“モール依存から脱却”の成功事例!自社ECで月商1000万円突破のハウツー解説【セミナーレポート】
- 2025.09.30
2025.09.30
「ECモール依存から脱却し、自社ECサイトの売上を伸ばしたい」
そういった課題を持つEC事業者さまに向けて、株式会社フューチャーショップは“モール依存からの脱却術”をテーマとしたオンラインセミナーを2025年5月に開催しました。
グループコンサルティング「EC実践会」の講師であり、ECコンサルタントとして数々のネットショップを成功に導いてきた水上浩一さんをスピーカーにお招きし、自社ECサイトの売上を伸ばすための戦略と具体的な施策、そして、自社ECサイトの売上を大きく伸ばした店舗さまの成功事例をお伝えしました。
当日は約100人にご参加いただき、アンケートでも「具体的な成功事例が多く、モチベーションが上がりました」「売上増加につながったお話を聞いて、同じようなことが当店でもできそうだと思いました」といった感想をいただくなど、大変ご好評をいただいた今回のオンラインセミナー。本稿ではその中から、すぐに実践できるハウツーや成功事例を紹介します。
記事の前半では売上アップのフレームワークを解説し、後半では、そのフレームワークを活用して月商300万円・600万円・1000万円の壁を突破した店舗さまの事例を詳しく紹介しています。次のような方はぜひ参考にしてください。
- モール依存から脱却し、自社ECの売上を伸ばしたい方
- 自社ECを伸ばす具体的な施策や成功事例を知りたい方
- EC担当者として知識の習得やスキルアップを目指したい方
本稿は株式会社フューチャーショップが2025年5月28日に開催したオンラインセミナー「モール依存からの脱却術 月商1000万円突破のための基礎力アップ」をもとに構成しています。掲載内容はセミナー開催時点の情報です
株式会社ドリームエナジーコンサルティング
代表取締役
水上 浩一(みずかみ ひろかず)氏
「戦略的ウェブ活用」を得意とし、オープン80日で月商1100万円達成のほか、月商1億円超、月商4800万円店舗など、大手企業から地方の商店街・地域活性化まで幅広いジャンルにて、ネットショップ・実店舗問わず短期間で劇的な売上アップに貢献。オールアバウト「インターネットサービス」ガイド、FMラジオのパーソナリティ、雑誌コラム・テレビなどマスコミでも活躍中。年間180回以上行われるセミナー、全国22地域延べ3300人以上の参加実績がある「EC実践会®for futureshop」など、講師としても高い人気を誇る。
目次
月商1000万円突破のためのフレームワーク
今回のオンラインセミナーでは、グループコンサルティング「EC実践会」の内容を踏まえて、自社ECサイトの売上を伸ばした店舗さまが実際に取り入れているフレームワークを解説しました。
ECの汎用的な理論を応用したものや、ランチェスター戦略などの経営理論をベースとしたものなど、「EC実践会」で効果が実証されているフレームワークです。セミナーは2時間30分を超える充実した内容だったこともあり、すべてを紹介するのは難しいため、本稿では一部を抜粋して紹介します。
【売上UPのフレームワーク(一部抜粋)】
- ネットショップ売上の公式
- 売上高構成比率とキー・プロダクト
- チャネル展開設計サイクル
- 展開戦略マトリクスのSEO活用
- 基礎力UPのフレームワーク
1.ネットショップ売上の公式
ネットショップ売上の公式は「セッション数×転換率×客単価」で表されます。この公式について水上さんは「売上アップをめざす上で必須の公式なので、必ず押さえておいてほしい」と説明。セッション数・転換率・客単価のうち、どれを優先的に改善するべきか聞かれることが多いことにも言及し、「すべて重要だが、あえて順番をつけるなら売上インパクトが大きい転換率の優先度が高い」と指摘しました。

