2020年の物販EC市場は12兆円!スマホ比率やネットショッピング支出額の伸びは?【2021年版 経産省調査】

EC・ネットショップ運営お役立ち資料ダウンロード新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンラインショッピングの利用が広がった2020年。物販ECが急拡大した一方で、旅行予約やチケット販売などサービス系ECの市場は縮小するなど、EC業界も激動の1年でした。

2020年のEC市場は、どのように変化したのでしょうか?経済産業省が今年7月に公表した「電子商取引に関する市場調査」をもとに、2020年のEC市場を振り返ります。また、2021年1~6月における「futureshop」の流通額や注文件数の伸び率など、最新データも紹介していますので、EC事業の戦略作りの参考にしてください。

BtoC-EC市場は前年比0.4%減の19.2兆円

経済産業省がまとめた「電子商取引に関する市場調査」をもとに、2020年のEC市場を解説します。

国内のBtoC-EC市場は19兆2779億円で、伸長率は前年比0.4%減でした。物販ECは大幅に伸びたものの、旅行予約やチケット販売などサービス系ECの市場が縮小したため市場全体は初のマイナス成長になりました。

なお、BtoC-ECとは「物販系分野」「サービス系分野」「デジタル系分野」の3つのEC市場を合計したもの。それぞれの市場規模と伸長率は以下の通りです。

分野別EC市場規模(カッコ内は伸長率)

  • 物販系分野 12兆2333億円(前年比 21.71%)
  • サービス系分野 4兆5832億円(前年比 ▲36.05%)
  • デジタル系分野 2兆4614億円(前年比 14.90%)

国内BtoC-EC市場の年次推移。「サービス系分野」が大幅に落ち込んだため市場全体は初のマイナス成長となった。

画像出典:令和3年7月 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)報告書」P8

物販ECは前年比21%増の12.2兆円

ここからは「物販系分野」(以下、物販EC)について詳しく解説します。2020年の物販EC市場は前年比21.71%増の12兆2333億円。EC化率は8.08%で、前年よりも1.32ポイント上昇しています。

2020年と2019年の物販EC市場を比較すると、増加額は2兆1818億円でした。2016年から2018年までの3年間の増加額は2兆472億円でしたから、およそ3年分の増加額を2020年の1年間で達成したことになります。新型コロナウイルスの感染拡大によって実店舗での買い物を控え、ネットショッピングを利用した消費者が大幅に増えたことがうかがえます。

用語解説

「EC化率」・・・本調査におけるEC化率は、電話、FAX、Eメール、相対(対面)等も含めた全ての商取引金額(商取引市場規模)に対するEC市場規模の割合と定義する。 

※「令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)報告書」より

商品カテゴリ別の成長率は?

2020年の物販EC市場をカテゴリ別に見ると、すべてのカテゴリの成長率が前年比10%を上回っています。上位3カテゴリは「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(28.79%)、「書籍、映像・音楽ソフト」(24.77%)、「生活雑貨、家具、インテリア」(22.35%)となっており、自宅で過ごす時間を充実させる商品をECで購入する消費者が増えた可能性があります。

スマホがECの主役に。スマホ比率が初めて5割突破

消費者がオンラインで買い物をする際に使うデバイスは、スマートフォン(スマホ)が主役になりました。2020年におけるスマホECの市場規模は前年比46.1%増の6兆2269億円。スマホ比率は50.9%で、初めて5割を超えました。

2019年と2020年のスマホECの市場規模を比較すると、増加額は1兆9651億円です。パソコン経由を含めた物販EC全体の増加額は2兆1818億円でしたから、スマホECの増加額が全体の90.1%を占めたことになります。

こうしたデータを踏まえると、スマホECが物販EC市場をけん引していることは明らかであり、EC事業に取り組む上でスマホ最適化は必須と言えるでしょう。

futureshopはスマホ比率が64%

「futureshop」をご利用中の店舗さまの中で、2020年に年間を通じて毎月30件以上の注文があった店舗さまの2020年におけるモバイル比率は64.63%でした。店舗さまのモバイル比率が経産省の調査結果よりも高い理由は、「futureshop」はレスポンシブなどのマルチデバイス対応、クロスデバイス対応を実現するなど、モバイル最適化を重視してきたことの表れだと考えています。 

なお、商品カテゴリ別のモバイル比率は「キッズ・ベビー・マタニティ」や「レディースファッション」が80%を超えた一方、「パソコン・周辺機器」は30%を下回るなど、商品によって差があります。主要な31業種のモバイル比率をまとめたホワイトペーパーも作成していますので、より詳細なデータをご覧になりたい方はこちらから無料でダウンロードしてください。

