アパレルECを強化するには?市場規模から課題点、売上アップ施策まで解説【2022年最新ノウハウ】

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2021年に2兆4000億円規模まで拡大したアパレルEC市場。近年はアパレル企業が実店舗とECを融合させ、オムニチャネルに取り組むことで顧客体験(CX)の向上を図る動きも活発化しています。

アパレルECを強化するために必要な施策とは、どのようなものでしょうか。アパレルECの市場規模やEC化率といった市場動向をまとめるとともに、アパレル業界のEC担当者様に知っておいていただきたい販売方法や売り上げを伸ばす施策について解説します。

アパレルの市場規模やEC化率の変遷

まずはアパレル業界全体の市場規模やEC化率の変遷など、マーケットの全体像についておさらいしておきましょう。

アパレル市場は約10兆円(2017年)、国内市場は縮小基調

経済産業省が作成した資料によると、国内のアパレル市場規模は1990年頃には約15兆円でしたが、その後は右肩下がりで減少し、2010年から2017年にかけては10兆円強で横ばいとなっています(赤の折れ線グラフ)。長期トレンドで見るならば、国内アパレル市場は1990年から2017年までの27年間で、およそ7割に縮小したようです。

国内アパレル供給量・市場規模の推移

国内アパレルの市場規模は2010年から2017年にかけては10兆円強で横ばい

出典:経済産業省 生活製品課「繊維産業の現状と経済産業省の取組」P.6 2020年1月17日 日本繊維産業連盟新春講演会

また、経済産業省が作成した資料によると衣料品の平均購入単価も下落基調にあり、1991年と比べて2017年は56.9%の水準でした。ファストファッションの台頭やオフィスにおける服装規範の変化、たとえばIT企業を中心にビジネスファッションとしてカジュアルスタイルが浸透してきたことによって衣料品の低価格化が進んでいるのでしょう。

衣料品購入単価・輸入単価の推移

衣料品の購入単価は低下基調が続いている

出典:経済産業省 生活製品課「繊維産業の現状と経済産業省の取組」P.6 2020年1月17日 日本繊維産業連盟新春講演会

アパレルEC市場は2.4兆円、EC化率は21%

経済産業省が2022年8月に公表した最新のEC市場統計によると、2021年におけるアパレルカテゴリ(衣類・服装雑貨等)の市場規模は前年比9.35%増の2兆4279億円でした。EC化率は21.15%で、2020年と比べて1.71ポイント上昇しています。

アパレルECの市場規模は2016年から2021年までの5年で約1.6倍に増えました。EC化率は同じ時期に10.22ポイント上昇し、約2倍に拡大しています。

こうした市場データを踏まえると、近年はアパレル市場全体が縮小している一方で、アパレルECの市場は年々拡大していることは明白です。アパレルの販売チャネル(消費者にとっての購買チャネル)はオフラインからオンラインへシフトしており、2020年以降はコロナ禍でそのトレンドが加速しました。

アパレルEC市場の年次推移のグラフ

出典:経済産業省「電子商取引実態調査」をもとに編集部が作成

アパレルECが拡大している理由

アパレルEC市場が拡大している理由について、消費者側の視点と事業者側の視点から考察します。

市場拡大の理由

  1. 消費者にとってメリットが多い
  2. コロナ禍で非対面のニーズ
  3. 事業者にもメリットがある
  4. 技術革新でアパレルECの参入障壁が下がった

(1)消費者にとってメリットが多い

アパレルECが拡大している最大の要因は、消費者がオンラインショッピングを求めているからに他なりません。消費者の視点で考えると、オンラインショッピングにはさまざまなメリットがあります。

  • 近くに実店舗がなくても買える
  • 時間を選ばず買い物ができる
  • 口コミを見て比較できる
  • 最安値の商品を探せる

好きなブランドの実店舗が近隣になくても、ECなら交通費や往復の時間をかけずに商品を購入できます。また、時間を選ばずに買い物できることもECのメリット。仕事や子育てなどで忙しく買い物に行きにくい人にとって、隙間時間に買い物ができるオンラインショップは非常に便利でしょう。

ECサイトなら口コミやレビューの点数などを見ながら、さまざまなブランドの商品を簡単に比較することもできます。ECモールの大型セールやポイント還元キャンペーンを狙って買い物をするなど、工夫次第では実店舗より安く商品を購入することも可能です。

