠のある数字で売上・利益の計画を作り、PDCAサイクルを回している」ことが見えてきます。
ここからは、上記の伸びている会社の特徴を満たし、売上拡大と黒字化を実現した3社の成功事例を紹介します。いずれも、橋本さんが実際に支援した事例です。3つの成功事例に共通しているのは、売上・利益の計画を策定し、その計画を達成するための施策をやり切ったことです。
【礼服EC】検索回数から逆算してチャネル別に売上計画を策定、4カ月目で黒字化
礼服(ブラックフォーマル)のレンタルECをゼロから立ち上げたA社は、検索エンジンにおけるキーワードの検索回数から逆算し、広告とSEO(オーガニック流入)のチャネル別に売上計画を策定しました。
Google広告のキーワードプランナーで主要なキーワードの月間検索ボリュームを調査した結果、「礼服 レンタル」は月間約2万回、「礼服」「喪服」などの単体ワードは合計で月間約20万回あることが判明しました。
この数字を前提に、リスティング広告とSEOで半年後に月商40万円、1年後に月商105万円という計画を立てました。
そして、実行フェーズではキーワード別のコンバージョンデータを細かく精査し、リスティング広告の改善とSEOのコンテンツマーケティングを継続。その結果、計画より大幅に前倒しとなる4カ月目で月商105万円、黒字化を達成しました。
【A社が策定した計画値】
1.リスティング広告の売上計画:月商40万円
- キーワードの検索回数は合計22万回を想定
- クリック率2.5%(=アクセス5500人)
- コンバージョン率1.5%(=受注83件)
- 客単価5000円
2.オーガニック流入の売上計画:月商65万円
- キーワードの検索回数は合計22万回を想定
- クリック率4%(=アクセス8800人)
- コンバージョン率1.5%(=受注132件)
- 客単価5000円

【古着EC】広告×SEO×リピートで自社ECの月商1000万円達成、脱モール依存に成功
2社目の事例は、楽天では月商2000万円規模でありながら、自社ECサイトは月商5万円以下の状態が3年以上続いていた古着ECのB社です。
B社は“脱モール依存”に向け、リスティング広告とSEOで自社ECサイトの新規顧客を獲得し、リピート施策を組み合わせて月商1000万円を達成する計画を立てました。
Google広告のキーワードプランナーでキーワードの月間検索ボリュームを調査したところ、「ブランド名+古着」は月間約7万回、「古着 通販」は月間約30万回あることがわかりました。
「ブランド名+古着」は購買確率が高く、競合ショップも比較的少ないことから、リスティング広告を中心にクリックを獲得する計画を立てました。
一方、「古着 通販」などのビッグワードは広告単価が高いため、SEO対策を通じたオーガニック流入でのアクセス獲得を狙ったといいます。
また、新着商品が毎日入荷される強みを活かし、既存顧客に対してメルマガやLINEなどで商品を案内してリピート売上を増やしていきました。

B社はさらに、検索クエリ(キーワード)ごとに想定されるクリック率やコンバージョン率、入札単価、リピート率などを精査して売上計画を策定したほか、商品ごとの原価や粗利率などを踏まえてコストシミュレーションを行いました。
その上で、費用対効果の高い広告媒体に広告予算を寄せていくなど、運用改善にも取り組んだ結果、1年4カ月目に自社ECで月商1000万円を達成し、黒字化も実現しました。
その後はSEOとリピート対策を加速させ、広告費を減らしながら自社ECで月商2000万円を達成しています。

【カー用品EC】施策の「優先順位」を明確化。自社ECの月商8000万円超に
3つ目の事例は、Amazonでは月商7000万円を売り上げていましたが、自社ECサイトは月商500万円以下だったカー用品ECのC社です。
自社ECサイトが伸び悩んでいたC社は、広告運用・SEO・リピート対策のアイデアはあったものの、「何を頑張り、何をやらないか」の整理が不十分だったために、施策をやり切れず出費が増える状態でした。
そこで、施策の優先順位を明確化するために、まずは自社ECの月商を2000万円に引き上げ、その後、Amazonを超える売上規模を目指すという2段階の計画を作成しました。