ネットショッピング支出額も増加

1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月以降、ネットショッピングの支出額は前年を上回り続けています。総務省が毎月公表している家計消費状況調査によると、1世帯(2人以上の世帯)あたりのネットショッピング支出額は、2020年4月以降すべての月で前年を上回って推移しています。

ネットショッピングの支出額は2021年に入ってからも前年同月を上回り続けています。コロナ禍が長期化する中で、ECが生活に浸透し、買い物のチャネルの比重を実店舗からECへと移す消費者が増えているのかもしれません。

futureshopをご利用中の店舗さまの注文件数は160.54%

ECサイト構築システム「futureshop」のプラットフォーム全体の注文件数を調査したところ、やはり2020年4月以降に注文件数が急拡大した実態が明らかになりました。

次のグラフは、2019年と2020年の2年間、継続して毎月60件以上の注文があった800店舗を抽出し、月ごとの注文件数の伸び率を集計したものです。

「futureshop」をご利用中の店舗さまの「注文件数変化率」の月次推移。2020年4月以降大幅に伸びている。

2020年4月は前年同月比228.97%、5月は同221.92%と2倍以上に増えています。6月以降は伸長率がやや落ち着いて見えますが、それでも年間平均では前年比160.54%という大幅な伸び率でした。

中国・米国への越境ECも拡大

2020年は日本から中国と米国への越境ECも伸びました。中国向け越境ECの市場規模は前年比17.8%増の1兆9499億円、米国向けは前年比7.7%増の9727億円でした。

越境ECの市場規模の伸び率を2019年と比較すると、米国向けは4.1ポイント低下しているものの、中国向けは5.5ポイント上昇しました。コロナ禍でインバウンド需要がほぼ消滅している現在、特に中国の消費者への販路として、越境ECは有力な選択肢の1つになりそうです。

2021年上期のEC市場は?futureshopのデータから読み解く

ここからは、「futureshop」の店舗さまを対象とした各種調査データを踏まえ、2021年1〜6月(上半期)のトレンドを解説します。

まず、2021年1〜6月の注文件数の伸び率(月平均)は次の通りです。

市場が急拡大した2020年に比べると、 4月以降の伸長率は落ち着いている印象を受けるかもしれません。しかし、2020年4月時点で新型コロナウイルスの影響が顕在化し、EC市場が爆発的に伸びていたことを踏まえると、足元の伸び率は決して低くはなく、むしろECのニーズは高止まりしていると言えるでしょう。

注文件数をデバイス別で見ると、スマホ経由の注文が大きく伸びていることが分かります。一方、PC経由は前年同月を下回る月もあり、デバイスによって注文件数の伸びに差がります。スマホに注力することがEC事業を伸ばす鍵になるでしょう。

調査対象

  • 2020年・2021年1月~3月の期間中、各月の注文件数が100件以上の店舗の中から500店舗を無作為に抽出。
  • 2020年・2021年4月~6月の期間中、各月の注文件数が100件以上の店舗の中から500店舗を無作為に抽出。

新規顧客の利用者数も増加

「futureshop」をご利用中の店舗さまは、新規顧客の利用者数も前年を上回って推移しています。こうした数字からも、店舗さまの業績は2021年も堅調であることがうかがえます。

2021年 新規顧客利用者数の伸び率

  • 1月 178.67%
  • 2月 151.06%
  • 3月 139.84%

1〜3月平均 156.52%

  • 4月 131.60%
  • 5月 115.61%
  • 6月 121.27%

4〜5月平均 122.83%

2021年4〜6月にける商品カテゴリ別の流通額を集計したところ、日用品やギフトなどが特に伸びていました。医薬品や水など日常使いの商品をECで購入する傾向や、ギフトをECで購入する傾向は依然として続いているようです。

2021年4〜6月における商品カテゴリ別の流通額の伸び率 

調査対象

  • 2020年・2021年1月~3月の期間中、各月の注文件数が100件以上の店舗の中から500店舗を無作為に抽出。
  • 2020年・2021年4月~6月の期間中、各月の注文件数が100件以上の店舗の中から500店舗を無作為に抽出。

まとめ

今回の記事で紹介した調査データを見ると、2020年にEC市場が急拡大し、さらに2021年もEC市場が伸び続けていることを実感できたのではないでしょうか。昨年来のEC市場の拡大によって、新規顧客を例年以上に獲得できた店舗さまも多かったと思います。今後は、そのお客さまがお店のリピーターになってくださるように、お客さまと向き合い、関係を強化することが重要になるでしょう。

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