「EC実践会」の事例を挙げながら「ネットショップ売上の公式」の重要性を説明した
2.売上高構成比率とキー・プロダクト
続いて水上さんは「売上高構成比率」と「キー・プロダクト」を解説しました。このフレームワークはランチェスター戦略を応用したもので、小規模なネットショップが大企業と戦うための戦略としても有効です。
- 売上高構成比率:売上高全体に占める商品ごとの売上高の割合
- キー・プロダクト:ネットショップでもっとも売れている商品
小さなネットショップが大手と戦うには、キー・プロダクトに経営資源を集中し、一点突破を狙うことが有効です。キー・プロダクトの売上高構成比率が25%〜70%の範囲におさまり、2番目に売れている商品との差が10ポイント以上あるのが理想です(水上さん)
なお、売上高構成比率は「商品」に限らず「カテゴリ」や「チャネル(広告・オーガニック・顧客リスト)」でも同様に使うことができます。

キー・プロダクトの売上高構成比率を25%〜70%の範囲におさめることがポイントになる
3.チャネル展開設計サイクル
「チャネル展開設計サイクル」とは、ECサイトの①転換率UP ②広告効率UP ③SEO効果UP ④F2転換率UPというサイクルを作り出して売上を伸ばすフレームワークです。ページの改善や広告などを通じて、次のような好循環を生み出します。
①転換率UP
セッション数が多いのに購入に結びつきにくい(転換率が低い)ページを見つけて、転換率を上げるためにページの内容や構成を見直し改善する
②広告効率UP
改善したページに広告をかけ、費用対効果(CPA)を高めながら集客をする
③SEO効果の向上
ユーザーとのやり取り(インタラクション)が増えると、検索エンジンからの評価も上がり、オーガニック流入が伸びていく
④顧客リスト F2転換率(2回目購入率)UP
顧客リストの増加と指名検索の増加によって、2回目以降の購入率も上がり、売上が安定していく

「チャネル展開設計サイクル」によって売上アップの好循環を生み出す
優先的に転換率を改善すべきページは、セッション数は多いが転換率は店舗平均よりも低いページです。GA4などでページごとのセッション数や転換率を調べて優先順位を決めてください(水上さん)
転換率を上げるには、ページの構成やコンテンツの見直しが必要です。「EC実践会」ではコンテンツ制作やライティング(執筆)の手法を具体的に解説するとともに、誰でも使えるワイヤーフレームを提供しています(水上さん)

「広告チャネル(Paid Search)」「オーガニックチャネル(Organic Search)」「既存顧客リスト(メルマガ・Direct)」のセッション数などをGA4で計測する方法も解説した
4.展開戦略マトリクスのSEO活用
ビジネスの初期段階ではキー・プロダクトを軸とした「一点集中」の戦略が効果的ですが(フレームワーク2「売上高構成比率とキー・プロダクト」参照)、さらに売上を伸ばすには「ターゲットを拡大していくことも重要」(水上さん)になります。
ターゲットを拡大していくためのフレームワークとして水上さんは「展開戦略マトリクスのSEO活用」を解説しました。
「展開戦略マトリクスのSEO活用」とは?
「展開戦略マトリクスのSEO活用」とは、商品をどう見せるか・どう増やすかといった視点で新たな顧客層を取り込むフレームワークです。企業の成長戦略を「商品」と「市場」の2軸に分け、さらにそれぞれを「既存」と「新規」に分けてSEO戦略を組み立てます。なお、このフレームワークはアメリカ人の哲学者イゴール・アンゾフが考案した「アンゾフの成長マトリクス」をベースにしています。
※参考 経済産業省 中小企業庁 「アンゾフの成長マトリクス」
- シーン提案展開型:商品の“利用シーンの提案”のバリエーションを増やす
- カテゴリ展開型:カテゴリ内の商品ラインナップを拡充する
- 業界特性別 カテゴリ展開型:業界ごとの特性を踏まえてカテゴリ内の商品ラインナップを拡充する

