BOPISとは?小売業で広がる店舗受取サービスの実現方法、国内事例と導入時のメリットを事業者・利用者に分けて紹介

BOPISとは?店舗受取サービスの国内事例と導入メリットEC・ネットショップ運営お役立ち資料ダウンロード小売りやEC業界で注目されている「BOPIS」。用語の意味や導入メリット、日本における事例などを解説します。

BOPISとは?

BOPISとは、ECサイトやアプリなどオンラインで購入した商品を、実店舗で受け取ることを意味するマーケティング用語です。Buy Online Pick up In Storeの頭文字をとった略語で、「ボピス」と読みます。

ECサイトなどで購入した商品を実店舗で受け取る「店舗受け取り(店頭受け取り)」とほぼ同じニュアンスで使われます。

BOPISとClick & Collectの違い

Click & Collect(クリック・アンド・コレクト)もBOPISと混同しやすい用語です。Click & Collectとは、オンラインで購入した商品を自宅以外で受け取ること。商品を受け取る場所は実店舗だけでなく、宅配ロッカーやドライブスルー、コンビニなどを含みます。受け取り場所が店舗に限定されるのがBOPIS、店舗以外も含めるのがClick & Collectです。

BOPISに関する意識調査結果

BOPISは現在、消費者にどの程度浸透しているのでしょうか。BOPISの認知度や利用意向に関するデータを紹介します。

「店舗受け取りサービス(BOPIS)」を利用したことがある人は全体の5.7%でした。利用経験はないものの、サービスの内容を知っている人は19.4%。合計25.1%がBOPISを認知しています(調査期間は2020年5月28日~6月1日)。

出典:(株)バルク調べ「これからの生活者サーベイ【店舗受け取りサービス(BOPIS)の利用意向】」

BOPISの利用意向

BOPISを利用したいと考えている消費者は30%を占めました。「『店舗受け取りサービス(BOPIS)』が日本国内のスーパーなどの店舗でも広く導入された場合、あなたはどの程度利用したいと思いますか」という質問に対して、「非常に利用したいと思う」は2.6%、「利用したいと思う」は9.5%、「まあ利用したいと思う」は17.8%となっています。

出典:(株)バルク調べ「これからの生活者サーベイ【店舗受け取りサービス(BOPIS)の利用意向】」

店舗受け取りサービス(BOPIS)を利用したいと思う理由は、「便利そうだから」「配送料がかからないから」「人とあまり接触しないで良いから」「買い物時間を短縮できるから」「好きな時に受け取れるから」が上位でした。

出典:(株)バルク調べ「これからの生活者サーベイ【店舗受け取りサービス(BOPIS)の利用意向】」

BOPISの利用率は調査時点で5.7%ですが、BOPISを利用したいと考える消費者が3割いることを踏まえると、今後、BOPISの利用率は上昇していくでしょう。

消費者と事業者にとってのBOPISのメリット

BOPISは事業者と消費者の両方にメリットがあります。事業者にとっては来店促進や物流コストの削減が期待できますし、消費者は好きなタイミングで商品を受け取れることなどがメリットです。

事業者(小売企業)と消費者(顧客)のそれぞれの目線から、BOPISのメリットを解説します。

事業者のメリット

①来店促進

ECサイトの利用者(顧客)が実店舗に来店するきっかけを作ることができます。商品を受け取りに来た際に、実店舗でのついで買いが期待できます。

②接客の機会を創出

商品を受け取りに来た顧客に、店舗スタッフが接客を行うチャンスが生まれます。対面で接客することができないEC事業において、顧客と会話ができる貴重な機会を創出できることはBOIPSの大きなメリットです。

③顧客満足の向上

ECサイトにおける商品の受け取り方の選択肢を増やすことで、顧客の満足度を高めることができます。

④物流コストの削減

販売した商品の在庫が実店舗にあれば、ラストワンマイルの配送費は発生しません。商品の在庫が実店舗になく、倉庫から取り寄せる場合でも、倉庫と店舗の定期輸送便に在庫を乗せれば、顧客の自宅に配送するよりも荷物1個あたりの配送コストを抑えることができるでしょう。

消費者のメリット

①送料を節約できる

店舗受け取りの場合は送料無料になるECサイトは少なくありません。送料を節約できることは消費者にとって大きなメリットであり、そのECサイトで買い物をする動機になります。

