YouTube登録者15万人!洗車用品EC「ビューティフルカーズ」が顧客から熱狂的に支持される理由
- 2025.10.21
2025.10.21
YouTubeチャンネルの登録者数が約15万人、動画の総再生回数は9700万回を超えるなど、YouTubeによる情報発信を通じてファンを増やしている企業があります。
洗車用品やオートディテイリング(洗車・研磨・コーティング)のブランド「BEAUTIFUL CARS(ビューティフルカーズ)」を展開している株式会社ホワイトシードです。
多くのファンに支えられ、2012年の創業から12期連続増収を達成するなど、ECを中心に事業拡大を続けている同社。その背景には、洗車のノウハウを惜しげもなく動画で公開し、オートディテイリングのプロとしての信頼を得ながら、洗車講習会やYouTubeライブで顧客と交流する独自の取り組みがありました。
「ビューティフルカーズ」が顧客から熱狂的に支持される理由とは?
EC事業の現状やYouTube動画の作り方、顧客とのコミュニケーションで大切にしていることなどについて、洗車ユーチューバーとしても活躍している村上篤社長と佐藤桃佳取締役にお話をうかがいました。

「BEAUTIFUL CARS(ビューティフルカーズ)」は株式会社ホワイトシード(本社秋田県)が運営しているオートディテイリングブランド。洗車やコーティングのプロショップを展開しているほか、洗車用品をECサイトや実店舗、オートバックスの店頭などで販売している
株式会社ホワイトシード
代表取締役 村上 篤さん
1998年からオートディテイリング業界に従事。「良質な雇用を生む」ことを目的として、2012年にホワイトシードを設立。翌2013年に「BEAUTIFUL CARS」を立ち上げた。研磨・コーティングの卓越した技術と、20年以上探求・実践してきた、長く楽に愛車を美しく保つ洗車方法に定評がある。
株式会社ホワイトシード
取締役 営業本部長 佐藤 桃佳さん
「BEAUTIFUL CARS 洗車チャンネル」に出演するとともに、洗車や研磨、コーティングを行い、“ドリフトキング”ことレーシングドライバーの土屋圭市さんから愛車「トヨタ86(通称クロハチ)」、「ホンダ シビックタイプR」のオートディテイリングも任されている。 洗車講習会の講師、業界団体での講演などマルチに活躍している。
株式会社フューチャーショップ
取締役 安原 貴之
futureshopのマーケティング部を統括。2012年にフューチャーショップ入社、2022年6月から現職。車の運転が大好きで、週末に家族と車で出かけるのが楽しみ。「BEAUTIFUL CARS 洗車チャンネル」を参考にしながら愛車の洗車を隔週で行っている。
目次
「BEAUTIFUL CARS」自社ECサイトの会員数は3万人超
fs 安原:はじめに、株式会社ホワイトシードの事業や商品、ECの現状について教えてください。
村上さん:弊社は洗車や研磨、コーティングといったオートディテイリングのプロショップを展開しています。現在はフランチャイズ加盟店5カ所と直営店1カ所の合計6店舗です。
洗車用品の物販も行っており、洗車用シャンプー、クレンザー、リムーバー、コーティング剤などのシリーズ「ビューティフルカーズ セレクション」のほか、洗車用純水器や高圧洗浄機もECサイトと実店舗で販売しています。
fs 安原:業績が伸びているとうかがいました。
村上さん:おかげさまで創業以来、2024年11月期まで12期連続増収です。今期(2025年11月期)の年商は過去最高となる約5億円を見込んでいます。
2016年に開始したEC事業が会社の業績をけん引しており、EC売上高は会社全体の約83%。現在運営しているネットショップは自社ECサイト、楽天、Amazonの3店舗です。
fs 安原:futureshopで運用している自社ECサイト「BEAUTIFUL CARS オンラインショップ」も好調ですね。
村上さん:新規のお客さまが着実に増えていることに加え、リピート率の向上が売上拡大につながっています。自社ECサイトの会員数は3万人を超えました。F2転換率(初回購入者が2回目の購入に転換した割合)は約42%です。