ターゲットを拡大していくためのフレームワーク「展開戦略マトリクスのSEO活用」
展開戦略マトリクスをコンテンツSEOに応用すると、ターゲットが拡大され、オーガニックチャネルからのセッション数の増加につながります。
例えば、食品のネットショップが「②シーン提案展開型」に取り組む場合、贈答用の商品を作った上で「(商品名)+ギフト」「(商品名)+内祝い」「(商品名)+手土産」といった検索キーワードを意識した特集ページを作ることで、贈答用の商品を探しているユーザーのオーガニック流入を新たに増やすことができます。
「展開戦略マトリクスのSEO活用」は、EC事業者のリソースを分散させることなく、ターゲットを広げて店舗の力を最大化するためのフレームワークです。ランチェスター戦略の「一点集中」を否定するものではなく、「一点集中」の発展形が「展開戦略マトリクスのSEO活用」です(水上さん)
5.基礎力UPのフレームワーク
ネットショップの平均月商を底上げするための方法論として、「流入チャネルごとに対策すべき要素」「月商目標を達成するためのマイルストーン」「売上高構成比率の応用」といった基礎力UPのフレームワークも解説しました。
※基礎力:イベント時期以外の平均月商

「広告チャネル」「オーガニックチャネル」「顧客リストチャネル」の売上高を伸ばすために取り組むべき要素を解説した

ネットショップの基礎力を伸ばしていく際に、目安となる平均月商および平均日商のマイルストーン

売上高構成比率は「商品軸」「チャネル軸」「カテゴリ軸」で活用できる
月商300万円・600万円・1000万円を突破したネットショップの成功事例
今回のセミナーでは「EC実践会」の成功事例を多数紹介しました。本稿ではその中から月商300万円・600万円・1000万円の壁を突破した3つのネットショップの取り組みと成果を紹介します。

「EC実践会」では月商ギネス(過去最高月商)を達成したネットショップが続々と登場している
高級納豆専門店「二代目福治郎」(月商300万円突破)
「二代目福治郎」さまは、1パック2000円の丹波黒納豆など、高級納豆を販売している納豆専門店です。「EC実践会」で学んだフレームワークを実行し、2024年12月に月商300万円を突破しました。
「展開戦略マトリクスのSEO活用」で新規顧客を獲得
売上UPのフレームワーク「展開戦略マトリクスのSEO活用」の「シーン提案展開型」を取り入れて、商品のシーン提案のバリエーションを増やすことで新規顧客獲得に成功しました。
成果が出た施策の1つはギフト提案を強化したこと。高級納豆の詰め合わせボックスなどを商品化し、誕生日プレゼントや内祝いといった贈答用の利用シーンを提案することでギフト需要を掘り起こしました。
また、北海道産の大豆「光黒」を使った高級納豆は、クラッカーやチーズなどに乗せてワインのつまみにするなど、新たな切り口で訴求しています。

ギフトやワインのつまみなど、新たな切り口でシーン提案を行い、新市場を開拓している
「チャネル展開設計サイクル」で売上拡大
「二代目福治郎」さまは「チャネル展開設計サイクル」にも取り組んでいます。セッション数が多いページのコンテンツを改善して転換率を高めるとともに、オンライン広告を自社運用に切り替えるなど広告も強化し、広告の費用対効果の向上につなげました。
広告チャネルの顧客獲得増加→インタラクションによるSEO効果の向上→オーガニック流入の増加→顧客リストの増加──という「チャネル展開設計サイクル」の好循環が生まれ、「広告」「オーガニック」「顧客リスト」すべてのチャネルで売上が伸びています。

広告チャネル・オーガニックチャネル・顧客リストチャネルのすべての売上が拡大した
「切れ目ない販促イベント」を企画
お客さまとの単純接触回数の増加を図るため、メルマガを週1回以上の頻度で配信しています。メルマガでは新商品や季節ごとのキャンペーン、福袋、期間限定商品などを告知。イベントを毎月開催するなど、販促企画を切れ目なく行うことで売上拡大につなげました。
お客さまとの接触回数を増やすとともに、売上を安定的に伸ばすには、販促企画を切れ目なく行うことが重要です(水上さん)

キャンペーン、セール、期間限定商品、年内の最終出荷日など「緊急性」「希少性」「限定性」のあるトピックスを中心にメルマガを配信している
F2転換率アップの施策
お試しセットで新規顧客を獲得し、定期購入へと引き上げる施策も奏功しています。1週間分(7食分)の納豆を詰め合わせた「お楽しみ納豆セット」で新規のお客さまに商品の美味しさを実感してもらった上で、定期コース「納豆愛好会」を提案してF2転換につなげています。