(2)コロナ禍で非対面のニーズ

2020 年から2021年にかけては、非対面の買い物ニーズが高まったことでEC市場の拡大につながったと考えられます。

2020年春以降は新型コロナウイルス感染防止の観点から、実店舗に足を運びにくい状況が断続的に続いています。人が密集する空間で長時間買い物をすることに抵抗を感じる消費者の中には、実店舗を避けてECサイトを利用する人もいたでしょう。

アパレル各社は非対面での買い物ニーズを取り込むため、実店舗の顧客リストにECサイトを紹介したり、実店舗の販売スタッフがライブコマースを行ったりするなど、アパレルブランドがEC利用者を積極的に取り込む動きも見られました。

(3)事業者にもメリットがある

アパレル企業にとってもECに取り組むメリットは数多くあります。例えば、家賃や店舗スタッフの人件費がかからないこと。実店舗を構えると家賃や光熱費、店舗スタッフの人件費などがかかり、特に出店時には契約金や保証金、内装工事費などが少なくとも数百万円はかかるでしょう。一方、ECサイトならそういった費用はかかりません。サイト構築費用や運営費、倉庫代などはかかりますが、実店舗よりも相対的に費用を抑えて事業を始めることができます。

また、ECの販売データを商品の需要予測に活用できることもメリットです。ECサイトで予約販売を行い、受注状況によって生産計画を軌道修正したり、ECで人気の商品を店頭のマネキンに着せたりするなど、データに基づいた生産と売り場作りも可能になるでしょう。

(4)技術革新でアパレルECの参入障壁が下がった

IT技術の発達によって、アパレルECのさまざまなサービスを実現できるようになったことも市場拡大の一因でしょう。

フルスクラッチでECサイトを構築することが主流だった時代は参入障壁が非常に高かったですが、現在はクラウド型のECプラットフォームなどを利用して手軽にECサイトの構築・運用を行うことができるようになりました。また、ささげ(撮影・採寸・原稿)を自動化・効率化するツールが商業化されるなど、以前と比べてECに取り組みやすい環境が整っています。さらに、顧客が体のサイズをECサイトに登録し、自分に合ったサイズの洋服を選ぶことができるツールなど、新たなソリューションの登場もアパレルECの拡大に寄与しています。

アパレルECの種類

アパレルECに取り組む方法は、大きく分けると「モールEC」と「自社EC」の2種類があります。それぞれメリット・デメリットがあり、EC事業の目的や経営リソースなどを踏まえてどちらかを選択するか、あるいは両方に取り組むことになります。また、近年はフリマアプリ(C2C)やレンタルECなど比較的新しいビジネスモデルも台頭しています。

モールEC

モールECとは、楽天市場やAmazon.co.jp、ZOZOTOWNといったECモール(ECプラットフォーム)に出店して商品を販売する方法です。実店舗で例えるなら、ショッピングモールや百貨店などにテナント出店するイメージです。

モールECは「総合型」と「アパレル特化型」がある

ECモールを細分化すると、アパレル以外も取り扱っている「総合型」とアパレルのみを扱っている「アパレル特化型」に大別されます。

「総合型」は楽天市場、Amazon.co.jp、Yahoo!ショッピング、Qoo10などがあります。「アパレル特化型」はZOZOTOWNやSHOPLIST、LOCONDOなどです。

なお、近年は総合型のECモールがアパレル専用の売り場を設けるケースも増えてきました。例えば楽天市場には「Rakuten Fashion」、Amazon.co.jpには「アマゾンファッション」があります。

モールECのメリット

ECモールに出店するメリットの1つは、購入意欲が旺盛な人たちが大勢行き交う場所で商売を行えること。ファッション特化型モールや、総合モールのファッション専門売り場には、服や靴などを探しているユーザー(購買意欲が顕在化した消費者)が大量にアクセスします。

ECモールの運営会社はテレビCMやポイント還元セールなどを実施して集客しています。また、主要なキーワードの検索結果やリスティング広告の上位には大手ECモールのカテゴリページが並んでおり、買い物の意欲が高いユーザーを大量に獲得しています。

大手ECモールではモール内の競争が激しいため、モール内SEOや広告投資も必要です。しかし、それでも自社ECと比べれば短期間でお店のアクセス数を集めやすいことがECモールのメリットと言えるでしょう。