「BEAUTIFUL CARS」の公式オンラインショップ。2021年6月からfutureshop(commerce creator)で運用中。
YouTubeショッピングで月間7000人が自社ECサイトに流入
fs 安原:自社ECサイトへの集客は、どのように行っているのでしょうか。
村上さん:YouTubeチャンネル「BEAUTIFUL CARS 洗車チャンネル」が集客の要になっています。
ECサイトで買ってくださるお客さまは、YouTubeの動画を視聴したことがきっかけでビューティフルカーズを知り、検索エンジンで調べてブランドサイトやECサイトに流入するケースが多いです。
洗車動画の投稿を本格的に始めたのは2018年2月です。オートディテイリングのプロならではの洗車の手法や、多くのカーユーザーが疑問に思うことへの回答などを、分かりやすく解説しています。これまで1100本以上の動画を投稿し、総再生回数は9700万回を超えました(※2025年8月末時点)。
2025年春からは、YouTubeショッピングを導入して動画から自社ECサイトの商品ページにユーザーを誘導しています。YouTubeショッピングの月間インプレッション数は約85万回、月間クリック数(ECサイトへの流入数)は約7000件です。

240万回以上再生されている人気の洗車動画。YouTubeショッピングを導入しており、画面の下と右(赤枠部分)に表示された商品情報からワンクリックでECサイトの購入ページに遷移する
洗車のノウハウをYouTubeで公開している理由
fs 安原:洗車のノウハウを動画で公開するようになったきっかけを、お聞かせいただけますか?
村上さん:オートディテイリング業界の健全な発展のためには、オートディテイリングの正しい知識を発信していく必要があると感じたからです。
洗車の正しい方法は、まだ十分に知られていません。間違った方法で洗車したり、本来は必要のないコーティングをしたりして、車本来の美しさが損なわれていることが多いんです。
塗装を傷つけることなく車の汚れを落とすには、ほこり、泥、油、金属粉など、汚れの種類に適した薬剤を使う必要があります。汚れを落とす順番も重要です。
洗車の正しい方法を私たちが伝えていくことで、オートディテイリングに興味を持つカーユーザーさんが増えれば、オートディテイリング市場が拡大し、巡り巡って弊社のためにもなると考えています。

汚れを落とす正しい手順を説明する佐藤さん。村上さんは「洗車の正しい方法を発信し、オートディテイリング市場の健全な発展に貢献したい」と熱を込めて語った
YouTube動画の作り方・撮影機材・編集の体制
fs 安原:YouTube動画の撮影方法や編集、企画の立て方などを教えていただけますか?
佐藤さん:動画の出演者は村上と私です。企画のアイデアを立案する社員は別にいて、その社員が提案してくれた企画案をもとに動画の内容を考えます。
動画の編集やテロップなどは、担当の社員が1名おりますが、かなり時間がかかる作業なので、外部パートナー1名にも委託しています。
fs 安原:撮影機材は、どのようなものを使っているのでしょうか。
佐藤さん:現在は主にiPhoneを使っています。ジンバル(撮影時の手ブレを抑える機材)を取り付けて、ワイヤレスマイクの受信機をiPhoneに刺して撮影しています。
動画撮影用のカメラを使うこともありますが、撮影の手軽さや編集のしやすさ、バッテリーの持ち、画質など総合的に考えるとiPhoneで十分だと思います。

「BEAUTIFUL CARS 洗車チャンネル」では1100本以上の動画を公開している
再生数が伸びる企画を考える方法論
fs 安原:再生数が伸びる企画を考えるコツはありますか?
佐藤さん:お客さまの課題を解決するには、どのような情報を提供すればよいか、という視点で企画を考えています。方法論として2つのパターンがあります。
1つ目のパターンは、今、YouTubeで見られやすいテーマを見つけること。たとえば、春なら「花粉を落とす方法」、夏なら「暑い中で洗車をする方法」といった具合に季節性をからめるとアイデアを出しやすいかもしれません。また、YouTubeで洗車系のコンテンツがバズっていたら、その動画の関連動画として視聴されやすいテーマで動画を撮ることもあります。
2つ目のパターンは、洗車に関する普遍的な知識を解説する動画です。たとえば「正しい洗車の方法とは?」「水垢を簡単に落とすには?」「新車にコーティングは必要?」など、多くのカーユーザーが抱く普遍的な疑問への解説動画は、長い期間でじわじわ再生数が伸びていきます。
fs 安原:1100本以上も動画を出していると、ネタに困ることはありませんか?
佐藤さん:ネタに困ったら、お客さまの声に耳を傾けます。YouTube動画のコメント欄やSNSのリプライ、YouTubeライブで寄せられたコメントなどからインサイトを深掘りして動画のテーマを考えることもあります。
また、動画のテーマは必ずしも毎回新しいものである必要はないと思っています。たとえば「猛暑の時期に洗車する方法」といった季節性のある動画は、翌年の同じ時期にブラッシュアップして新しい動画を出すこともあります。新車を買う人は毎年いるわけですから、その人たちに向けてアップデートした動画を出せば、動画の内容が過去動画と大きく変わらなくても、新しい動画の再生数もしっかり伸びるという実感があります。

