2024年のEC市場は26兆円で5.1%成長!市場動向&最新データ解説【2025年版 経産省調査】

2024年EC市場統計コラムのメイン画像経済産業省が2025年8月に公表した「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書(以下、報告書)」によると、2024年のBtoC-EC市場(一般消費者向けのEC市場)は前年比5.1%増の26兆1225億円でした。

物販・デジタル・サービスの3分野すべてが前年を上回り、市場規模は前年と比べて1兆2790億円増加しています。

本稿では報告書をもとにBtoC-EC市場における物販・サービス・デジタルそれぞれの市場動向を解説するほか、商品カテゴリ別の市場規模、BtoB-ECの動向、スマホ比率、越境ECの現状なども紹介します。

ECを成功に導くには、市場動向やトレンドを把握しておくことが欠かせません。最新データをチェックし、EC戦略の策定に活かしてください。

【2024年の主なトピックス】

  • EC市場は総じて堅調
  • スマホECが市場をけん引
  • マイナス成長のカテゴリも散見
  • 中国・米国への越境ECが拡大
  • BtoB-ECのEC化率は43%
国内EC市場規模の年次推移グラフ

2024年のBtoC-EC市場は前年比5.1%増の26兆1225億円だった

画像出典:経済産業省 2025年8月26日公表「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P.7

【BtoC-EC市場の内訳】

  • 物販系分野・・・15兆2194億円(前年比3.70%増)
  • サービス系分野・・・8兆2256億円(前年比9.43%増)
  • デジタル系分野・・・2兆6776億円(前年比1.02%増) 

「物販系分野」は15兆円突破、EC化率は9.78%に

物販系分野の市場規模は前年比3.70%増の15兆2194億円でした。EC化率(商取引市場規模に対するEC市場規模の割合)は9.78%で、前年と比べて0.40ポイント上昇しています。

市場規模は10年前(2014年)の約2.2倍に拡大。EC化率も大台の10%が目前に迫っています。

なお、2014年以降における物販系分野の年間成長率の推移を計算したところ、2024年はもっとも低い水準でした。とは言え、物販系分野の成長率は、小売業全体の成長率(前年比2.5%、2024年時点)※1を上回っており、ECが小売市場をけん引していることに変わりありません。

※1 出典:経済産業省 商業動態統計調査

国内EC市場における物販系分野の市場規模の年次推移グラフ

物販系分野の市場規模は右肩上がりで拡大。EC化率は10%の大台が目前に迫っている

画像出典:経済産業省 2025年8月26日公表「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P.5

国内EC市場における物販系分野の成長率の年次推移

出典:「電子商取引に関する市場調査 報告書」をもとに編集部が作成

商品カテゴリ別の市場規模とEC化率

物販系分野における商品カテゴリごとの市場動向を紹介します。

市場規模の上位は「食品・飲料・酒類」が前年比6.36%増の3兆1163億円(EC化率4.52%)、「衣類・服装雑貨等」が前年比4.74%増の2兆7980億円(EC化率23.38%)、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」が前年比2.26%増の2兆7443億円(EC化率43.03%)でした。

物販系分野の各カテゴリは総じて堅調でしたが、「書籍、映像・音楽ソフト」は唯一、市場規模が前年比マイナス(0.84%減)でした。

2014年以降、物販系分野のカテゴリ別市場規模において、市場成長率が前年比マイナスだったのは今回の「書籍、映像・音楽ソフト」が初めてです。

 

国内EC市場における物販系分野のカテゴリ別の市場規模

画像出典:経済産業省 2025年8月26日公表「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P.48

「書籍、映像・音楽ソフト」がマイナス成長だった要因

「書籍、映像・音楽ソフト」のEC市場が縮小した要因について報告書では、「紙媒体での出版市場規模の縮小が続く中、紙媒体書籍の BtoC-EC 市場はいわゆる巣ごもり需要の影響もあり緩やかに拡大してきたものの、2022 年以降はそうした動きも終息したと推察される」と指摘。また、「直近では、出版物の価格上昇の長期化に加え、実質賃金の低下を背景とした趣味・娯楽品としての出版物への買い控え傾向が影響し、結果的に本カテゴリーの市場規模は前述の通りマイナスに転じている」と考察しています。

上記に加え、電子書籍や音楽配信サービス・映像配信サービスの需要が伸びていることも、「書籍、映像・音楽ソフト」の市場縮小に影響した可能性があります。

書籍はECを象徴する商材の1つです。米Amazonは1994年にオンライン書店からスタートしていますし、「書籍、映像・音楽ソフト」は日本の物販系分野でEC化率がもっとも高いカテゴリです。ECをけん引してきた「書籍、映像・音楽ソフト」のマイナス成長は一過性なのか、それともEC市場の変調を示すシグナルなのか、注視しておく必要があるでしょう。