②在庫切れの心配がない

実店舗で商品を買う予定の消費者は、あらかじめECサイトで商品を購入することで、店頭の在庫切れを心配することなく買い物ができます。

③好きなタイミングで、好きなお店で受け取れる

買い物のついでや会社帰りなど、顧客の好きなタイミングで商品を受け取ることができます。全国に店舗があるような大手チェーンであれば、顧客は会社の近くや自宅の近く、通勤・通学の途中にあるお店など、立ち寄るのに都合が良いお店を選択することもできます。

④実店舗の滞在時間を減らせる

新型コロナウイルスへの感染を心配し、できるだけ実店舗での滞在時間を減らしたいと考える消費者にとって、BOPISであれば安心して買い物ができます。

BOPISのデメリット

BOPISには事業者・消費者双方にメリットがある一方で、事業者に次のようなデメリットもあります。

新たな業務オペレーションの構築が必要になる

BOPISを運用するには「リアルタイムな在庫管理」や「ロケーション管理」が必要なため、新たな業務オペレーションを構築する必要があります。

最新の在庫情報が管理できていない場合「顧客が商品を受け取りに来たにもかかわらず、在庫がなく渡せなかった」といった問題が発生する恐れがあります。すると、販売の機会を損失するだけでなく「顧客離れの原因」になりかねないため、リアルタイムな在庫管理を実現する仕組み作りが必要です。

また店舗への商品配送をスムーズにするには、ロケーション管理の適正化が重要です。倉庫内での作業ではピッキング作業にかかる時間が大半を占めるため「在庫管理システムを導入する」などの対応が必要です。

実店舗従業員に新たなタスクが発生する

BOPISではこれまで郵送していた商品を店頭で渡すため、受け取りに来た顧客への接客が必要になります。そのため、実店舗での従業員の負担が重くなる点がデメリットです。

実店舗に店舗受け取りに関して問い合わせがあった場合、電話への対応も必要になります。BOPISに伴う業務が実店舗の従業員に発生する点は、理解しておく必要があるでしょう。

ただし「顧客との接点を作れる」「アパレルであればコーディネート提案から自分のSNSアカウントを紹介して新たな顧客と繋がるチャンスになる」といったメリットも持ちあわせています。

実店舗従業員のモチベーションにつながる評価制度をつくる

BOPISは実店舗従業員の受け渡しタスクが発生します。しかし店舗の売り上げではなくECサイトの売り上げに換算されます。

その結果、従業員のモチベーションに影響することが考えられます。モチベーション管理のため、店舗にも貢献売上として評価する制度や、来店された方に接客した店員にも貢献を評価することが必要です。

在庫保管用のスペースが必要になる

BOPISを導入する場合、これまでの店舗の在庫数に加えて「BOPISの在庫」も管理する必要があります。在庫保管用のスペースをこれまで以上に確保しなければならないため、在庫数の増加に対応できるかを検討したうえでBOPISを導入しましょう。

日本でのBOPIS事例

近年、日本でもBOPISが広がっています。アパレルや家電、ホームセンターなどの事例を紹介します。

ユニクロの事例

オンラインストアでの購入時に「ユニクロ店舗受取り」を選択すると、ユニクロ店舗(一部対象外の店舗あり)で商品を受け取ることができます。受け取りまでの日数の目安は、注文翌日から2日〜4日。送料や受取手数料は無料です。

商品が対象店舗に到着すると、「商品到着のお知らせメール」や「購入履歴>注文詳細」で通知されます。商品の保管期間は、商品が店舗に到着してから14日間です。

出典:ユニクロ公式サイト「お問い合わせ・お客様の声の活用 ユニクロ店舗受け取りについて」より抜粋

ヨドバシカメラの事例

「ヨドバシ・ドット・コム」で注文した商品を、ヨドバシカメラ、石井スポーツ、アートスポーツの店舗で受け取ることができます。商品をショッピングカートに入れた後、「店舗で受け取る」にチェックを入れ、店舗受け取りの商品を選択します。入荷時間の目安を注文時に確認できるほか、商品の準備ができ次第、メールで通知されます。

店舗に在庫があれば30分以内に商品を用意し、店舗に在庫がなければ他店舗や仕入先から取り寄せます。店舗受け取りの手数料は無料です(店舗で配達を依頼した場合には別途料金が発生)。