定期コース「納豆愛好会」の「10%割引」「送料無料」「注文の手間なし」といったメリットを訴求し、定期購入へと引き上げている
マスクメロン専門店「一果相伝」(月商600万円突破)
次に紹介するのはマスクメロン専門店「一果相伝」さまの成功事例です。マスクメロン専門店だからこそ実現できる専門性の高いコンテンツSEOに加え、特定の商品に経営リソースを集中投下する「一点集中戦略」などに取り組むことで、月商600万円の壁を突破しました。
「一果相伝」さまは集客商品と本命商品を絞り込み、経営リソースを集中投下する「一点集中戦略」にSEOを組み合わせて売上を伸ばしました。
- 集客商品:キーワードに集客力があり、初めてのお客さまに買ってもらいたい商品
- 本命商品:オリジナル商品など、お店が全力で売りたい商品であり、2回目に来店したお客さまに購入してもらいたい商品
「一果相伝」さまの集客商品は、新規会員登録のお客さまが1回限定で購入できる、お試しマスクメロン。本命商品は贈答用のマスクメロンです。
水上さんは、資金力の小さいネットショップが大手と戦うには「お店として注力する商品を明確にすることが重要」と指摘。「EC実践会」では、初回のワークショップで集客商品と本命商品の選定を行うことも説明しました。
SEO効果でオーガニック流入が増加
「一果相伝」さまは広告とオーガニック、顧客リストのすべてのチャネルで売上高が伸びていますが、2024年7月以降は特にオーガニックチャネルの売上高が急増しました。
オーガニックチャネルの売上高が大きく伸びた要因の1つは、コンテンツSEOの成果が出たこと。「贈答用マスクメロンの選び方」「食べごろを見極めるコツ」「鮮度を保つ保存方法」「おすすめのアレンジレシピ」など、マスクメロン専門店だからこそ伝えられる専門性の高い内容であり、かつ、ユーザーにとって価値のある情報を発信しています。
こうしたコンテンツSEOについて水上さんは「専門性が高くE-E-A-Tの観点からもSEOに有利に働いている」と説明した上で、「検索順位はマスクメロンで1位、メロンでも2位を獲得するなど、ビッグワードでも実績が出ている」と成果を強調しました。
※E-E-A-T:GoogleがWebサイトやコンテンツの品質を評価する際に使用する基準。SEOにも影響する

専門性が高く、ユーザーにとって価値のあるコンテンツが検索結果の上位を獲得している
「展開戦略マトリクスのSEO活用」の「シーン提案展開型」で売上拡大
ネットショップで取り扱う商品を絞り込むと、専門性が高まって消費者から信頼を得られやすい一方で、「専門店ゆえに商品ラインナップを増やしにくい」(水上さん)ことが課題になります。
「一果相伝」さまは、商品を絞り込みながらも「展開戦略マトリクスのSEO活用」の「シーン提案展開型」を取り入れることで、その課題を解決しました。
「お取り寄せ」「誕生日プレゼント」「内祝い」「お祝い・パーティー」「手土産」「カフェ・パティシエ」「お供え」など、さまざまなシーンから商品を絞り込めるようにECサイトの動線を設計するとともに、シーン提案のコンテンツも量産してSEOを強化。さらに、季節ごとのイベントに合わせて特集ページを制作し、例えば3月は「ひな祭りマスクメロン」や「ホワイトデーマスクメロン」、9月は「お月見メロン」、10月は「ハロウィーンマスクメロン」などを提案しています。
名入れボールペン「パルセラ」(月商1000万円突破)
名入れのボールペンや雑貨を販売している「パルセラ」さまは、2019年9月に自社ECサイトをオープンし、さまざまな施策に取り組んだ結果、2022年3月に月商1000万円を突破しました。2025年3月には月商が1888万円に拡大するなど成長を続けています。
自社ECサイトのトップページは「ボールペン専門店」に見せる
自社ECサイトをオープンしてから数ヶ月は、「パーカー」のボールペンに売り上げが集中していました。そこで「パルセラ」さまは、パーカーのボールペンをキー・プロダクトに位置付けて一点集中戦略を実行。その戦略が奏功して飛躍のきっかけを掴みます。
自社ECサイトの中でセッション数が多いトップページは、あえて「名入れボールペンのギフトショップのように見せている」(水上さん)のが特徴です。売れ筋のブランド「パーカー」を目立たせるとともに、「E-E-A-T」を意識して「パーカーの選び方」といったコンテンツも作っています。
楽天などのECモールでは、ユーザーが商品ページにダイレクトに流入するため、バラエティショップのようなお店でも商品が売れます。しかし自社ECサイトは「なんでも屋」では売れません。トップページなどユーザーの流入数が多いページでは「何屋なのか」を明確に打ち出すことが必要です(水上さん)