スマホ比率は61.7%に拡大

物販系分野におけるスマートフォン経由の市場規模は前年比9.0%増の9兆3904億円でした。物販系分野に占めるスマートフォン経由の割合(スマホ比率)は61.7%で、前年比3.0ポイント上昇しています。

スマートフォン経由の市場規模の伸び幅は前年比7723億円で、物販系分野の伸び幅5434億円を上回りました。なお、2024年におけるパソコン経由のEC市場※2は前年比3.78%減とマイナス成長です。

こうした数字を踏まえると、スマホECが物販系分野をけん引していることは明らかであり、EC運営におけるスマホ最適化は必須と言えるでしょう。

※2 パソコン経由のEC市場:物販系分野の市場規模からスマートフォン経由の市場規模を引いた数字

国内EC市場における物販系分野のスマホ経由の市場規模

スマートフォン経由の市場規模は8年前(2016年)と比べて3.67倍に拡大している

画像出典:経済産業省 2025年8月26日公表「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P.44

「サービス系分野」は8兆2256億円で過去最高

旅行サイトや飲食店予約、チケット販売、金融、フードデリバリーといった「サービス系分野」のEC市場規模は前年比9.43%増の8兆2256億円でした。市場規模は過去最高を更新しています。

2024年の成長率は前年(2023年、前年比22.27%増)よりも低下しましたが、2023年はコロナ明けのリアル回帰で旅行や飲食、イベントなどの市場が大きく伸びたという特殊要因がありました。そういった要因を考慮すると、サービス系分野は引き続き好調だったと言えるでしょう。

国内EC市場におけるサービス分野とデジタル系分野の市場規模グラフ

サービス系分野(緑の棒グラフ)はコロナ禍の2020年と2021年に急減した。現在は回復し、2024年は過去最高を更新している

画像出典:経済産業省 2025年8月26日公表「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P.32

サービス系分野のカテゴリ別市場規模の上位は「旅行サービス」が前年比10.32%増の3兆5249億円、「金融サービス」が前年比16.59%増の9890億円、「飲食サービス」が前年比18.70%増の9692億円でした。

近年急速に市場が拡大した「フードデリバリーサービス」はサービス系分野で唯一、前年比マイナスでした。コロナ禍でフードデリバリー市場が急拡大した一方、2024年はアフターコロナで実店舗回帰が進んだこともあり、フードデリバリーの利用者増加が一巡した可能性があります。

国内EC市場におけるサービス系分野のカテゴリ別の市場規模

画像出典:経済産業省 2025年8月26日公表「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P.59

「デジタル系分野」は1.02%増の2兆6776億円

電子書籍や動画配信、オンラインゲームなど「デジタル系分野」のEC市場規模は前年比1.02%増の2兆6776億円でした。

市場規模がもっとも大きい「オンラインゲーム」は前年比0.58%減の1兆2553億円とマイナス成長です。コロナ禍の2020〜2021年に巣ごもり消費で市場規模が急拡大した反動もあり、2022年から3年連続で市場が縮小しています。

「電子出版(電子書籍・電子雑誌)」は前年比0.58%増の6722億円。報告書によると電子書籍市場のうち電子コミックのシェアが9割を占めました。

「有料動画配信」はサブスクリプションサービスの広がりなどを受け、前年比3.31%増の4873億円に拡大しています。

なお、デジタル系分野の市場規模は、過去最高だった2021年(2兆7661億円)を下回っています。デジタル系分野の約半分を占める「オンラインゲーム」が3年連続でマイナス成長となったことなどが影響しています。

国内EC市場におけるデジタル系分野のカテゴリ別の市場規模

画像出典:経済産業省 2025年8月26日公表「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P.64

BtoB-ECは10.6%増の514兆円、EC化率43.1%

企業間のオンライン取引「BtoB-EC」の市場規模は前年比10.6%増の514兆4069億円でした。EC化率※3は43.1%で、前年比3.1ポイント上昇しています。

※3 BtoB-ECのEC化率は「その他」を除く合計金額(509兆3052億円)が対象

業種別で市場規模がもっとも大きい「卸売」は前年比6.3%増の128兆8684億円でした。「卸売」が伸びた要因について報告書では、大手GMSや大手スーパーマーケットを中心にEDI※4標準化が進み、同技術の導入促進がEC化率の拡大につながっている可能性を指摘しています。

※4 EDI:Electronic Data Interchange(電子データ交換)の略称で、企業同士がコンピュータをネットワークでつなぎ、発注書や伝票などを電子データで交換すること。BtoB-ECの市場規模にはEDIの受発注も含まれる。 

