EC業界に影響しそうな2020年の「10大イベント」予報!

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東京オリンピックの開催や次世代通信規格「5G」の商用化など、多くのイベントやトピックスが予定されている2020年。

EC事業者にとってどのような1年になるのか、主な出来事をピックアップしてEC業界への影響を予想します!

【1月〜】公平な商取引へ、プラットフォーム規制の新法を政府が検討

画像:デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案のイメージ

ECモールやフリマアプリ、アプリストアなど、デジタル・プラットフォーマーの取引を透明化するための新しい法案デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案(仮称)」を政府が検討しています。
2020年の通常国会(会期は1~6月予定)に提出する方針です。

新法の目的は、ECモールやアプリストアなどのプラットフォーマーと、出店者や出品者の取引条件を明確にすること。一般的に立場が弱くなりやすい出店者や出品者が、プラットフォーマーから不利な条件で契約させられることなどを避けるためのルールを整備するとしています。

法案の具体的な内容はまだ明らかになっていませんが、例えば、ECモール側が出店を拒否したり、退店させたりする際の基準を明確にすることや、モール内検索エンジンの表示順位の基準を明示するといったルールが導入される可能性があります。

ECモールに出店している企業にとって大きな影響が予想されますので、法案の内容や、法案が成立するか否かを注視しておくことが必要でしょう。

【2月】SSL非対応の画像など「混合コンテンツ」をChromeがブロック

画像:ミックスドコンテンツについての記事

Googleが提供しているブラウザ「Chrome」では、2020年2月から「混合コンテンツ(ミックスドコンテンツ/Mixed Content)」が表示されなくなります。

「混合コンテンツ」とは、データを暗号化した「https」のページの中にある、暗号化されていない「http」のコンテンツ(画像や動画、音声など)のこと。

ECサイトのページ自体はhttpsに対応(SSL化)していたとしても、ページの中にある画像や動画がhttpのままだと、「混合コンテンツ」はユーザーのパソコンやスマホに画像は表示されません。

サイト内の画像が表示されなければ、ユーザーはECサイトから離脱しやすくなるでしょう。その企業に対するブランドイメージが低下するかもしれません。
場合によっては、検索エンジンの表示順位が下がる可能性もあると言われています。

Googleは「混合コンテンツ」の表示条件を段階的に厳しくしてきました。
そして、2020年2月にリリースされる「Chrome80」は、デフォルトで「混合コンテンツ」を表示しません。

「Chrome」のシェアはデスクトップPCでは6割以上、モバイルやタブレット端末でも3割前後と言われており、「混合コンテンツ」の非表示化は多くのユーザーに影響します。
2020年2月までに必ず「混合コンテンツ」をなくしましょう。

「混合コンテンツ」に関する詳しい内容や、対応方法についてはこちらの記事で解説しています。

混合コンテンツ

デッドラインは2020年2月!Chromeが混合コンテンツをブロック。サイトへの影響とその対策を解説

2019-11-26

さらにプライバシー保護やセキュリティ強化を目的に、Cookieの動作が一部変更されます。
そこで登場するのが、SameSite(セイムサイト)属性

Chrome80の登場によってより重要な役割を果たすようになったSameSite属性について、
EC事業者様にも関係ある事項ですのでこちらの記事でご確認ください。

カートに入れたはずの商品がない? ログインが何回も求められる? Chrome 80の仕様変更とその影響・対策

EC事業者にも関係するSameSite属性!カートに入れたはずの商品がない? ログインが何回も求められる? Chrome 80の仕様変更とその影響・対策(2020年2月3日追記)

2020-01-24

【3月】楽天市場は購入額3980円以上で送料無料に

画像:配送問題
楽天市場に新たな送料のルールが導入される見通しです。

2020年3月から、クール便や大型配送荷物など一部商品を除き、1回の購入金額が3980円以上の場合は全店舗共通で送料無料になる予定です。

全店舗共通の送料無料ラインを設ける理由について楽天は、ユーザーにとって送料の基準が分かりやすくなり、購買促進効果が期待できると説明しています。

一方、出店者の中には送料をエンドユーザーに転化しにくく、利益が減るとして、反発の声も上がっているようです。

送料無料ラインが導入されれば、客単価や粗利益率などに影響が出ることも予想されます。ECモールでの販売戦略を見直す動きも出てきそうです。

【春頃】次世代通信規格「5G」の商用化がスタート

画像:「5G」の幕開けイメージ

携帯電話キャリア大手のNTTドコモやKDDI、ソフトバンクなどは、次世代通信規格「5G」を2020年春に商用化する予定です。

「5G」の通信速度は現在の通信規格である「4G」の約100倍とも言われており、これまでとは比べ物にならないほど大容量のデータ通信も可能になると期待されています。

「5G」が商用化されると、どのようなサービスが登場するのでしょうか?