「BEAUTIFUL CARS 洗車チャンネル」のファンの一人として、ユーザー目線も取り入れながらインタビューする安原
台本なしで話すコツは「ペルソナとゴールを決めておく」
fs 安原:動画に台本はあるのでしょうか。
佐藤さん:台本は作っていません。動画のアウトラインやタイトル、サムネイルのイメージは事前に決めておきますが、しゃべっている内容はアドリブです。
撮影を始める前に動画のペルソナとゴールを設定し、撮影が始まったら、ペルソナが目の前にいると思ってカメラに向かってしゃべります。
ペルソナとゴールが明確に決まっていれば、自然と言葉が出てくるんです。たとえば「20代、女性、車を買ったばかり、洗車は初めて」というペルソナに向けて、「初心者でも洗車ができるようになる」というゴールを設定する。あるいは「50代、男性、こだわりが強い、論理的な話が好き、年収高め」というペルソナに対して、「コーティングに対する疑問が解消される」というゴールを設定する。
このように、「誰に向けて、どのような課題を解決するか」を明確に決めておくことがポイントです。
動画を通じて発信することは、対面でお客さまを接客することと、本質的に同じだと思っています。動画であれ対面の接客であれ、オートディテイリングのプロとして、お客さまの悩みを解決することを第一に考えています。

台本なしで動画を撮影するコツについて「ペルソナが目の前にいると思って、カメラに向かってしゃべること」と話す佐藤さん
YouTubeライブでコアなファンと交流
fs 安原:近年はYouTubeライブも行っていますね。
佐藤さん: 2023年にYouTubeライブを始めました。コメントで寄せられた質問に、村上と私がその場で答えます。月1〜2回の頻度で行っており、2025年8月末までに合計114回配信しました。
現在は21時にスタートして23時〜24時ごろに終わることが多いです。視聴者数は波がありますが同時接続で200〜600人ほど。1回あたりの累計視聴回数は平均約4000回です。
fs 安原:同時接続で200〜600人とは、すごいですね。視聴者数を増やすために意識していることはありますか?
佐藤さん:ライブを見に来てくださった視聴者さんと、できる限りコミュニケーションを取ることを大切にしています。
たとえば、配信開始から22時までの1時間にいただいたチャットは、原則としてすべて読みます。「こんばんは!」とか「ビューティフルカーズの商品を初めて使ってみました!」といった雑談にもお返事しています。
fs 安原:自分が投稿したコメントを読んでもらえることが分かっていれば、視聴者さんも質問しやすいですね。
佐藤さん:コメントで寄せられる質問は、洗車の方法や製品の使い方など、毎回同じような内容も多いのですが、質問者さんや視聴者さんは毎回違うわけですから、その都度すべてにお答えすることが大事だと思っています。
なにより、ライブでコメントしたのにスルーされてしまったら、視聴者さんは「悲しいな」「残念だな」という気持ちになると思うんです。せっかく私たちのライブに来てくださった方々が残念な思いをしないように、現在の回答スタイルにしています。

YouTubeライブでは視聴者さんからの質問に、その場で回答する。配信開始から1時間以内(22時まで)に寄せられたコメントは原則としてすべて読み上げる
洗車講習会などリアルの場も大切な顧客接点
fs 安原:動画やライブ、対面での接客など、すべてにおいて常にお客さまの視点に立ち、お客さまとのコミュニケーションを大切にしているのですね。
村上さん:お客さまとのコミュニケーションという意味では、リアルの場も大切にしています。
たとえば、お客さまの車を洗車しながら、洗車の正しい方法を知っていただく洗車講習会を「BEAUTIFUL CARS」の埼玉の直営店や全国のオートバックスの店頭などで行っています。YouTubeチャンネルの視聴者さんが遠方から足を運んでくださることもありますし、洗車講習会がきっかけでEC会員になってくださるケースもあります。
fs 安原:動画やライブなどオンラインの施策と、洗車講習会のようなオフラインの施策を組み合わせて、お客さまとのコミュニケーションを深めていると。
村上さん:オンラインとオフラインは、どちらも大切な顧客接点です。オンラインだけでは認知度の広がりに限界がありますし、オフラインだけではスケールメリットを出しにくい。両輪で取り組んでいくことが重要だと考えています。

