越境ECを“無理なく始めて、大きく育てる”──多言語翻訳ツールと決済・配送の代行サービスで実現する海外展開【セミナーレポート】 

越境ECセミナー2026 メインビジュアル

【この記事では、次の内容を解説します】

  • 本語のECサイトを使って越境ECを行う方法
  • 初期投資と運用負担を抑えて海外販売を行う仕組み
  • 海外からのアクセスを増やして売上につなげる施策 

SNSなどを通じて日本の情報が世界中に広がり、アニメグッズや玩具、ファッション、ゲームなど、さまざまな日本の商品が「越境EC」で海外から購入されています。また、訪日外国人旅行者数が過去最多を更新するなか、日本の魅力を知った海外の消費者に帰国後も商品を届けるチャネルとして、越境ECの重要性が高まっています。

その一方で、「販路を広げるために越境ECを始めたい。でも、初期投資や運用のハードルが高く、なかなか踏み出せない・・・」といった悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。

そこで今回、初期投資と運用負担を抑えて越境ECを行う方法を解説します。

活用するのは、多言語翻訳ツール「shutto翻訳」と海外販売代行サービス「Buyee Connect」です。

日本国内で運営しているECサイトに「shutto翻訳」のJavaScriptタグを埋め込むと、Webページを多言語で表示できるようになります。また、海外決済・国際配送・外国語での顧客対応などは「Buyee Connect」が担います。売り手であるEC事業者は、国内向けのECとほぼ同じ運用フローで海外に商品を販売することが可能です。

shutto翻訳とBuyeeConnectで実現する越境ECの仕組み

【この方法に向いている企業】

  • ローリスク・ローコストで海外販売を始めたい
  • 海外販売のテストをして反響を知りたい
  • 越境ECの販売先の国や地域を増やしたい

越境ECと聞くと、海外専用サイトを立ち上げて、現地の決済や国際配送の仕組みを導入し、外国語に対応できるカスタマーサポート人材を採用する──といった大規模なプロジェクトを思い浮かべるかもしれません。しかし、今回紹介する方法なら、大規模な投資や複雑な運用は必要ありません。

海外販売を無理なく始めて、海外からのアクセス数や注文数を確認したうえで、需要が見込める国・地域にプロモーションを展開するなど、段階的に育てていくことができます。

Buyeeのデータから見えてきた越境ECの売れ筋商品や、shutto翻訳の知見にもとづく海外からの流入を増やす施策も紹介しますので、海外展開に挑戦する第一歩として、ぜひ本稿を参考にしてください。

本稿は、2026年7月7日に開催したオンラインセミナー「『言語・決済・配送』の壁を越え、海外からの売上を上乗せできる Buyee Connectとshutto翻訳で実現する『越境EC 最短ルート』」の内容をもとに構成しています。掲載内容やサービス仕様はセミナー開催時点の情報です。
【スピーカー紹介】

e-365株式会社 カスタマーコミュニケーション部 CS課 サービスアドバイザー 藤田 加奈子(ふじた かなこ)氏

e-365株式会社

カスタマーコミュニケーション部 CS課
サービスアドバイザー

藤田 加奈子(ふじた かなこ)氏

 広告代理店で営業に従事した後、2023年に入社。ウェブサイト翻訳ツール「shutto翻訳」のサービスアドバイザーとして、導入前のご提案から導入後のサポートまで幅広く担当している。

BEENOS Solutions株式会社 Global Solutions Div 紺谷 聡太(こんたに そうた)氏

BEENOS Solutions株式会社

Global Solutions Div

紺谷 聡太(こんたに そうた)氏

越境ECの導入支援から成長戦略の立案までを牽引。世界約120カ国・地域へのネットワークと、7000社を超える支援実績で培ったノウハウを活かし、企業ごとのニーズや海外展開の段階に合わせた戦略を企画している。

なぜ今、越境ECに注目が集まるのか?