商品ごとの原価率を踏まえ、目標売上高の達成に向けて使える販促費を算出するなど、「施策の優先順位づけと、根拠のある数字にもとづく計画策定」(橋本さん)を行いました。
リスティング広告とSEOでは、一般ワードと指名ワードを分けて計画を立て、キーワードごとの費用対効果にも目を配りました。実際の広告運用は橋本さんが代行してPDCAサイクルを回し、SEOの記事制作には外部ライターを活用。同時に、費用対効果にもとづく「撤退ライン」も設定するなど、運用面も徹底しました。
その結果、5カ月目には計画の第一段階である月商2000万円を達成。その後も施策を実行し続けた結果、11カ月目で月商8000万円を超えて計画の第二段階もクリアしました。

売上・利益計画表がもたらす3つのメリット
こうした成功事例も踏まえ、売上・利益計画を策定するメリットを橋本さんは次の3つに整理しました。
【売上・利益計画を策定するメリット】
- 今、優先してやるべき対策が明確になる
- ECの投資先行に納得でき、施策がブレなくなる
- 社内の予算承認が通りやすくなる
今、優先してやるべき対策が明確になる
自社ECの現場では、広告・SEO・SNS・メルマガ・LINE・商品ページ改善など、やるべきことが無数にあります。それらすべてを同時に進めようとすると担当者は疲弊し、成果も見えにくくなります。
一方、計画表があれば、目標から逆算して施策の優先順位を決めることができます。「今月から半年間、SEO記事を月10本増やす」「3カ月後からメルマガとLINEをはじめてリピート売上を20%増やす」など、やるべき施策が具体的に見えてきます(橋本さん)
ECの投資先行に納得でき、施策がブレなくなる
EC事業では、先に投資が発生し、利益は後からついてくるパターンが多いです。
広告は先にコストを払ってデータを取り、運用改善を通じて利益を出す。SEOは、まずはコンテンツを作り、徐々にアクセスが増えて売上・利益が伸びる。リピート対策は初めに会員数を増やし、その後の安定的な収益につながっていく。
こうしたEC事業の構造を理解した上で、売上と利益の計画を策定すれば、「広告費を使いすぎているのではないか」「SEOに投資して意味があるのか」といった先行投資に対する漠然とした疑問や不安を払拭でき、施策もブレなくなります(橋本さん)
社内の予算承認が通りやすくなる
広告予算などを社内で申請する際は、キーワードの月間検索回数・想定クリック率・想定コンバージョン率などをもとに、売上と利益の見込み額を具体的に説明すると、経営層や上司は可否を判断しやすくなります。広告予算が承認されないと悩んでいる方は、まずは売上・利益計画を作ってみてください(橋本さん)
自社ECの売上計画は「3階建て」で作る
セミナーの核心は、自社ECの売上計画を「3階建て」で作るという考え方です。
売上全体を1つの数字で追うのではなく、①広告経由売上、②自然流入経由売上、③リピート売上の3つに分けて、それぞれの数字を積み上げて自社ECの売上計画を策定します。
そして、売上計画を3階建てで作った後に、費用を加味して利益計画に落とし込みます。
【3階建ての売上計画】
1階:広告経由の受注計画
2階:自然流入(SEO)経由の受注計画
3階:リピート経由の受注計画
【計画策定のポイント】
- 広告経由売上は「検索連動型広告」の計画から、自然流入計画は「SEO対策」の計画から立てると作りやすい
- これまでの運営実績のデータがあれば、それが数値の根拠になるので、最初に一度過去のデータを集める

1階:広告経由の受注計画
売上計画の1階は「広告経由の受注計画」です。
橋本さんは、計画をもっとも立てやすい広告として「検索結果に表示されるキーワード連動広告(Google広告、Yahoo!広告、Microsoft広告など)」を挙げました。
具体的には、次の数式を使い、キーワードの検索回数・クリック率・コンバージョン率を掛けて受注件数の計画を導きます。

たとえば、検索回数が7万回、クリック率が2%、コンバージョン率が1%なら、受注件数は14件です。そこに客単価を掛ければ売上高が出ます。
さらに、検索回数にクリック率を掛けたクリック数と、クリック単価を掛け合わせれば広告費も計算できます。なお、キーワードごとの検索ボリュームはGoogle広告のキーワードプランナーで調査できます。


2階:自然流入(SEO)経由の受注計画
売上計画の2階は「自然流入(SEO)経由の受注計画」です。
自然流入(SEO)経由の受注計画は、考え方は広告と同じで「検索回数×クリック率×コンバージョン率」で受注件数の計画を立てます。セミナーでは、クリック率の目安として「1位表示が約25%、中位が約6%、下位が約2%」という数字が示されました。

