オムニチャネルのメリットとは?導入効果や注意点・成功事例を解説
- 2025.09.24
2025.10.06
「オムニチャネルのメリットって何?」「オムニチャネル化によって得られる効果とは?」
購買方法の多様化が進むなかで、ユーザーとの接点を増やせる「オムニチャネル」が注目を集めています。近年は、ECサイトをオムニチャネル化する企業も増えてきています。
本記事では、オムニチャネルの概要やECサイトをオムニチャネル化するメリットについて紹介します。ECサイトのオムニチャネル化に興味がある人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
オムニチャネルとは?
オムニチャネルとは、複数の販売チャネルを統合し、顧客にシームレスな買い物体験を提供する施策です。顧客は、どのチャネルを利用しても一貫したサービスを受けられるため、顧客満足度や売上などの向上につながります。
オムニチャネルは、スマートフォンやSNSの普及に伴って拡大しました。買い物方法の選択肢が増えたことにより、企業側は顧客のニーズをかなえる努力の一環として、オムニチャネル化を進めています。
また、オムニチャネルと似た言葉として、シングルチャネルやマルチチャネル、OMOなどがありますが、これらはすべて別の意味を持つ言葉です。それぞれの意味については、以下の表をご覧ください。
種類 | 詳細 |
オムニチャネル | 顧客に対して全てのチャネルで同じサービスを提供する施策 |
シングルチャネル | チャネルを1つに絞る施策 |
マルチチャネル | チャネルを複数持つ施策 |
O2O | オンラインで集客し、オフライン店舗での購買を促す施策 |
ECサイトにおいては、ECサイト(オンラインストア)と実店舗、その他様々な接点を連携させて、顧客にスムーズかつ快適な買い物体験を提供する施策が実施されています。今後、この流れはさらに加速していくでしょう。
多様化していく買い物手段に対応しつつ、顧客満足度の向上を図るには、オムニチャネル化の実現が効果的です。
ECサイトをオムニチャネル化する4つのメリット
ECサイトの多くは、オンラインでの商品・サービスの販売を中心に展開しています。では、ECサイトのオムニチャネル化により、どのようなメリットを得られるのでしょうか。
ECサイトをオムニチャネル化するメリットは、以下の4つです。
- シームレスな対応で顧客満足度が向上する
- SNSなど他媒体を活用して潜在顧客にアプローチできる
- マーケティング精度の向上が見込める
- ユーザーファーストな対応で競合との差別化を図れる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット1. シームレスな対応で顧客満足度が向上する
オムニチャネルは、顧客がより自由に買い物できるように体制や環境を整える戦略です。ECサイトをオムニチャネル化することで、顧客満足度の向上を目指せます。
ECサイトをオムニチャネル化すれば、「店頭で見てECで購入する(ショールーミング)」「ECで注文して店舗で受け取る(BOPIS)」など、顧客にとって都合のよい購買体験を提供できます。また、オンライン販売では難しかった商品の試着・試用も、オフライン店舗と統合すれば実現可能です。
オムニチャネル化を実現すれば、より柔軟に顧客ニーズに対応できます。顧客満足度の向上を目指すなら、オムニチャネルの導入がおすすめです。
メリット2. SNSなど他媒体を活用して潜在顧客にアプローチできる
ECサイトをオムニチャネル化することで、潜在顧客に呼びかけやすくなります。たとえば、ECサイトのみで行っていた宣伝を、InstagramアカウントやMeta広告でも発信すれば、より多くの顧客に情報を届けることも可能です。
また、実店舗のSNS運用を活発化することで、ECへの送客も期待できます。店舗とECの両方で使用可能なクーポンをアプリ経由で発信すれば、潜在顧客に対してシームレスな買い物体験を提案できます。
オムニチャネル化により認知度の向上とタッチポイントの増加を図ることで、売り上げ向上も目指せますので、普段ECサイトを利用しない層へのアプローチ策として、オムニチャネル化を検討してみてはいかがでしょうか?