成長率が高いカテゴリの1つである「食品」は、市場規模が17.0%増の41兆5859億円(EC化率81.3%)でした。高成長の要因について報告書では、2024年はインバウンドの増加を背景に外食需要やホテル需要が拡大したことに加え、原料高騰による販売価格の引き上げが市場全体を押し上げたことなどを挙げています。

国内のBtoB-EC市場規模の年次推移と業種別市場規模

画像出典:経済産業省 2025年8月26日公表「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P.92

CtoC-ECは1.8%増の2.5兆円

フリマアプリやオークションサイトなどCtoC-ECの市場規模は前年比1.82%増の2兆5269億円でした。リユース市場が拡大基調にあるなかでフリマアプリがCtoC-EC市場をけん引しています。ただ、伸び率は前年(2023年、前年比5.0%)と比べて鈍化しました。

2024年における国内CtoC-EC市場規模

近年のCtoC-ECの動向について報告書では次のように考察しています。

2020年、2021年は新型コロナウイルスの感染症拡大の影響によりCtoC-ECの利用者が拡大し市場規模が増加したが、2022年には消費者の実店舗回帰もあって需要が一服した。2023年も同様の状況が続き、比較的緩やかな伸びとなった。2024年については、プラットフォーム事業者によっては利用者数の伸びが鈍化しているものの、販促施策や利便性向上策が奏功し、取引額は増加した。

主要プラットフォーム事業者の具体的な取組みとして、出品済みの商品情報に対する改善提案や、簡単に出品できるサービス、真贋鑑定などが挙げられる。こうした利便性向上策を通じて利用者がより手軽に、より安心に売買できる取引基盤が整備されつつある。

一方、一連の取組の多くで AIが有効に活用されていることも見逃せないだろう。併せて物流業界の負荷軽減のため、非対面で発送し、受取は置き配のみという新配送サービスなども導入された。また、越境取引も好調で、各フリマアプリは海外向けの販売機能の拡充を進めている。

※引用 経済産業省 2025年8月26日公表「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P.71,72

なお、報告書では注意点として、CtoC-EC市場の推定において、フリマアプリやオークションサイトの推定市場規模には企業が売り手となっているケースが含まれることに留意が必要であるとしています。

米国・中国への越境ECは合計4兆2350億円

日本国内の事業者が中国および米国に向けて販売した「越境EC」の市場規模は、中国向けが前年比8.5%増の2兆6372億円、米国向けが前年比8.0%増の1兆5978億円でした。2カ国への合計で4兆2350億円となっています。

越境ECの市場動向について「電子商取引に関する市場調査」では「外国人による訪日と越境ECには密接な関係があると言われている」と指摘。越境ECプラットフォームを運営しているBEENOSグループが2024年11月に実施した「越境ECの利用意向に関する意識調査」を引用し、外国旅行中に気に入って購入した現地の商品やブランドを、帰国後に越境ECで再度購入した経験がある人は44.0%(N=1312)だったことなどに言及した上で、インバウンド消費が越境ECに与える影響について次のように考察しています。

日本滞在時に、実際に商品に触れた経験、自分自身の目で確認できた経験、信頼できると認識した経験が起点となり、また越境 ECで購入ができると認識されることで、帰国後(旅アト)の越境ECの利用が促進されていると推測できる。

※引用 経済産業省 2025年8月26日公表「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P.110

2024年における中国向け・米国向けの越境EC市場規模

日本から中国への販売金額は2兆6372億円、日本から米国への販売金額は1兆5978億円だった

画像出典:経済産業省 2025年8月26日公表「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」P.105

まとめ

今回紹介した「令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」の各種データからは国内EC市場が堅調に推移していることが示されたほか、スマホECが物販系分野をけん引していることや、BtoB-ECが拡大を続けていること、越境ECが伸びていることなど、さまざまなトレンドが示されました。また、物販系分野・サービス系分野・デジタル系分野のそれぞれでマイナス成長のカテゴリが散見されるなど、留意すべきポイントもありました。こうしたデータをEC戦略の策定に活かしてください。

なお、総務省が公表している「家計消費状況調査」によると、2024年におけるネットショッピング利用世帯の割合は55.3%でした。利用世帯割合は前年比1.8ポイント上昇しています。

利用世帯割合の年次推移を見ると、2021年以降は伸びが緩やかになっていることが分かります。EC市場への新規ユーザーの流入ペースが鈍化している可能性があり、そのことが新規獲得コストの上昇につながることも懸念されます。EC事業者さまは既存のお客さまとの関係を強化し、リピート率を上げていくことが、これまで以上に重要になるでしょう。

ネットショッピング利用世帯の割合の年次推移

画像出典:総務省 2025年2月7日公表「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について」(二人以上の世帯)-2024年(令和6年)平均結果-

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