橋本さんは自然流入について「広告よりクリックを集めやすく、広告費がかからないため取り組む価値は高い」と説明しました。ただし、AI OverviewsなどのAI回答が検索エンジンに実装された影響もあり、従来と比べてSEOの難易度が上がっていることに言及し、「漠然と選んだキーワードを詰め込んだだけの記事を量産しても成果は出ない」と指摘。検索回数のボリュームがあり、かつ購入にもつながりやすいキーワードを吟味し、質の高い記事を書くなど、「これまで以上に丁寧なSEOが求められる」と強調しました。

3階:リピート経由の受注計画
売上計画の3階部分は「リピート経由の受注計画」です。
橋本さんはリピート対策について「広告やSEOと比べて、費用も手間も少ない」と説明し、「リピートが見込める商材なら、ここを強化して利益を増やすべき」と強調しました。
リピート経由の受注件数は次の式で求められます。

会員数は「当月の新規客受注数 × 会員登録率 + 前月末の会員数」で積み上げていきます。
商材によって会員登録率やリピート発生率は異なりますが、「過去データがある場合はそれを基準にし、データがなければ仮説を置いて検証」(橋本さん)します。
また、会員数が増えると休眠会員も増えるため、一般的にリピート発生率は下がりますが、「新商品やイベントの頻度を上げてリピート発生率を引き上げていく」(橋本さん)と説明しました。

黒字化への「利益計画」を作る
3階建ての売上計画を作ったら、EC事業にかかる原価、人件費、広告費、送料、梱包資材費、決済手数料、システム利用料などの費用を加味し、月別の利益計画を策定します。
費用は送料・梱包資材費・決済手数料などの変動費と、家賃やシステム利用料などの固定費に分けて織り込みます。

初期段階では赤字でも、①広告の改善、②SEOによる上位表示、③リピート受注の促進を通じて黒字化を目指す
計画と実績の「差」から次の一手を見出す
売上・利益計画は作って終わりではありません。「計画の横に実績を記入し、進捗状況を明確にすることが重要」(橋本さん)と指摘しました。
たとえば、ある月の実績でリスティング広告は計画を上回っている一方、SEO経由の売上が計画を下回っていたとします。この場合、売上全体を見ると「まずまず順調」と判断してしまいがちです。しかし、チャネル別に見ればSEOのテコ入れが必要であることは一目瞭然です。リスティング広告の担当者もコンテンツマーケティングに協力し、SEOのスピードを上げるといった対策が必要になります。
このように、計画の進捗状況をチャネル別に細かく見ることで、現状を高い解像度で把握し、必要な判断を下すことができます。
EC事業が成長し、日々の仕事で管理すべきタスクが増えると、担当者の情報処理が追いつかず、感覚的な運用に陥りがちです。だからこそ、“感覚”ではなく“数字”で現状を捉え、優先順位や進捗状況を可視化する仕組みとして売上・利益計画が必要です。
計画と実績を並べて見ると、「どこに遅れが生じているのか」「どの施策が成果につながっているのか」「どこに人と予算を寄せるべきか」といったことがクリアに見えてきます(橋本さん)

成果を出しているEC事業者は「計画」から「運用」までやり切っている
橋本さんはセミナーの最後に、自社ECが伸びている会社は「感覚ではなく、数字で施策を考えている」とあらためて訴えかけました。ただし、数字の重要性を強調しながらも、橋本さんはこうも釘を刺します。
計画をつくることは、あくまで手段。やると決めた施策を、最後までやり切ることが何より大切です(橋本さん)
最後に橋本さんは、次のように述べてセミナーを締めくくりました。
計画策定や運用を自社だけで進めるのが難しい場合は、外部の専門家を活用するのも有効な選択肢です。外部パートナーと組むことで、成長が加速し、売上や利益の計画を早期に達成した企業を数多く見てきました。自社ECの戦略設計、売上改善、運用体制づくりなどに課題を感じている方は、信頼できるパートナーに頼ることも検討してみてください(橋本さん)
自社ECサイトの売上拡大と黒字化を支援する各種セミナー・コンサルティングを提供
今回のセミナーで講師を務めた橋本さんは、EC事業の売上・利益計画の策定から社内で自走するための運用レクチャー、広告・SEO・リピート施策の指導まで3カ月で伴走する「自社EC 売上利益計画 策定パッケージ(3カ月集中伴走支援)」を提供しています。興味がある方は、こちらのフォームからお問い合わせください。
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