メリット3. マーケティング精度の向上が見込める
ECサイトをオムニチャネル化することで、マーケティング精度を向上できます。
ECサイトだけで得られるデータは、あくまで顧客行動の一部にすぎません。例えば日本国内におけるBtoC-EC(消費者向けEC)のEC化率はわずか9.38%にとどまり、従来の実店舗による取引が多数を占めています。
そのため、ECサイト単独のデータだけでは顧客の購買行動全体を把握しきれず、顧客理解は断片的になりがちです。
しかし、オムニチャネル化で顧客データを一元化すれば、「店舗で試着した後にECで購入した」「来店はしたが購買に至らなかった」といった分断されていた行動も把握できるので、マーケティング精度を向上できます。
マーケティング精度が向上すれば、パーソナライズ施策やレコメンドシステムを改善できます。これらの施策は、顧客満足度や売り上げの向上に役立つでしょう。
メリット4. ユーザーファーストな対応で競合との差別化を図れる
ECサイトと実店舗を連携させてオムニチャネル対応し、顧客に快適な買い物体験を提供することで、競合との差別化を実現できます。
オンラインでの買い物が一般化したことで、ECサイトに求められるレベルは年々高まっています。一方、高品質な買い物体験の提供を実現しているECサイトは、ほんの一握りです。
ニーズを徹底的に分析し、求められる対応を提供し続けることで、顧客にとって優良なサイトとなるのです。ECサイトのオムニチャネル対応を実現し、顧客の買い物体験の自由度を高めることで、競合との差別化を図れます。
たとえば、実店舗を絡めた施策を実施することで、商品の試着・試用などの顧客ニーズに対して柔軟に対応できます。ECサイトの使用感を高め、競合との差別化を図りたい場合にも、オムニチャネル化は有効です。
オムニチャネルを導入している企業例
オムニチャネルは多くの企業が導入している戦略です。実際に、日本を代表する大手企業もオムニチャネル化しています。
企業名と施策については、以下の表をご覧ください。
企業名 | 実施施策 |
ユニクロ | アプリと実店舗在庫を連携し、AIチャットボット『UNIQLO IQ』による接客やアプリ限定施策を展開 |
イオン | アプリと店舗・ECを統合し、店内端末で商品注文・配送手続きが可能 |
無印良品 | アプリ『MUJI Passport』でポイント管理・顧客管理・在庫連携を実現 |
JINS | アプリで保証書・度数管理や試着体験を提供し、オンラインと店舗の顧客接点を統合 |
資生堂 | オンラインと実店舗のパーソナライズ施策を連携し、高品質な顧客体験を提供 |
ニトリ | ECと店舗の在庫を一元管理し、アプリの商品情報を充実させて購入を促進 |
ヨドバシカメラ | ECと店舗で価格統一・ポイント共通化・即日配送を実現、ユーザーをECに誘導 |
ビックカメラ | 電子棚札とアプリ・ECを連携し、リアルタイムな情報提供と在庫確認を実現 |
ユニクロや無印良品では、専用アプリを活用したオムニチャネル戦略がすでに一般化しています。自宅での商品検索や購入、店舗での試着や実物の確認など、買い物の自由度と選択肢を増やすことに成功した施策と言えるでしょう。
今後、オムニチャネルはより多くの企業で導入されると言われています。ECサイトでも、さらにオムニチャネルの導入はトレンド化していくでしょう。
futureshopでここまでできる!オムニチャネル化に成功した注目のECサイト事例4選
futureshopをご利用中のお客様のなかにも、オムニチャネル対応に成功された店舗が多く存在しています。そこで今回は、futureshopを活用してオムニチャネル化に成功した企業の事例をご紹介します。
- ミレー
- 大江ノ郷
- BRADELIS New York
- ozie
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.ミレー
フランス発祥のアウトドアブランド「MILLET(ミレー)」では、オムニチャネル化によってEC売上の年間成長率40%を継続しました。自社ECサイトと直営店の会員データを一元化し、CRM施策の幅を拡大させ、売上向上を実現しています。
自社ECサイトと直営店のポイントを共通化による顧客満足度の向上や、アプリのプッシュ通知とLINEによるコンテンツの提供によって顧客の買い物体験拡大を実現したことで、売り上げ向上に成功しました。
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2.大江ノ郷自然牧場
鳥取県の複合リゾート施設「大江ノ郷自然牧場」を運営する有限会社ひよこカンパニーは、オムニチャネルの代表的な好例と言えます。大江ノ郷自然牧場は、電話やハガキで受け付けていた定期コースの受注をオンライン化し、運用を効率化するために、定期購入機能が備わっているfutureshopを導入しました。