出典:ヨドバシ公式サイト「ネットで注文 店舗で受け取りサービス」より抜粋

ワークマンの事例

ワークマンオンラインストアでの購入手続きで店舗受け取りを選択すると、任意の店舗で商品を受け取ることができます。店舗に在庫があれば、最短3時間で商品を受け取ることが可能です。店舗受け取りの送料は無料。保管期間は店舗到着メールの送信日から10日以内です。

出典:ワークマン公式サイト「店舗受け取りサービス」より抜粋

ニトリの事例

ニトリネットで購入した商品を、全国の店舗のサービスカウンターで受け取ることができます(一部店舗を除く)。店舗に在庫があれば翌日の受け取りが可能。一部店舗では、14時までの注文で最短当日に受け取ることができます。在庫の確認が完了すると、メールまたは電話で連絡がきます。配送料金は無料。保管期間は受取日から14日間です。

出典:ニトリ公式サイト「店舗受取りサービス」より抜粋

BOPISを導入する手順

BOPISの導入は、次の3つの手順で行います。

  1. 管理システムの導入
  2. オペレーションの構築・担当者研修
  3. 継続的なナレッジ蓄積

    管理システムの導入

    BOPISを運用するには「ECサイト」と「実店舗」の情報を連携させる必要があります。そのため、オンライン上の商品と在庫データをリアルタイムで管理できる「管理システム」を導入しましょう。

    BOPISにおいて「在庫が確保できずに顧客に販売できなかった」という機会損失を防ぐには「購入商品」や「購入日時」「顧客情報」「受け渡し店舗名」といった情報をリアルタイムで管理する必要があります。そのため管理システムを活用し「顧客への確実な受け渡し」や「管理業務の効率化」を図ることが大切です。

    futureshopでは「BOPIS機能」をオプションサービスとして提供しています。ECサイトで注文した商品をお客様の「自宅」または「任意の場所」に届ける代わりに実店舗に配送するため、在庫管理が容易です。

    オプション料金は月額3,000円で店舗数による課金もないため、コストを抑えながら「利便性の向上」や「ブランド接触機会の増加」が実現できます。

    「店舗受け取りオプション」の詳細はこちらのページをご覧ください。

    オペレーションの構築・担当者研修

    管理システムを導入したら、BOPIS担当の店舗従業員に対し研修を通じて「作業内容」を伝えましょう。

    店舗において全員がBOPISに対応できるようにする場合は、研修を通じて従業員全員に教育を行います。一部の店員のみに対応させる場合は、該当するスタッフのみに研修を実施します。

    教育・研修内容には「管理システムの使用方法」や「在庫管理の方法」「商品を受け取りに来た顧客への対応」などが含まれます。

    「店舗の従業員からの問い合わせ対応」や「マーケティング分析」なども行えるように、必要に応じて社内でもBOPIS担当者を選任・教育しましょう。

    継続的なナレッジ蓄積

    1・2の手順を実践してBOPISの運用を始めたら、継続してナレッジを蓄積しつつ、社内オペレーションなどを向上させましょう。

    「商品の受け取り方」で付加価値をつける

    小売りやEC業界では近年、オムニチャネルやOMOが加速しています。消費者はオンライン・オフラインを問わず、好きなチャネルで買い物をすることが当たり前になりました。そして今後は、商品を受け取る場所も自宅だけでなく、実店舗や宅配ロッカー、コンビニ、会社など、消費者のニーズに合わせて多様化していくことは間違いありません。

    EC事業者や小売企業が、商品だけで差別化することが難しい時代になりました。買い物の利便性や接客に加え、BOPISをシステム導入して「商品の受け取り方」で付加価値を付けることが企業の競争力につながるでしょう。

    BOPISを実現するためには

    futureshopでBOPIS機能をご利用いただけます。

    ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」は、2022年2月24日からBOPIS機能をオプションサービスとして提供しています。「店舗受取オプション」の詳細はこちらのページをご覧ください。

    futureshopでのBOPIS実現インタビュー

    ネットとリアルが連携したOMO施策のひとつとしてBOPISを実現された店舗様に、どのような効果があったかをインタビューしました。

    BOPIS実現のメリットとは?

    ECで購入して店舗で受け取る。実現するとどういったメリットがあるのか? を試した記事はこちら。

    店舗受け取りサービスを導入したい企業さまからのご相談も受け付けておりますので、以下の問い合わせフォームやサポート電話窓口からお問い合わせください。