トップページは名入れボールペンのギフトショップのように見せている。商品一覧ページは水筒や日傘、ペット服などが並ぶバラエティショップになっている
広告運用はランチェスター戦略の「一騎打ち」
「パルセラ」さまは売上を伸ばす過程で、広告運用においてランチェスター戦略の「一騎打ち」を取り入れました。
自社ECサイトをオープンした当初の広告予算は月額約20万円。ボールペンなどを扱う競合店舗の広告予算はその数倍とみられていました。
広告の予算額だけで比較すると競合が圧倒していたものの、「競合は広告予算を複数の商品に分散していた」(水上さん)ことに着目し、「パルセラ」さまは「パーカーのボールペン」に広告予算を集中的に投下。その結果、「パーカーのボールペンに限れば広告費で競合を上回り、勝利することができた」(水上さん)と振り返りました。
広告費の総額では敵わなくても、商品を絞り込んで広告費を集中的に投下すれば、局地戦で勝つことができます。それが「一騎打ち」の戦略です(水上さん)

広告戦略はランチェスター戦略の「一騎打ち」で成果を上げた
第二のキー・プロダクトを選定
トップページの専門店化や広告の「一騎打ち」などに取り組んだ結果、「パルセラ」さまはオープン3ヶ月目に月商500万円を超えました。急成長を遂げていたものの、その後の数ヶ月間の売上高の伸びは当初の想定を下回ったそうです。

売上高は急拡大していたが、当初の想定を下回った
売上高の伸びが想定を下回った要因を分析した結果、キー・プロダクトであるパーカーのボールペンの売上高構成比率が上限の70%を超え、79.52%に達していたことが判明しました。
また、売上高構成比率を「チャネル軸」で見た場合でも、ペイドサーチ(広告チャネル)が72.12%に達しており、単一チャネルに売上が偏っていたことが月商の伸び悩みを招いていました。
商品軸でのキー・プロダクトの売上高構成比率が上限値の70%を超えていたほか、チャネル軸でも広告チャネルの売上高構成比率が70%を超えていました。2019年12月に月商500万円を超えた段階で、次のキープロダクトを選定するとともに、オーガニックチャネルの強化に乗り出す必要があったということです(水上さん)

