メルマガ売上10倍の成功事例!食品ECサイト「秋田屋」が実践するCRM【セミナーレポート】

秋田屋さまセミナーレポートメイン画像「ECの販促にメルマガは、もう古い」

SNSやチャット、動画、ライブなど、お客さまとのコミュニケーション手段が多様化した現在、こうした意見を耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、お客さまのニーズに合ったコンテンツを、適切なタイミングで届ければ、メルマガは今でも高い効果を発揮します。

今回紹介するのは、メルマガ経由の売上高を4年で10倍以上に伸ばした株式会社秋田屋本店さまの成功事例です。

お客さまからの反響が大きかったコンテンツや、多くのリピート注文につながったシナリオメールなど、効果が高かったメルマガのノウハウをお伝えします。メールマーケティングを強化したい方や、リピート購入につながるメルマガのコツを知りたい方は、ぜひご一読ください。

この記事は2025年4月15日に開始したオンラインセミナー「CRM活用でメルマガ売上10倍以上!秋田屋本店が実践するリピーター戦略」をもとに構成しています。

【スピーカー】

秋田屋本店 丸山さま

株式会社秋田屋本店

マーケティング部 部長

丸山 浩司 氏

大手菓子メーカーにてマーケティング職に約12年間従事し、多数の商品開発・プロモーションを実施した後、岐阜県の老舗養蜂問屋「秋田屋本店」のマーケティング部立ち上げに参画。大手NBメーカーならではの強みと地方中小企業ならではの強みを掛け合わせることで、ECの売上を6年で20倍に拡大。

【スピーカー】

イー・エジェンシー 池内さま

株式会社イー・エージェンシー

クラウド事業本部 カスタマーコミュニケーション部 CS課

池内 百音氏

※自社ECサイト「秋田屋」のCRM施策を支援中

2018年入社。自社開発提供を行う現部門にて、手軽に始められるCRM/MAツール「DATA CAST(データキャスト)」をはじめとする複数製品のサービスアドバイザーを担当。F2転換や顧客育成のためのシナリオ作成、コンテンツ相談など、お客さまの課題に寄り添ったセールス~サクセス領域までを一気通貫で支援。

 

はちみつ食品のネットショップ「秋田屋」がD2Cで急成長

株式会社秋田屋本店さまは、近代養蜂発祥の地とされる岐阜県で1804年に創業した、老舗の養蜂業者です。養蜂事業、蜂産品の製造販売、OEMなどを手がけるなか、「美味しいはちみつを使ったオリジナル商品を、お客さまに直接届けたい」(丸山さん)という思いから2016年にECを開始しました。

【株式会社秋田屋本店の会社概要】

  • 創業:1804年(岐阜県)
  • 事業:蜂産品の製造販売(業務用)/養蜂事業/OEM事業/通販事業
  • 売上高:89億円(2024年)
  • 従業員数:210人 

自社ECサイト「秋田屋」では、不動の人気商品であるトースト専用はちみつバター「雪白」をはじめ、レモネード、フィナンシェ、チーズケーキ、バームクーヘンなど、はちみつを使ったオリジナルアイテムを販売しています。

「秋田屋」の商品ラインナップ

自社ECサイト「秋田屋」は2020年からfutureshop commerce creatorで運営している

EC売上高は過去6年で約20倍に拡大しました。老舗のブランド力と、高い商品力に加え、丸山さん率いるマーケティング部による“お客さま本意のマーケティング”が奏功。メルマガなどを活用したCRMを通じてリピート売上の拡大にも成功し、自社ECサイトを軸としたD2Cのビジネスモデルで急成長しています。

「秋田屋」のEC売上の成長率

EC売上高は6年で約20倍に伸びている

メルマガ再評価の理由は「コストメリット」「配信ボリューム」

秋田屋本店さまがメールマーケティングを本格化したのは2021年のこと。当時、広告を中心に新規顧客獲得は順調に進んでいたものの、「リピート率に課題があった」(丸山さん)ことから、CRM強化の一環でメルマガの運用を抜本的に見直しました。

自社ECサイトの売上高は着実に伸びていました。しかし、当時は新規顧客獲得が順調だった一方で、リピート率には課題があったため、CRMを強化する手段の1つとしてメルマガに着目しました(丸山さん)

