ECリニューアルで失敗しないために。無料ECシステムが業務破綻を招いた理由とは?

サイトリニューアルについて第一弾

✓ 先行運営されているECオーナーは、どのような過程を経てECサイトを立ち上げたのか?
✓ 運営開始にあたって、どんなことでつまずいたのか?

ライター業を営む傍ら、自身でECの運営代行やwebサイトのディレクションも行う筆者。
このシリーズは、そんな筆者が、実際業務にかかわったECサイトの構築過程や、課題・売上目標を達成していく様を赤裸々にご紹介する体験談を綴ります。

しばやん

今回の記事では、サイトのリニューアルにまつわるエピソードをお話したいと思います。
なおこのエピソードは、かなりボリュームがあるため、3回に分けてお伝えしますね。

▼前回のお話はこちら

奮闘記エピソード7 物流

EC物流ECクレームTOP3!なぜ売上アップ後にブラック企業化したのか?

2020-05-28

スマホ対応ができない?!無料のECカートで想定外の後悔…

スマホとECは切っても切れない!

もはやあたりまえになりつつある「スマホ」。
Marketing research campの調査によると、2019年2月時点でのスマホ利用率は85%超、という結果が出ています。
そういえば、ガラケーを目にしなくなって久しい…。

しばやん
サイト訪問者の大半がスマホであるならば、ユーザーファーストの観点から、サイトのデザインや使い勝手もスマホで使いやすいものにしなければなりません

Googleは2018年3月27日から、モバイルファーストインデックスを本格導入

これはサイトを構成するコンテンツの評価対象を、従来のPCではなくモバイルにするというものです。
モバイルファーストは、当然ながらECサイトにも適用されます。

そこで我々もスマホ対応を進めようとしましたが、無料だからと選んだオープンソースのECカートが、まだスマホに対応しておらず、対応できないことが判明。

そのシステムがスマホに対応したのは、残念ながら我々が採用した次のバージョンから。

結局、システムを載せ換える作業とコストがかかることになり、オープンソースは無料で利用できる反面、リスクがあること身を持って知らされました。

無料で使えるオープンソースには責任者が存在しない

ここでオープンソースについて、簡単なご説明をしたいと思います。

オープンソースというのは、無料で使えるシステムで、有志による外部技術者によって開発が進められています。

しばやん
無償(原則0円)というのは非常に魅力的なのですが、いいかえれば発売元や責任者が存在しないということ。

利用者サイドにプログラミングの知識がない限り、不具合や使い勝手の向上を望めない訳ですね。

したがって、スマホ対応を望んでも、だれかが開発を進めてくれないと問題は解決しないのです。

例え開発が進んで新しいバージョンがリリースされたとしても、新バージョンを自サイトに適用するための、確認と開発が必要になってしまいます。
まさにこの記事でご紹介している木材通販サイトが、この状態にあたります。

このようにオープンソースを使用してECサイトを構築した場合、
時代の変化に追いついていくには、「最新情報のキャッチアップ」と、「新しい時流に対応するための開発」に時間とコストが掛かり続けるという面もあります。

このあと、我々はECサイトをリニューアルさせることになるのですが、その大きな要因が「スマホ対応でない」ということでした。

強みである細かなサービスをサイトに反映できず業務破綻

手も足も出ない状況が…

ECではお客さまの要望や動向に目を配り、サービスや対応を恒久的に変化させていく必要がありますが、ここでもオープンソースの融通のなさが問題となります。

この記事でご紹介している木材通販サイトの例でいえば、木材をどれぐらいの長さでカットするのか?どの程度切削するのか?など、
具体的な加工のオーダーに対してオープンソースのシステムでは対応できないという事態が発生していました。

オーダーが1日2~3件であれば、そこまで問題にならないのですが、数が多くなるとそうはいきません。
しかもお客さまのご要望は、抽象的・主観的なものも多く、カートのコメント欄に書かれている内容だけでは意図を汲みとれないこともしばしば。

木材通販サイトのオーナーは、このような問題に対して逐一電話やメールで対応していたのですが、この作業が想像以上に大変で、かなりの時間を割いていらっしゃいました。

我々サポートチームも何か対策はないかと、様々なプラグイン(オープンソースで構築したECサイトの機能を拡張するソフトウェア)を探してみたのですが、どれも中途半端なものばかり
根本的な解決策をご提案することはできませんでした。

業務過多でサイト運営業務がパンク

問題を抱えたECサイトは、運営者やサポートチームに少なからずストレスを与えます。

なにせオーダーが入れば入るほど、お客さまとのやり取りは煩雑になり、その解決策はないわけですから。

また売り上げが増えてくると、サイトが運営会社の在庫管理や経理システムと連動していないことが大きな問題になってきました。

売上が伸びてきた時期は、通常業務が終わったあとに行う経理と在庫システムへの処理が、連日深夜にまで及んでいたのです。

このような問題を抱えつつ、なんとか耐えていた運営メンバーでしたが、月間の売り上げが600万円を超えたあたりで運営業務がパンク

担当者だけでは処理しきれない業務量となってしまったため、社員総出で対応にあたり急場を凌ぐことになりました。

費用面がネックになったとはいえ遅すぎた決断

業務がてんてこ舞いに!!