ECとリゾート施設がシームレスにつながることでこうした循環を生み出し、顧客を増やしていくことを理想とする大江ノ郷自然牧場では、実際にオムニチャネル開始後にEC会員数を5倍に増やしています。
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3.BRADELIS New York
補整下着ブランド「BRADELIS NewYork(ブラデリスニューヨーク)」は、2020年10月に「futureshop omni-channel」を導入し、自社ECを刷新しました。オンライン接客の実施により顧客数を増やした結果、EC売上高が前年比145%に伸びるなど、EC売り上げの拡大を実現しています。
コロナ禍の売り上げが低下しやすい時期も、Instagramライブ配信やオンラインフィッティングサービスを導入し、顧客とのつながりを維持しました。時流の影響を受けやすいECサイトだからこそ、オムニチャネル対応によるメリットが顕著に現れた事例と言えるでしょう。
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4.ozie
Yシャツ専門店「ozie」を運営している株式会社柳田織物も、オムニチャネル化に成功した企業の一つです。ozieでは、2014年に東京・六本木に予約制ショールームを開設し、オムニチャネルの取り組みを本格的にスタートしました。
オンラインショップを主軸に運営したのち、オムニチャネル化を進めるためにオフライン店舗を展開した一例です。自社ECサイトや楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、直営ショールームという5つのチャネルで商品を消費者に販売した結果、メルマガやLINEなどのフォロワーは延べ約5万人を達成しています。
自社ECにおけるリピート売上比率は7割を超え、広告費は3分の1まで削減することに成功しました。
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ECサイトにおけるオムニチャネル導入ステップ
ECサイトにおけるオムニチャネルの導入ステップを紹介します。
- 顧客ニーズの特定
- システムとツールの選定
- 実装テストを実行
- 全面展開とブラッシュアップ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 顧客ニーズの特定
オムニチャネル戦略の第一歩は、顧客ニーズの特定です。現状、顧客が抱えている不満や要望を調査しましょう。アンケートやインタビューによる声の収集、購買データやWebアクセスデータの分析、カスタマーサポートに寄せられる問い合わせ内容の把握など、複数の方法を組み合わせて調査するのが効果的です。
顧客のニーズに応えるには、顧客が求める体験を理解し、どのチャネルでどのようにサービスを提供するかを考える必要があります。たとえば、オンラインで注文した商品を、店舗で受け取れるサービスを希望しているなら、店舗で試着した後に自宅に配送するオプションをスタートするのが効果的です。
2. システムとツールの選定
次に、オムニチャネルを実現するためのシステムとツールを選定します。特に、顧客データを一元管理するツールの導入は必須です。
その際には「既存のPOSレジや在庫管理システムと連携できるか」「ECと店舗で在庫をリアルタイムに共有できるか」といった観点が重要です。システムが分断されたままだと、在庫切れや二重登録といったトラブルが発生し、かえって顧客体験を損ねてしまう恐れがあります。
そもそものチャネル数が少ない場合は、チャネル数を増やすことも大切です。チャネル数が少ないままだと、顧客が選べる購買体験の幅が狭まり、オムニチャネルのメリットを十分に発揮できません。
ただし単に数を増やすのではなく、顧客の利用実態に合ったチャネル(例:SNS、モバイルアプリ、店舗受け取りサービスなど)を選定し、既存の仕組みと統合することが大切です。
3. 実装テストを実行
オムニチャネル戦略の実行前に、一部のチャネル・地域・機能に絞って試験的に運用を行い、実装の課題や改善点を洗い出しましょう。顧客の反応やシステムの使い勝手を確認し、課題を改善することが目的です。
たとえば、特定の地域での配送遅延の発生や、オンラインとオフラインの情報が同期しない、店舗スタッフのオペレーションに想定以上に負荷がかかるなど、テスト運用を通じて発覚する問題は多いです。実装テストを行うことで、本格展開時に起こりうる問題を未然に防げます。
4. 全面展開とブラッシュアップ
テスト導入の結果をもとに、オムニチャネルを全体に展開します。運用後は、顧客のフィードバックを継続的に収集し、サービスやシステムの改善を繰り返しましょう。