キー・プロダクトの売上高構成比率が70%を超えていた
「パルセラ」さまは第二のキー・プロダクトとして、知名度や価格などを総合的に考慮して「クロス」のボールペンを選定しました。そして「CROSSの選び方」といったコンテンツページを作成してSEO効果を高め、オーガニックチャネルの強化に取り組みました。
その結果、1年後の2021年3月における「クロスのボールペン」の売上高構成比率は15.01%へと拡大。目標としていた25%には届かなかったものの、「パーカーのボールペン」の売上高構成比率を70%以下におさめることができました。
また、オーガニックチャネルの売上高構成比率は35.63%に拡大し、ペイドサーチ(広告チャネル)の売上高構成比率は47.24%に低下。商品軸とチャネル軸の売上高構成比率が適正化された結果、自社ECサイトの成長が加速し、月商600万円の壁を突破しました。
KPIの設定方法
水上さんはネットショップにおけるKPIの設定方法も解説しました。ネットショップ売上の公式(セッション数×転換率×客単価)を応用し、「広告チャネル」「オーガニックチャネル」「顧客リストチャネル」のチャネル別にKPIを設定する方法です。
- 自社ECサイトの目標売上高(月商)を設定
- 「広告チャネル」「オーガニックチャネル」「顧客リストチャネル」それぞれの目標売上比率を設定し、チャネルごとの目標売上高を算出する
- 所定の計算式(目標売上高➗客単価➗転換率)でチャネルごとの「目標セッション数」を算出する
- チャネルごとの「目標セッション数」と「現状セッション数」との差である「差異セッション数」を算出する
- 「差異セッション数」を埋めるためのアクションプランを検討する
チャネルごとの差異セッション数を算出することで、それを満たすためのアクションプランや施策を、具体的に検討することが可能になります(水上さん)
チャネルごとのアクションプランを作る方法
チャネルごとの「差異セッション数」を埋めるためのアクションプランを作る方法について水上さんは、一例として次のような手法を紹介しました。
広告チャネル:「差異セッション数」に「広告のクリック単価」を掛けて必要な広告費を計算し、広告予算を投下する。
オーガニックチャネル:ターゲットキーワードの検索ボリュームをGoogleのキーワードプランナーやサーチコンソールなどで調査し、キーワードごとの目標CTRや目標クリック数を定めてSEO戦略を立てる。
顧客リストチャネル:「顧客リスト数➗セッション数」で計算した係数(1セッションを獲得するために必要な顧客数)を「差異セッション数」に掛けて、追加で増やす必要がある顧客リストの人数を計算する。

チャネルごとの「差異セッション数」を埋める方法を解説した
セミナーは2時間30分以上、アンケートも好評
今回のオンラインセミナーは2時間30分以上にわたる非常に内容の濃いものでした。本稿で紹介したフレームワークや事例のほかにも、アパレル・防犯カメラ・カーパーツなどさまざまなカテゴリの店舗さまの取り組みを紹介しました。セミナー中に参加者の方々からチャットで質問が寄せられ、その質問に水上さんが即座に回答するなど、オンラインセミナーならではのやり取りも印象的でした。
受講者アンケートでも大変ご好評をいただきました。その一部を抜粋して紹介します。
具体的な成功事例が多く紹介されていて、モチベーションが上がりました
実際に売上高が上がった企業さまの取り組みについて、ビフォーアフターで比較しながらお話を聞けたので、とても分かりやすく、理解が深まりました
自社ECサイトは「なんでも屋」では売れないという意見は、目からうろこでした
押さえておくべきKPI項目などがわかってスッキリしました
グループコンサルティング「EC実践会」紹介
最後に、水上さんが講師を務めているグループコンサルティング「EC実践会」を紹介します。
「EC実践会」はEC運営に関する知識や、EC担当者に必要なスキルを6ヶ月間で習得する実践型のコンサルティングサービスです。
ワークショップを取り入れた講義を月1回実施するほか、講師による日報へのフィードバック、個別コンサルティング、受講者同士の交流会なども行っています。毎回10社限定で、1社4名まで同一料金で受講することが可能です。東京会場・大阪会場の2会場(オンライン参加可)で開催しています。
【グループコンサルティング「EC実践会」の主な内容】
- 講義&ワークショップ(毎月1回 約4時間)※オンライン参加や録画視聴も可能
- メール日報/個別相談&アドバイス(毎日)
- 個別コンサルティング(6ヶ月中に1回 約1時間)
- 懇親会

「EC実践会」で実施しているカリキュラムの例
今回のオンラインセミナーで解説したフレームワークは「EC実践会」のごく一部であり、他にもECの現場で使えるハウツーやワイヤーフレームを多数提供しています。EC未経験者の人材育成や、経験者のさらなるスキルアップなど、幅広くご活用いただくことが可能です。
詳しい内容は「グループコンサルティング EC実践会」のページをご覧ください。
受講者さまのインタビューも掲載しています。「EC実践会」で学んだことや、受講を通じて得られた成果、受講者同士の交流によるモチベーションアップまで、率直な感想を語っていただきました。ぜひこちらもご一読ください。