ここに至り我々は、運営サイドからサイトの抜本的な見直しを早急に求められることになります。

実のところ、運営サイド・サポート側双方ともに、サイト立ち上げ時の初期投資を回収できていない状態での大幅な改修や対策には、躊躇がありました。
ただここまで業務負荷が大きい状況となってしまうと、さすがに対応しないわけにはいきません。

「オープンソースのEC構築パッケージは無料で使えるので、初期投資を少なくできる

という考えからオープンソースを選択した訳ですが、この仕組みがここまで融通が利かないとは…。

ECサイトを立ち上げた時点では、木材加工などキメ細かなサービスを展開することは想定になかったことですが、「無料だから」という理由でオープンソースを選択した結果、柔軟な改修ができず業務がパンクするほどの状況になってしまったことは、自身を含め提案側の認識が甘かったと反省しきりです。

「既製の流通品」を販売するだけのECサイトであれば、複雑な機能も必要ないため、このような問題にはならなかったと思いますが、

ただし、既製品(型番商品)を販売するショップは強豪との価格競争に陥るケースが多く、最終的にはより大きな資本を持ったメジャーどころに駆逐されてしまう可能性が高い

今回の木材DIY商材の場合は、細かな加工対応ができるサービスが喜ばれており、そこが競合との差別化ポイントでした。

しかし、売上が上がるにつれ業務がパンク寸前…。

業務負荷の軽減には、対応業務を反映したECサイトにアップデートさせる必要があり、オープンソースの仕組みでは改修に掛かる時間とコストを考えると、限界が見えてきてしまいました。

出した決断は…「サイトのリニューアル」

ご紹介しているサイトは、顧客ニーズに合わせることを地道に積み重ねることで成長してきました。
今後も、サービスは流動的に変化させていかねばなりません。

同時に冒頭でお話したモバイルファーストインデックスのエピソードのように、EC業界の潮流にも柔軟に対応する必要があります。

しばやん
以上のことを踏まえ、我々サポートチームはオープンソース型のECサイトに見切りをつけ、サイトをリニューアルさせることを決断しました!

どのECサイトの形式を選んだのか?

こちらの記事にも説明がありますが、
自社ECサイトは大きく分けて

  1. フルスクラッチ型(自社開発)
  2. パッケージ
  3. オープンソース
  4. ASP型・SaaS

の4種類に分類されます。

Eコマースのカート機能とは?3種類のカート比較・モールと自社ECの違い

2019-03-20

各サイトの特徴については、先ほどのページをご覧いただくとして、我々サポートチームにはECサイトを一から構築できるスタッフとノウハウもあったため、フルスクラッチを選択することにしました。

後日談

フルスクラッチで開発をすると決めた当時は、「ASP・SaaS型のカートはカスタマイズができず、融通が利かない」という先入観がありました。

それもありSaaSモデルは選択肢に入れていなかったのですが、その後futureshopのカートは
デザイン面のカスタマイズが自由に作り込めて、細かいサービスを実現することもでき、時流に対応した機能や連携サービスが次々とリリースされていくので、先入観で選択肢から外していたことを後悔しました。

あれだけ膨大なコストと時間を掛けて、フルスクラッチで自社開発のECシステムを作らなくても、すでに数々の機能が作り込まれたECシステムが、世の中に存在していたじゃないか、と…。

とかくオリジナリティがもとめられがちな経理システムや基幹システムとの連携も、「通販する蔵」等の連携システムをカスタマイズすれば、柔軟にECサイトとの連携ができることも判明。

今であれば、時流に対応できて基幹システムとも連携できるSaaS型のfutureshopさんで構築することを選択すると思いますが、当時はとにかく必死。

コストと手間を多少かけても、完全に業務を反映したシステムを作って、一刻も早く業務負荷を軽減しなくては!
と躍起になっていたので、数々のECカートシステムをじっくりと比較検討しているような余裕は、とてもじゃないですがありませんでした(汗)

まとめ

何事も長期視点で見極める
サイトのリニューアルは、比較的リーズナブルといわれるオープンソースでも改修費用が100万円近くすることが珍しくありません。

確かにサイトには寿命があり、リニューアルも考慮しながら運営する必要があります。
ただできれば、このような出費は避けたいもの。

ECサイトを長期的視点で運用していくのであれば、常に時代の変化やユーザーの変化に対応した「アップデート」を想定しておかねばなりません。
そして、そのアップデートにかかる「開発コストと労力と時間」が掛かり続けることも意識しておく必要があります。

売上規模が小さい段階では問題ではなかったことも、売上規模が大きくなっていくにつれて課題として噴出することもあります。

ASP・SaaS型であれば、時流に合わせてバージョンアップされていき、必要に応じて機能追加をすることもできるので、売上規模に応じてECサイトを拡張させていくことができます。

futureshopはSaaS型EC構築プラットフォームですので、時勢に合わせた機能が自社開発なしで追加できます。

先の読めないEC業界でもありますので、様々な「攻め方」ができるであろうプラットフォームを選ぶことが大切になりますね。

今回の木材DIYのクライアントのように売上アップの後に業務負荷が増えてパンクしてしまったり、スマホ対応のような時代の変化に合わせた急ぎの改修が必要になるケースもあります。

しばやん

事業ステージの変化に対応できるかどうかを視野に入れて、ECシステムの選定をすることをお勧めします。

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次回のおはなし

お客様の緻密なご要望にお応えしなければならない木材カットオーダー、自社の在庫や経
理システムとの連携。この問題を解決するために、「フルスクラッチ」でサイトを再構築するという提案をした我々サポートチーム。

しばやん
フルスクラッチには予算・仕様・構築という課題が付きまといます。増える仕様と膨らむ予算。そもそも、大切な顧客情報をしっかり管理できるのか?

このような要因もあって構築開始にはなかなか至りません。
そこである提案をクライアントに出すことに…。

次回、Episode 9 『 予算オーバーの費用とリスク。ECカートの自社開発という暴挙の末路とは? (サイトリニューアルについてVol2) 』 に続く…!

フルスクラッチで本当にいいの?

予算オーバーの費用とリスク。ECカートの自社開発という暴挙の末路とは?

2020-07-22

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