モールECのデメリット

ECモールは機能やデザインテンプレートが全店舗で原則統一されているため、マーケティング施策やショップデザインの作り込みの自由度は下がります。

既存客を対象としたCRM施策を打ちにくいこともデメリットです。会員情報やECサイトのアクセスログなどに関して、出店者が取得できるデータ範囲が限られるためです。ECモールによっては、ECモールの顧客をモール以外(自社ECや実店舗)に誘導することを規約によって禁止しているケースもあります。

ブランドやショップのブランディングにつながりにくい場合もあります。ECモールで買い物をする消費者は、各店舗のショップ名をあまり意識せずに「モールで買い物をしている」という感覚が強くなりやすいため、商品を買ったお店のことをあまり覚えていない人も多いと考えられます。

さらに、ECモールではセールやポイント還元による値引き依存に陥りやすいこともデメリットです。安さを求めるユーザーが多いことを逆手に取って、在庫処分を目的としてアウトレット的に活用することも戦略の1つになるでしょう。

自社EC

自社ECとは、独自ドメインのECサイトを構築・運用する方法です。近年はSaaS型のECプラットフォームやECパッケージを使ってECサイトを構築・運用するのが一般的です。ECサイト構築の方法は過去記事で詳しく解説していますので、興味のある方はそちらもご覧ください。

ECサイト構築の真実(結果を出す)最強ガイド – 手順や費用・サービス比較

自社ECには「セレクトショップ型」と「ブランド・メーカー直販(D2C)」がある

自社ECの方法を大別すると、さまざまなブランドを仕入れて販売する「セレクトショップ型EC」と、ブランドやメーカーが直接運営する「ブランド・メーカー直販(D2C)」の2種類があります。

「セレクトショップ型EC」は数多くのブランドを取り扱うため、商品SKUが膨大になります。商品を探しやすいようにカテゴリ分類を適切に設定するなど、サイトマップ設計が重要です。ユーザーが欲しい商品をスムーズに見つけられるように、メインナビゲーションの項目やサイト内検索を工夫することも大切です。

「ブランド・メーカー直販」は、ブランドやメーカーが問屋や小売店を通さず、商品を消費者に直接販売するビジネスモデルです。「Direct to Consumer(D2C)」と呼ばれることもあります。オンライン広告やSNSなどを駆使して集客し、自社ECの強みであるデータドリブンなマーケティング施策によって顧客を獲得した上で、CRM施策を通じてリピーターを育て、LTVを高めていきます。

自社ECのメリット

自社ECのメリットの1つは、ショップデザインやコンテンツ制作などの自由度が高いこと。サイト構築の方法にもよりますが、お店作りの自由度はECモールよりもはるかに高いため、ファッションブランドの世界観を表現しやすくなります。

独自ポイントの発行や会員ステージなど、自社ECならではのサービスを提供しやすいのも自社ECのメリットです。会員の氏名や住所、メールアドレス、電話番号といった情報を自社で所持するため、メルマガのセグメント配信や購買履歴にもとづくレコメンドなど、既存客に対するCRMも実施しやすくなります。

こうした取り組みを通じてお店やブランドのファンを増やし、セールに依存せずにLTVの向上を図れることが自社ECの大きなメリットと言えるでしょう。

さらに、Googleアナリティクスなどの分析ツールを活用すれば、ECサイトの各ページのアクセス数やコンバージョン経路など、詳細なログデータを計測することも可能です。それらのログを分析し、離脱しやすいページを特定してコンテンツや導線の改善につなげるなど、サイト改善の施策を打てることも自社ECサイトの強みです。

自社ECのデメリット

自社ECにおける最大の課題は「集客」です。有名ブランドのECサイトであれば立ち上げた当初からある程度のアクセスが見込めるかもしれませんが、知名度の低いショップはアクセス数を増やすのに時間がかかります。

フリマアプリやレンタルEC

近年はフリマアプリやレンタルECなど、アパレル製品の新しい販売チャネルや消費形態が台頭しています。

フリマアプリ(C2C)

フリマアプリとは、主に消費者同士がオンラインで商品を売買するプラットフォームです。メルカリやラクマといったサービスがあります。ECサイトを構築する必要はなく、スマホで商品を撮影し、説明文などを入力するだけで出品が完了するなど、個人でもECを始めやすい手軽さが特徴です。

なお、経済産業省の統計によると、フリマアプリを含む「C2C-EC」の2021年の市場規模は前年比12.9%増の2兆2121億円でした。

国内CtoC-EC市場の市場規模

出典:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 2022年8月「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」P8