セミナーの冒頭、藤田さんは越境ECに注目が集まっている理由として、「インバウンド消費の拡大を背景に、越境ECのチャンスが広がっている」ことを挙げました。

2025年の訪日外国人旅行客数は4268万人で、過去最多を更新しました。また、同年の訪日外国人旅行消費額のうち、買物代は27.0%を占めています。藤田さんはこれらのデータなどを紹介したうえで、「日本の魅力を知った旅行者が、帰国後も商品を購入できるチャネルとして、越境ECサイトが必要」と指摘しました。

訪日外国人の年次推移のグラフ 

訪日外国人旅行者の項目別の消費額 

越境ECはグローバル規模で年々拡大

越境ECに注目が集まっている理由の2つ目は、越境EC市場そのものが右肩上がりで成長していることです。

紺谷さんは、Precedence Researchの推計をもとに、世界の越境EC市場規模が2025年の約5512億ドルから、2034年には約2兆70億ドル(約321兆円、1ドル=160円で換算)へ拡大する見通しを紹介しました。約3.6倍の成長が予想されており、「今後も市場の拡大が見込まれる」と将来性を説明しました。

出典:Cross Border E-commerce Market Size, Share and Trends 2025 to 2034

世界の越境EC市場規模の年次推移のグラフ

なお、経済産業省の調査によると、2024年に中国の消費者が日本の事業者から越境ECで購入した金額は、前年比8.5%増の2兆6372億円でした。米国の消費者による日本事業者からの購入額も、同8.0%増の1兆5978億円に拡大しています。

出典:令和6年度 電子商取引に関する市場調査 報告書,経済産業省,2025年8月

 

shutto翻訳とBuyee Connectで越境ECを始める方法

ここからは、自社ECサイトにshutto翻訳とBuyee Connectを導入し、越境ECを始める方法を解説します。2つのサービスを活用すると、越境ECで大きな課題となる「3つの壁」を乗り越えることができます。

【越境ECの“3つの壁”をクリア】

  • 読めない:商品やサービスの詳細を理解できない(言語の壁)
  • 買えない:希望する決済手段が使えない(決済の壁)
  • 届かない:配送先に海外の住所を指定できない(配送の壁)

まずは、shutto翻訳で日本語のECサイトを多言語化する方法について解説します。

 

shutto翻訳で日本語のECサイトを多言語化

「shutto翻訳」は、ウェブサイトを多言語で表示できるようにするサービスです。JavaScriptタグをWebページに挿入すると、言語の選択機能が表示され、ユーザーが選んだ言語でWebページを閲覧できるようになります。shutto翻訳の実装イメージ

翻訳方法は、①自動翻訳、②生成AIによる翻訳、③セルフ翻訳、④プロによる翻訳の4種類です。複数の方法を組み合わせることもできます。例えば、自動翻訳を基本とし、キャッチコピーなど細かなニュアンスが重要な箇所はセルフ翻訳で調整するといった運用です。

藤田さんは、「4つの方法を必要に応じて組み合わせることで、翻訳の精度とコストのバランスを取れる」と説明しました。

shutto翻訳のサービス概要 

初期費用・運用コストを最大90%削減

「shutto翻訳」は、①会員登録(アカウント作成)する、②翻訳するページのURLを登録する、③JavaScriptタグを設置する、という3ステップで導入できます。

藤田さんは、同社の試算として、「初期費用や運用コストは、越境EC向けの多言語サイトを新たに構築する場合と比べて最大90%削減できる」とコスト面のメリットを強調しました。

shutto翻訳のコスト削減効果

ECサイトの多言語対応が重要な理由

ECサイトの多言語対応が重要な理由について、藤田さんは、「翻訳にはユーザーの興味・関心を高め、比較・検討を後押しし、商品の魅力が伝わる環境を整える役割がある」と説明しました。

shutto翻訳の役割 

また、ECサイトの多言語化によって「購入率が高まりやすい」ことも強調しました。

言語を切り替えられるだけでも、「このショップは自分たちにも販売する準備がある」と感じてもらえる効果があります(藤田さん)

多言語化を行ったことで成果が出た例として、shutto翻訳を3カ月間運用したアパレルECサイトの事例も紹介されました。英語と中国語(簡体字・繁体字)に対応した結果、サイト全体の売上は約1.5倍、英語ユーザーの売上は約2倍、中国語ユーザーの購入商品数は約1.5倍になったそうです。