NTTドコモが開設した「5G」の専用サイトによると、大容量のデータ通信が必要なオンラインゲームや、VR(バーチャルリアリティ)のストリーミング動画などを快適に利用できるようになるとのこと。また、デジタル家電や白物家電がインターネットにつながった「IoT」を搭載したスマートホームなども実現するようです。

「5G」が商用化されることで、ECにどのような影響があるのかは、まだ未知数の部分も多いですが、動画コマースライブコマースがさらに活発化したり、VRやAR(拡張現実)を活用した新しい買い物体験が実現したりするかもしれません。

すでに中国では、2019年11月から主要都市の一部で「5G」が商用化されているようです。
消費者の購買行動を劇的に変える可能性を秘めた「5G」がどのように使われていくのか、海外の動向にも注視しながら、最新のツールなどにキャッチアップしておきたいところです。

【4月】中小企業にも時間外労働の上限規制が適用、原則月45時間まで

画像:1日8時間・週40時間イメージ

長時間労働の是正などを盛り込んだ「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方関連法)」における時間外労働の上限規制が、2020年4月から中小企業にも適用されます。

法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える時間外労働の上限は、原則として月45時間、年間360時間です。

突発的なトラブルが発生したときなど、特別な事情がある場合(例外)でも、1カ月あたり100時間未満、複数月の平均で80時間未満、年間720時間未満に制限されます。また、残業時間が月45時間を超えて良いのは年6カ月までです。
時間外労働の上限規制は、大企業には2019年4月から適用されています。中小企業は1年間の猶予期間が設けられていました。

時間外労働の上限規制に違反した場合、6カ月以内の懲役、または、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

もし、セール期間中などに長時間残業が常態化しているようであれば、法律に違反していないかチェックしてください。
時間外労働が上限を超えてしまうようであれば、3月までに働き方を見直しましょう。

【注目トピックス】Yahoo!×ZOZO×LINE連合が始動

画像:ソフトバンクの動向イメージ
「Yahoo!ショッピング」や「PayPayモール」などを傘下に持つソフトバンクグループが、M&Aを通じてEC事業を拡大しています。
「ZOZOTOWN」を運営するZOZOを2019年11月に子会社化したことに続き、「LINEショッピング」や「LINE Pay」を持つLINEも傘下に収めました。

2020年は「ZOZOTOWN」と「PayPayモール」の相互送客や、月間アクティブユーザー数が8000万人を超える「LINE」を起点とした集客などに取り組むと見られており、流通額がさらに伸びる可能性があります。

国内3大モールの一角であるソフトバンクグループが今後、どのような施策を打つのか。そして、そのことがEC業界にどう影響するのか注視しておく必要がありそうです。

【6月】キャッシュレス決済のポイント還元が終了

画像:キャッシュレス還元終了のイメージ
2019年10月に消費税率が8%から10%に引き上げられたことに伴い、政府はキャッシュレス決済で買い物をした消費者に2~5%相当程度のポイントを還元する制度を導入しました。

この制度は2020年6月末に終了する予定です。

ポイント還元制度が消費増税後の景気を下支えしている側面もあり、制度終了後の反動減に注意する必要があるでしょう。
予算枠を使い切れば2020年6月末よりも早く制度が終了する可能性もありますので、その点にも注意が必要です。

NHKなどの報道によると、ポイントの還元額は12月上旬時点で1日当たり平均12億5000万円とのこと。
還元額が当初の予定を大きく上回っていることから、政府は2019年度の補正予算や2020年度予算で、総額7000億円規模まで予算枠を増額するとも報じられています。

【7~9月】東京オリンピック・パラリンピック開催、交通規制なら配送に影響も

画像:東京オリンピック2020イメージ

東京オリンピックが7月24日から8月9日まで開催されます。東京パラリンピックは8月25日から9月6日です。

開催期間中の観客とスタッフの合計人数は約1000万人と推計されており、鉄道やバスなど公共交通機関の混雑が予想されるほか、高速道路や主要道路で交通規制が行われる可能性もあります。

交通規制が実施された場合には、宅配会社の配送網が影響を受け、地域によっては配送が遅れたり、配送日指定や配送時間指定が行えなくなったりするかもしれません。委託先の物流会社や配送会社に事前に確認しておきましょう。

また、配送の混乱やトラブルを避けるため、エンドユーザーに対してECサイトで告知する準備をしておくと良いでしょう。

【9月】「マイナポイント」で最大5000円(25%)還元

画像:マイナンバーカードイメージ
政府は景気対策の一環として、「マイナンバーカード」を活用したポイント還元制度を2020年9月に実施する方針です。

「マイナンバーカード」と専用のID(マイキー)を取得した人がキャッシュレス決済で買い物やチャージを行なった場合に、25%相当(最大5000円)の「マイナポイント」を還元します。

QRコード決済サービスなどにチャージすると、25%相当の「マイナポイント」が還元されます。
「マイナポイント」は実店舗やオンラインショップでのキャッシュレス決済に使えます。

関連法案が成立する前提にはなりますが、一定の経済効果も期待できるため、実施条件などを確認しておくと良いでしょう。

【10月以降】東京オリンピック後の越境ECに期待感

画像:越境ECイメージ
東京オリンピック・パラリンピックでは多くの外国人観光客が来日します。
訪日観光客が日本の商品を体験し、それらに満足すれば、帰国後に越境ECでリピーターになってくれるかもしれません。

訪日観光客以外でも、東京オリンピック・パラリンピックをきっかけとして、海外の消費者が日本製品を知る機会が可能性もあります。

自社の商品を知ってもらい、気に入ってもらえても、海外から購入できるチャネルがなければ、リピーター獲得のチャンスを逃してしまいます。

越境ECサイトを立ち上げるのが最善ですが、それが難しければ、越境ECモールに出品したり、越境ECの代理購入サービスを活用したりすることで、海外ユーザーのニーズに対応できる体制を整えておきましょう。

futureshopでは運営中のECサイトにJavaScriptタグを1行入れるだけで越境EC対応する「WorldShopping BIZ」の導入を検討することも可能です。

まとめ

「5G」など新しい技術の普及に加え、東京オリンピック・パラリンピックによって世界中から日本に注目が集まる2020年。

時代の変化に対応していくために、今回ピックアップしたイベントやトピックスも踏まえて、プロモーションやブランディングの計画を練ってみてはいかがでしょうか。