レンタルEC(シェアリングエコノミー)

ファッション分野ではレンタルECも台頭しています。代表的なサービスとして「airCloset」などが挙げられます。「airCloset」は毎月3〜5着の服をレンタルできる月額制のサブスクリプションサービスを展開しています。オンラインのパーソナル診断で顧客の好みを聞き取り、診断結果をもとにスタイリストが顧客に合った商品をセレクトして届けるサービスです。

アパレルEC売上高の国内上位企業

アパレル業界でEC売上高が上位の企業は、どのような顔ぶれなのでしょうか。各社が公開しているIR情報や、各種報道やインタビュー記事などを参考に、国内EC売上高が大きいアパレル企業5社を紹介します(2021年4月〜2022年3月に迎えた決算が対象)。

株式会社ファーストリテイリング 1269億円

国内アパレル最大手の株式会社ファーストリテイリングは、EC売上高もアパレル業界で1位と見られます。2021年8月期における「国内ユニクロ事業」のEC売上高は前期比17.9%増の1269億円でした。EC化率(売上高全体に占めるEC売上高の比率)は15.1%で前年から1.8ポイント上昇しています。

出典:株式会社ファーストリテイリング 2021年8月期 決算短信

株式会社アダストリア 574億円

「グローバルワーク」「ニコアンド」「ローリーズファーム」など約60種類のブランドを展開している株式会社アダストリアは、2022年2月期における国内EC売上高が前期比6.8%増の574億円でした。EC化率は30.1%で、前期と比べて0.5ポイント低下しています。

出典:株式会社アダストリア 2022年2月期 通期決算説明会資料

株式会社ベイクルーズ 545億円

ファッション業界の専門メディア「FASHIONSNAP.COM」のインタビューによると、株式会社ベイクルーズの2021年8月期におけるEC売上高は前期比6.8%増の545億円でした。同インタビューで2021年8月期の売上高は1212億円だったと言及されているため、EC化率は45.0%と推定されます。

出典:FASHIONSNAP.COM 【トップに聞く 2022】ベイクルーズ杉村茂CEO 売上高1212億円、成長のための減収覚悟の施策とは

株式会社オンワードホールディングス 408億円

オンワード樫山などを傘下に持つ株式会社オンワードホールディングスの2022年2月期における国内EC売上高は、前期比5.7%増の408億円でした。国内事業のEC化率は30.0%で前期比0.3ポイント上昇しています。

出典:株式会社オンワードホールディングス 2022年2月期 決算補足説明資料

株式会社TSIホールディングス 392億円

「ナノ・ユニバース」などを展開しているTSIホールディングスの2022年2月期における国内EC売上高は、前期比3.4%減の392億円でした。EC化率は34.5%で前期比2.5ポイント低下しています。2021年2 月期にEC売上高が大きく伸びた反動などから、当期はEC事業が踊り場を迎えたほか、一部の海外サプライチェーン混乱の影響も受けたとしています。

出典:株式会社TSIホールディングス 2022年2月期 通期 決算説明会

アパレルECの課題と解決方法

アパレルECの売上高を伸ばすうえでクリアすべき課題と解決方法を紹介します。自社ECサイトの運営担当者に押さえておいていただきたい施策です。

アパレルECの課題

  1. 実店舗とECの融合
  2. 認知度アップと集客
  3. 在庫一元化や物流の効率化
  4. IT人材の不足

(1)実店舗とECの融合

アパレル市場は近年、縮小基調にあり、実店舗のみのビジネスでは成長に限界があります。こうした市場環境では、オムニチャネルによって実店舗とECの相乗効果をうむことが成長の鍵を握ります。

  • 実店舗とECのポイント統合
  • 実店舗とECの顧客データ統合
  • 店舗スタッフのDX化

実店舗とECのポイント統合

具体的な施策の1つは、実店舗とECのポイントを統合すること。ポイント共通化が実現できれば、実店舗とECの両方で買い物をする顧客にとって利便性は飛躍的に高まります。

実店舗を持つ強みを生かし、店頭受け取りサービスなどを展開することで買い物の利便性を高めることも効果的でしょう。

実店舗とECの顧客データ統合

実店舗とECの顧客データを統合することも、CRMの施策を打つ上で重要です。「ECサイトの購入履歴を踏まえて実店舗で接客する」 など、顧客にとって快適で満足度の高い購買体験の提供を目指しましょう。また、実店舗とECの顧客データが一元化されていると、コロナ禍のような不測の事態が起きたとき、実店舗の会員にECサイトを紹介するなど迅速な対処が可能になります。