多言語化に対応したことで、単価の高い商品の購入や、複数商品の併せ買いを後押しした可能性があります(藤田さん)

ECサイトを多言語化する3つのポイント

日本語のECサイトを多言語化する際のポイントとして、藤田さんは主に次の3点を挙げました。

  1. 翻訳するページや言語の優先順位を決める
  2. 機械翻訳と人間の翻訳を使い分ける
  3. コンテンツの調整と海外SEOに取り組む

1.翻訳するページや言語の優先順位を決める

GA4などで国・地域別のアクセスデータを確認し、海外からのアクセスが多いページや、流入が多い国を特定して翻訳の優先順位を決めます。「すでに注文や問い合わせがある国」「商材との相性が良い地域」といった基準で優先順位を付けるのも効果的です。

ウェブサイトで利用が多い言語トップ5 

2.機械翻訳と人間の翻訳を使い分ける

機械翻訳と人間による翻訳は、ページの役割に応じて使い分けます。更新頻度が高く、スピーディーに情報を伝えることが中心のページには機械翻訳を使い、感情や細かなニュアンスが重要な商品説明などは、機械翻訳の結果を人間が調整するといった方法です。藤田さんは、それぞれのメリット・デメリットを次のように整理しました。

機械翻訳と人間による翻訳のメリット・デメリット 

3.コンテンツの調整と海外SEOに取り組む

翻訳した内容を、現地の消費者に伝わりやすい表現へ調整することを「ローカライズ」と呼びます。文化や生活習慣、消費に対する価値観なども考慮して翻訳することが大切です。例えば、キャッチコピーや商品名は、直訳すると海外ユーザーに意味が伝わりにくい場合があります。現地のユーザーが理解しやすい表現に直したり、ブランド名や商品名はあえて翻訳せず、そのままアルファベット表記にしたりする調整が必要です。

また、日本の文化や伝統など、日本人にとっては説明が不要な情報でも、海外ユーザーにとっては新鮮に映り、商品の価値を判断する材料になることがあります。「何の商品か」だけでなく、文化や伝統を踏まえて「なぜ価値があるのか」まで補足すると、商品の魅力が伝わりやすくなります。

越境EC売上を伸ばすためのローカライズ方法 

海外から新たな流入を獲得するには、翻訳ページを検索エンジンに正しく認識してもらい、各言語の検索結果に表示させる海外SEOも重要です。shutto翻訳の「海外検索エンジン対応機能」を利用すると、翻訳した各言語のページを生成します。翻訳後のタイトルや説明文も編集できるため、現地で検索されるキーワードを盛り込むといったSEO施策にも取り組めます。

多言語SEOの始め方 

 

Buyee Connectで海外決済・国際配送・外国語での顧客対応を実現

次に、Buyee Connectを活用し、海外決済・国際配送・外国語での顧客対応など、越境ECに必要な業務を実現する方法を解説します。

「Buyee」は、海外対応していないECサイトで海外ユーザーが商品を買えるようにするための、海外購入サポートサービスです。海外ユーザーに代わって日本のECサイトで商品を購入し、海外へ発送します。

今回紹介する「Buyee Connect」は、EC事業者がBuyeeの機能を自社ECサイトに導入するためのサービスです。

EC事業者は、Buyee ConnectのJavaScriptタグを自社ECサイトに設置します。注文が入ったら、国内の指定住所であるBuyeeの倉庫へ商品を発送すれば対応は完了です。国内向けのECの運用フローを大きく変えずに、海外へ販路を広げられます。

Buyeeのサービスの仕組み

海外ユーザーがBuyeeで購入する手順

海外ユーザーが買い物をする際の流れを解説します。

海外IPアドレスからECサイトにアクセスすると、海外販売用の案内が表示されます。表示言語は、日本語、英語、繁体字、簡体字、韓国語、インドネシア語、マレー語、タイ語、ベトナム語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語、ドイツ語、イタリア語、ポーランド語、トルコ語、アラビア語、ロシア語です。