洗車講習会では、お客さまの車を洗車しながら洗車の正しい方法を解説している
離れかけて再認識したfutureshopの魅力
fs 安原:せっかくインタビューの機会をいただきましたので、futureshopに対する感想も、ぜひお聞かせください。
村上さん:ここまでECが伸びたのはfutureshopのおかげだと思っています。
プラットフォームとしての魅力はたくさんありますが、特にメリットとして感じていることを1つ挙げるならば、デザインカスタマイズの自由度が高く、ノーコードで編集できるパーツ機能もあるため、ページの設計や作り込みを行いやすいことですね。
佐藤さん:futureshopは標準機能が充実していますし、外部連携サービスやオプション機能も豊富なので、やりたい施策をなんでも実現できるという印象があります。
SaaS型なのでシステムのバージョンアップが定期的に行われますし、サードパーティアプリを自分たちでインストールする必要もないため、システム運用やセキュリティ対策の負担がないこともメリットです。
また、電話やメールで手厚いサポートを受けられるのもありがたいです。機能の使い方が分からないときや、ECサイトの運用についてアドバイスをいただきたいときなど、質問すればすぐに返答していただけるので助かっています。
村上さん:じつは2024年初旬に、他のプラットフォームへの乗り換えに着手したことがありました。当時はfutureshopがYouTubeショッピングに連携していなかったため、YouTubeショッピングが使えるプラットフォームにリプレイスすることにしたんです。
ただ、ECサイトの構築を進めていくなかで、乗り換え先のプラットフォームは機能や費用、使い勝手、サポート体制など、さまざまな点で課題があることが分かってきました。たとえばfutureshopでは標準プランで使えていた機能が、そのプラットフォームでは追加で従量課金が発生したり、そもそも使えなかったりすることがあったんです。
そうこうするうちにfutureshopがYouTubeショッピングに連携したため、そもそもリプレイスする理由がなくなり、元の鞘に収まってfutureshopを使い続けることになりました。
2021年にfutureshopを導入したときは、信頼できる知人からfutureshopをお薦めされたこともあり、他のECプラットフォームと比較しませんでした。今回、ECプラットフォームのリプレイスを検討し、他のプラットフォームを使ったことで、結果的にfutureshopがいかに素晴らしいかを実感しました。

「ECプラットフォームのリプレイスを検討したことで、あらためてfutureshopの良さを実感した」と語る村上さん
さらなるノウハウ公開でお客さまの課題解決に貢献
fs 安原:最後に、今後の抱負をお聞かせください。お客さまを増やしていくために、これからどのようなことに取り組んでいきたいですか?
村上さん:オフラインとオンラインの両輪で「ビューティフルカーズ」のプレゼンスを高めていきたいです。
「ビューティフルカーズ」の施工店を増やすとともに、オートバックスなど商品の取扱店舗を広げていく計画です。
自社ECサイトは、さらに使いやすくするためにブラッシュアップしています。フューチャーショップさんのコンサルティングも受けながら、買い物動線の見直しやコンテンツの強化、広告運用など、さまざまな角度から改善を図っています。リピーターさん向けのメルマガや同梱物など、ファンづくりの施策にも一層注力したいです。
そして、YouTubeの動画やライブ配信も強化していきます。現在は洗車動画がメインですが、今後は研磨のノウハウも発信していこうと考えています。これまで公開してこなかった秘伝の技術なのですが、洗車と同じく、正しい知識を広めることが業界の発展に、ひいては弊社の成長にもつながると思っています。
fs 安原:本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

インタビューは直営店(入間店)にて実施した

取材後、研磨のようすを特別に見学させていただいた
編集後記
「BEAUTIFUL CARS 洗車チャンネル」の動画を見ていると、内容に引き込まれ、視聴者である自分が村上さんや佐藤さんから直接話しかけられているかのように感じることがあります。
しゃべりの巧みさや、言葉選びのセンスといった技術的なものもあるでしょう。しかしそれだけではなく、お二人は顧客目線を意識した上で、ご自身の経験や知識に裏打ちされた“自分の言葉”で話していることが、視聴者を惹きつける理由なのかもしれません。
オートディテイリングのプロだからこそ作れるコンテンツで、お客さまの課題を解決し、それが「BEAUTIFUL CARS」のファン作りへとつながっていく。
徹底した顧客目線と、他社に負けない専門性が、ECの武器になることをあらためて実感した取材でした。