店舗スタッフのDX化

この数年のコロナ禍での環境変化を受け、店舗スタッフのDX化に取り組まれている企業が増加しています。DXは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」のことで、この記事の「店舗スタッフのDX化」とは「デジタル技術を活用し、店舗スタッフにさらに活躍の場を設ける、また、活躍してもらうためのしくみを準備する」という意味で利用しています。

たとえば、店舗スタッフのコーディネートスナップ投稿や、LINEを使って顧客との1to1接客、ライブ配信など、実店舗の強みである接客をオンラインでも実現する、という取り組みが該当します。

ECは検索性が高く、欲しい商品を見つけるという目的達成型のお買い物には優れています。一方、接客は思いもよらなかった商品との出会いをもたらす力があります。店舗スタッフの着こなしを取り入れたり、接客中に提案された商品を購入するお客様は多く、店舗スタッフの接客はファンを作り出すパワーを持っています。場所を問わず、接点を作り出せるECでも接客を実現し、お客様のファン化を進めていきましょう。

店舗スタッフのDX化実現にはトップの意向に加え、店舗スタッフの協力、業務変更による評価制度の見直し、顧客基盤の整備など、組織やシステムなど、各方面に影響する課題です。特にシステムは1から開発するものが多く、時間や費用といったコストが莫大に発生するため一部の企業しか実現できないものでした。

しかし、今ではSaaS型の登場でそのハードルが下がり、検討も進めやすくなっています。実店舗とEC間でデータを統合した顧客基盤や店舗スタッフのオンライン上の努力を可視化できるシステムを導入し、DX化実現を進めていく企業が続々と登場しています。

(2)認知度アップと集客

自社ECの売り上げを伸ばす上でクリアすべき課題が「集客」です。ECサイトを立ち上げた当初はアクセスが少ない時期が続く可能性もあります。そういった時期はリスティング広告やショッピング広告、SNS広告を使って認知度を高めることも必要でしょう。ブログ記事をコツコツと書いてSEOに取り組む、SNS運用に取り組む、実店舗のお客様にもECの存在をお知らせするカードを配るなど、長期的な視点を持って知名度向上やアクセス数の増加に取り組むことも大切です。

(3)在庫一元化や物流の効率化

自社ECやモールECで複数のネットショップを運営している場合、在庫の一元管理が必要になります。ネットショップごとに在庫を管理していると、自社ECには在庫が残っているのにモールECでは欠品するなど、在庫の偏在によって機会損失が発生しかねません。また、各ショップに適正な在庫数量を割り振ることに手間がかかるでしょう。一元管理システムなどを導入して在庫管理を行うと業務効率化につながります。

EC売上高が伸びてくると梱包や出荷、返品といった物流業務の増加が課題になります。EC専用倉庫を設けるなど、事業フェーズに応じて物流業務を効率化することが必要です。実店舗を全国に持つアパレル企業であれば、顧客の居住地に合わせて近隣店舗の在庫に引き当て、店舗から商品を出荷するなど、配送効率を高める施策を取り入れることも視野に入るでしょう。

(4)IT人材の不足

アパレル業界に限らず、EC業界は慢性的な人材不足も課題になっています。アパレルECサイトを運営するには、商品知識やファッションに関する知識に加え、ITやWebマーケティングなどの知識も必要です。店舗スタッフなど他部署からEC部門に異動した人の中には、アパレルに関する知識や情熱があっても、ECの知識や経験を身につける方法について悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

アパレルとECの知識を最初から兼ね備えている人材は稀です。ほとんどの担当者様はEC部門に異動してから、書籍で勉強したり、実務経験を積んだりして知見を深めていきます。

ECの勉強方法にはさまざまなものがありますが、EC業界のセミナーや勉強会に参加するのも1つの方法です。株式会社フューチャーショップはfutureshopご契約中の店舗様を対象とした「futureshopアカデミー」を開催し、EC運営や売上アップのノウハウを共有しています。また、さまざまなマーケティング施策を実行していただくために、futureshopの使い方などに関する電話サポートも行っています。セミナーやサポートが充実しているEC構築サービスを選び、それらを活用することもIT人材の育成に役立つでしょう。