Buyeeの海外販売用の案内

海外ユーザーが商品をカートに入れ、ECサイトのカート画面へ進むと、海外注文用カートが表示されます。

Buyeeの海外注文用カート 

海外注文用カートで「注文手続きに進む」ボタンを押すと、Buyeeのサイトへ移動し、購入手続きを完了します。

Buyeeの海外注文用カート

海外ユーザーの購入依頼と決済が完了すると、Buyeeが海外ユーザーに代わってECサイトで商品を購入します。EC事業者は、商品をBuyeeの国内倉庫へ発送すれば対応完了です。

Buyeeの倉庫から海外ユーザーへの発送や、海外ユーザーからの問い合わせ対応などはBuyeeが行います。

購入サポート手数料や配送料などは海外ユーザーが支払う

購入サポート手数料(一律500円)や国内配送料、国際配送料、任意の補償サービス料金などは海外ユーザーが支払います。EC事業者はこれらの費用負担がありません(※ダッシュボードなど一部の追加機能は有料)。

世界約120カ国・地域に配送可能

Buyeeは世界約120の国・地域への配送に対応しています。海外ユーザーはEMS(国際スピード郵便)や船便、航空便など、最大12種類の配送方法から選択できます。複数の荷物の同梱や、一部地域ではコンビニ受け取りにも対応しています。紺谷さんは「受け取りの利便性を高め、海外からでも買いやすい環境を整えている」と説明しました。

カスタマーサポートは18言語で、メール・電話・チャットに対応しています。検品や補償サービスも提供しています。

海外からのアクセスを購入につなげる施策

Buyee Connectを活用して越境ECに取り組む際、海外からのアクセスを購入につなげる施策として、紺谷さんは「購入前の不安を取り除く」「コストの負担感を下げる」という2つのポイントを紹介しました。

購入前の不安を取り除く

1つ目は、購入前の不安を減らし、安心感を伝えることです。「どのような手順で買うのか」「手数料を含む総額はいくらか」「本当に自分の国へ商品が届くのか」といった不安を取り除くことが重要です。具体的には、商品ページや海外向け案内ページに、Buyeeを利用して海外配送に対応していること、注文から商品到着までの流れ、問い合わせ先などを明記します。

海外販売用カートを表示するだけでなく、「このショップなら、安心して買える」と感じてもらうことがポイントです(紺谷さん)

クーポンでコストの負担感を下げる

海外ユーザーは、商品代金のほかに購入サポート手数料や国内・国際配送料などを負担します。その負担感を軽減する施策として、紺谷さんは「Buyeeの機能でクーポンを発行することも効果的」と説明しました。セミナーでは、クーポン施策によって売上や注文件数が大きく伸びた事例も紹介されました。

Buyeeのクーポン機能

アクセスデータなどから有望な国・地域を把握する

紺谷さんはセミナーの最後に、Buyeeのデータにもとづき、越境ECの人気カテゴリを紹介しました。

Buyeeを通じて2025年に購入された商品カテゴリーでは、1位がトレーディングカード、2位がおもちゃ・ホビー・グッズ、3位がアニメ・コミックグッズでした。ファッションも4位に入っており、有力なカテゴリーの1つです。

Buyeeを通じて2025年に購入された商品カテゴリー

地域別に見ると、トレーディングカードは北米、欧州、東南アジア、南米で1位となり、おもちゃ・ホビー・グッズは東アジアと中東で1位でした。紺谷さんは、地域によって人気カテゴリーのトレンドの傾向が異なることも説明しました。

Buyeeを通じて2025年に購入されたエリア別人気カテゴリ

 

まとめ:スモールスタートでニーズを掴み、段階的に海外展開を拡大

今回紹介した2つのサービスを活用すれば、海外専用サイトを新たに構築したり、自社で海外決済や国際配送、外国語での顧客対応の体制を整えたりすることなく、越境ECを始められます。

まずは無理なく始めて、アクセス状況や需要を確認したうえで、売上が見込める国・地域にプロモーション投資を行えば、リスクを抑えながら段階的に海外展開を拡大できます。

ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」はshutto翻訳やBuyee Connectと連携しています。futureshopをご利用中の店舗さまは、これらのサービスを活用し、まずは海外からの需要を確かめてみてはいかがでしょうか。