全面展開後も顧客の反応を定期的にチェックし、ブラッシュアップを続けて、よりよいオムニチャネル体験を提供し続けることができます。
フューチャーショップは、現状のシステムやPOSレジの環境を丁寧にヒアリングし、チャネル全体を統合する設計からサポート可能です。売上拡大や顧客体験向上に向けて、まずはご相談ください。
ECサイトのオムニチャネル導入における3つの注意点
ECサイトのオムニチャネル導入における注意点やデメリットは以下の3つです。
- チャネル間で売り上げの差が生じる場合がある
- 初期費用がかかる
- 顧客への周知が難しい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
チャネル間で売り上げの差が生じる場合がある
オムニチャネル化を進める際、「ECに顧客が流れて店舗の売上が減るのでは」と懸念されることがあります。確かに短期的にはチャネル間で売上の移動が見えることもありますが、実際には「顧客接点が増えることで全体の売上が伸びた」という事例が多く見られます。
重要なのは、各チャネルが成果を奪い合うのではなく、全体最適を意識して仕組みを設計することです。たとえば、futureshopのCMS機能「commerce creator」で構築されたECサイトは、「STAFF START」と連携することで店舗スタッフの貢献をオンライン上でも可視化できます。これにより、ECと店舗が互いに補完し合い、スタッフのモチベーション維持と売上拡大の両立が可能になります。
初期費用がかかる
オムニチャネルの導入には初期費用がかかります。そもそも、オムニチャネルの成果を実感するには複数のチャネルが必須なので、チャネル数が少ない場合は、チャネルを増やすための費用が必要になります。
また、複数チャネルを相互に連携させるシステム開発やデータベースの管理にも費用が発生するため、利益については十分な検討が必要です。導入時には、初期費用を回収できるだけの効果を見込めるか企業内で話し合いましょう。
顧客への周知が難しい
オムニチャネルは導入後の周知が難しいです。導入コストをかけてスタートしても、顧客に認知してもらうための広報・販促を実施しなければ意味がありません。
たとえば、アプリで来店予約できるように改善しても、アプリの存在自体を知られていなければ利用率は低いままです。オムニチャネル化するときは、便利な使い方や利用メリットなどについて、顧客に周知するために工夫しましょう。
futureshopを利用しているアウトドアブランドの「ミレー」さまでは、アプリのダウンロード用のQRコードを店頭に設置し、店舗スタッフがお客さまにアプリをご案内しています。メリットを熟知したスタッフの接客の結果、アプリのダウンロード数はそれ以前の3倍以上に増えました。
現在、アプリダウンロードの9割以上は店頭経由です。
このように、ECサイトにおけるオムニチャネル対応を周知するには、実店舗との連携が欠かせません。より多くの顧客に認知してもらえるような対策を実施しましょう。
▼インタビュー記事はこちらをお読みください
ECサイトのオムニチャネル化はfutureshopにご相談ください
ECサイトへのオムニチャネル導入を検討しているなら、futureshopにご相談ください。futureshopは、ECサイトのオムニチャネル化について豊富な実績があります。
ECサイトをオムニチャネル化することで、以下の課題を解決に導くことが可能です。
- 実店舗とECのポイントが連携できていない
- 実店舗とECの顧客データが統合されていないので効果的な販促が打てない
- ECで購入したものを実店舗受取できるようにしたい
- 実店舗にある在庫をECサイトでも調べられるように表示したい
また、futureshopが提供するオムニチャネル・OMOプラットフォームのfutureshop omni-channelでは、以下のサービスの利用が可能です。
- ECサイトと実店舗のポイントを統合
- ECで注文、店舗で受け取りを実現
- InstagramやLINE STAFF STARTでファンとのつながりを強化
- POS連携でポイント付与をスムーズに
- アプリ開発とデータ連携をスムーズに実現
- 店舗とECでの顧客情報を統合することで、最適なタイミングでの販促を実現
ECサイトへのオムニチャネル導入に興味がある方は、ぜひfutureshopにお問い合わせください。
まとめ
今回は、ECサイトへのオムニチャネル導入に関する内容を紹介しました。ECサイトのオムニチャネル化によって、さまざまなメリットを得られます。
今後より多くの業界でオムニチャネル化は進むでしょう。顧客の多様なニーズに応え、満足度や売上の向上を実現するためにも、オムニチャネルの導入は効果的です。
また、futureshopではECサイトのオムニチャネル導入を支援するサービスを提供しています。ECサイトのオムニチャネル化なら、ぜひfutureshopにお任せください。