アパレルEC施策例

良いものが市場にあふれる中、お客様に商品やブランドの情報をお伝えすること、初回購入のお客様から継続的に購入してもらえる顧客化の取り組みはとても重要です。ここでは、アパレルECでよく行われている施策例を挙げています。

アパレルECの施策例】

  1. 商品の検索性を高める
  2. 商品ページの情報を充実させる
  3. CRM施策
  4. SNS連携
  5. ライブコマース
  6. 実店舗とECのポイント制度統一
  7. コーディネート写真投稿・オンライン接客

これら全ての施策を実施する必要はもちろんないのですが、自社の販売スタイルに合わせ、打ち手を増やせるプラットフォーム選びが必要です。特にアパレルECでは実店舗とECを行き来して購入することも多く、そのため連携した施策が大きい意味を持ってくるのです。

(1)商品の検索性を高める

アパレルECはどうしても商品数、SKU数が多くなりがちです。そのため、ECサイトの検索性を高めることでお客様はストレスなく、お買い物していただけます。

よく利用されるカテゴリーごとの商品グループはもちろんのこと、「トップス」「アウター」以外にも「ブランド」で検索できるようにしたり、「ブランド>レディース>トップス>シャツ>半袖」と絞り込むような、階層に分けたサイト構造にしたりすることで、お客様が利用しやすいだけでなく、SEOにも有利なECサイト構造にすることができます。

また、価格帯やカラー、サイズなどのバリエーションでのサイト内検索も、アパレルECでは広く利用されます。商品ページに登録したカラー名やサイズ表記、そして独自に検索用項目を設定して、お客様の「欲しい!」が見つかるサイトにすることがポイントです。

(2)商品ページの情報を充実させる

アパレルECで商品画像はとても重要です。商品画像の良し悪しによってECの売上は大きく変わります。カラーバリエーションだったり商品のイメージやディティールを正確に伝えるためにさまざまな角度から撮影した画像をアップするなど、商品を手に取れないことを補うような魅力のお伝えの仕方を考える必要があります。

アパレルECでは商品画像が多くなってしまうことが多いので、自社ECを構築するプラットフォームで商品画像の設定上限を知っておくことも重要です。なお、futureshopでは商品1点あたり画像40点まで掲載できる「画像ホスティング」オプションサービスがあります。

また、裾上げや袖直し有無、ボタン変更など受注後にお伺いすることが多い商品の場合はあらかじめECサイトで選択項目として設置するなど、購入後のやり取りを減らしお客様の元へ商品を届ける仕組みを取り入れましょう。

(3)CRM実施

実店舗でも同じですが、アパレルEC運営にはブランドのファンになっていただき、継続的にお買い上げいただく施策が必要です。ブランドのファンを増やすことで、安定的な売上が見込めるからです。ファン化に向けた施策にはお買い上げいただいた方へのメルマガ配信など、コミュニケーションを通じて信頼関係を構築していくことが大切です。

コミュニケーション手法もメルマガだけでなく、ターゲット層によってはLINEが効果的です。より親密なコミュニケーションを行うLINEでブランドとつながり続けてもらうためにはまずは関係を構築する必要があります。

そのため、利用する自社ECプラットフォーム自体に関係構築に取り組める機能があることも、アパレルECには大きなポイントになります。

また、ブランドのファン化施策も大切ですが、ファンでい続けてもらう取り組みも大切です。購入状況から会員ステージを設定し、お得意様にはポイント付与率を優遇したり、限定先行販売を行うなど、買い続けてもらう理由を提供しましょう。

ここまで、ECサイトで実施できる施策の一例を挙げました。他の施策についてもご存知になりたい方は、こちらのページをご覧ください。

(4)SNS連携

アパレルECではInstagramなど、SNSとの連携も多く行われています。SNS経由の販売では投稿からの購入しやすさがポイントです。商品ページへのリンクがなく、商品名から検索するしかない状況では、お客様の購入したいという気持ちが冷めてしまうでしょう。

そのため、Instagramのフィード投稿から直接商品ページへ遷移して購入できる、「Instagramショッピング機能 (Facebookカタログ連携)」を利用し、お客様の買いたい気持ちを冷まさない取り組みが必要です。

また、SNSで購入意欲が高まってもECサイトが使いづらい、SNSの世界観に合わないなどのギャップがあると購入までにお客様が離れていく原因になります。そのため、アパレルECではデザインの自由度や、購入までのステップの少なさをチェックしましょう。ECサイトへの集客後、購入に向けて盛り上がった気持ちを下げないかがポイントです。

(5)ライブコマース

インターネットを使ったライブ配信とEコマースを組み合わせた販売手法のライブコマースも、アパレルECと親和性の高い施策です。ECサイトの文章や写真だけでは伝えきれない商品の魅力を伝えることができるからです。

チャットなどでお客様からいただいた質問に答えることにより、実店舗で店員さんに相談しながら買い物をするのと同じような感覚でオンラインショッピングを楽しんでもらうことができます。

自社ECのお客様はある程度ブランドや商品に興味があるお客様が集まる、という特長を活かし、ファン同士が集まるコミュニティの場としてライブコマースを活用することもできるでしょう。

(6)実店舗とECのポイント制度統一

「実物を確認してから、購入したい」など、実店舗へのニーズが大きいのもアパレル・ファッション業界の特長です。そのため、実店舗とECを連携してお互いの長所を活かしながら運営を行う企業が増えています。

たとえば、実店舗とECでポイント制度を統一することも一つの施策です。ここ数年、実店舗に足を運びづらい状況が多く、実店舗のお客様がECでお買い物するケースが増加しました。お客様は「実店舗とEC、ポイントが両方で使えるのは当たり前」という感覚でいることが多く、その声に答えるためポイント制度統一の動きが進んでいるという背景があります。

このポイント制度統一には顧客データもECと実店舗で統一する必要があるため、導入のハードルは高くなっているのは事実です。しかし、顧客データ統一によりブランド全体の顧客の動きが分かるようになるので、ファン化やお得意様への優遇といった施策を手厚く実施できます。実店舗での接客の強みと、ECでの時間や場所を選ばず継続的にコミュニケーションできる強みを活かし、さらなる売上アップ施策を打てるでしょう。

また、ECで購入し店頭で受け取る店舗受取サービス(BOPIS)や、店頭在庫をECに掲載するなど、実店舗と連携して施策を打てるサービスは続々と登場しています。

▶︎店舗受取サービス(BOPIS)の導入事例インタビューや体験記事も公開しています。ぜひご一読ください。

(7)コーディネート写真投稿・オンライン接客

これまでも店舗スタッフのコーディネート写真は人気コンテンツでしたが、いざ実現しようとすると利用したアイテムの設定など投稿の手間や、コーディネート写真経由で購入されても効果測定しづらいといった問題で運用のハードルが高い側面もありました。

「STAFF START」は投稿の手間を軽減するしくみはもちろん、なんといってもスタッフの投稿からの売上が可視化され、スタッフのモチベーションが上がることが一番のポイントです。お客様と直接やり取りするスタッフがやる気になることでデジタル活用が加速し、店舗スタッフのDX推進につながります。

そして、LINEで顧客とスタッフが繋がれる「LINE STAFF START」など、オンライン接客を実現するサービスも登場しています。店舗スタッフが活躍する場はこれからもどんどん広がることでしょう。

以上、アパレルECで行える施策の一例を挙げました。ターゲットや商材によっても施策実施は異なるため、もしアパレルECで売上アップをお考えなら、事前にECプラットフォーム提供者ECに精通した制作代理店などにご相談のうえ、進めていただくことをおすすめします。

アパレルEC成功事例

熱狂的なファンに支えられるブランドの「スカラー」様。CRMの強化方法など、アパレルEC成功のコツをインタビューで語っていただきました。

試着が重要なアパレル商材で、巣ごもり下でも自社ECが伸びた理由を、「ブラデリス」様にお話をお伺いしました。

ここに紹介しきれなかったアパレルEC成功事例はこちらからご覧いただけます。

まとめ

アパレル市場が縮小している今、アパレル企業が持続的な成長を目指すためにEC事業に取り組む上で重要になるのが、CRM施策によるリピーター獲得です。ECサイトと実店舗で継続的に商品を買ってくれるファンを増やし、売り上げに占める固定客の比率を高めていくためには、CRM施策のベースとなる顧客データや購買データ、ECサイトのアクセスデータなど、各種データを蓄積していくことが欠かせません。

ECモールに出店して広告を出せば、一時的に売り上げは伸びるかもしれませんが、データの蓄積とCRM施策が不十分なままでは、売り上げは一過性のものに終わります。アパレルECを強化するには、データを蓄積しやすくCRM施策の自由度が高い自社ECサイトを軸に据え、LTV向上を目指すことが一層重要になるでしょう。

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