顧客とのコミュニケーション手段が多様化した現在、20年以上前からECの販促に使われてきたメルマガは「時代遅れ」などと言われることもあります。

この点について丸山さんは「メルマガはオワコン(※終わったコンテンツ)ではない」と断言。メルマガのメリットについて「アプローチできる人数のボリュームや、配信コストの相対的な低さを考えると、工夫次第でメルマガの費用対効果は高い」と説明しました。また、メルマガを活用する際のポイントとして、発信する手段にこだわるよりも、発信する中身を考えることが重要だと考えていることも強調しました。

なお、自社ECサイト「秋田屋」のメルマガ有効会員数(配信拒否などをしていない人数)は2021年から4年間で12倍以上の6万4000人に増加。開封率は40〜50%と高く、メルマガ経由の売上高も数百万円に伸びました。

お客さまにとっては、情報を受け取る「手段」よりも、情報の「中身」の方が重要だと考えています。特別な手法や、最新のツールを探すよりも、まずは「何を届けたらお客さまに喜んでいただけるか」を考えるべきではないでしょうか。(丸山さん)

「秋田屋」のメルマガ施策の改善状況

メルマガを本格化した2021年から4年間で、配信数・開封率・売上高が大きく伸びている

シナリオ配信やステップメールの事例

メールマーケティングを強化するにあたり、秋田屋本店さまはCRM/MAツール「DATA CAST for futureshop」を2021年9月に導入しました。

現在はお客さまの属性や会員ステージ、購入履歴、閲覧履歴など、さまざまな条件でセグメント配信を実施。サンクスメールや出荷通知、新商品紹介、お得なキャンペーンの告知などのほか、「お誕生日クーポン」「ポイント有効期限切れ直前の通知」「再入荷通知」「カゴ落ちメール(カートに残っている商品を通知)」など、お客さまの状態に合わせたメールも随時配信しています。

新規顧客による購入が多い「雪白」や「チーズケーキ」といった人気商品を買ったお客さまには、新規からリピーターに転換することを目的としたステップメールも送り、リピート注文につなげているそうです。

お客さまの属性や状態に合わせて、さまざまな条件でセグメント配信やシナリオ配信を行っています。そして、それらのメールのクリック率・開封率・コンバージョン率などを分析し、PDCAサイクルを回しています(丸山さん)

メルマガ会員を増やした方法

メルマガ会員を増やす方法の1つは、「顧客にとって有益な情報を、メルマガ最優先で届けるようにした」(丸山さん)こと。例えば、入荷後に即完売することもある、はちみつバター「雪白」の再入荷通知や、お得なキャンペーン情報などは、最初にメルマガで発信しています。メルマガ登録のメリットを自社ECサイトの商品ページなどに記載しているほか、LINEやInstagramのフォロワーにもメルマガ登録を促しています。

LINEやInstagramはフォロワーされやすく、CRMの入口として有効です。そこで接点ができたお客さまに対して、最新情報はメルマガでお届けすることを繰り返し伝え、メルマガの登録を促しています(丸山さん)

 

「秋田屋」の商品ページに掲載しているメルマガ登録の案内文

商品ページにメルマガ登録のメリット(再入荷通知を受け取れることなど)を記載し、登録を促している

開封率・クリック率・購入率を上げた方法

秋田屋本店さまは、メルマガの開封率やクリック率、購入率などを「DATA CAST for futureshop」で分析し、それぞれの数字を向上させるために、配信数やタイミング、件名などの改善を続けています。

「どのようなコンテンツが届いたら、リピートしたくなるか」という問いを出発点に、お客さまの気持ちを想像しながら、メルマガの配信数やタイミング、件名を改善し続けています(丸山さん)

【改善前のメルマガの課題】

コンテンツの内容がメーカー目線になっていた

  • 例)商品が届く前に「アレンジレシピ」を送ることもあった
  • 例)商品が届く前に「レビューまとめ」を送り、レビュー投稿のお願いをしていた
  • 例)商品を届けた直後に、会社紹介やブランド紹介のコンテンツを送っていた

【改善後のメルマガ】

お客さまの心理やニーズに寄り添ったコンテンツに変更

  • 例)商品が届く前に「保管方法」を伝える
  • 例)商品が届いた直後に「美味しい食べ方」を伝える
  • 例)商品を食べた後のタイミングで「お得にリピート購入できる方法」を伝える

イー・エージェンシーの池内さんは「ECのメルマガの開封率は一般的に20%前後が平均と言われる中で、秋田屋さまは40〜50%という高い開封率を維持している」と称賛。「自分たちが発信したい情報よりも、受け手のニーズを優先する発想に転換したことが成果につながっている」と述べました。

メルマガの会員数を増やすことがゴールではなく、開封率やクリック率、購入率などを1つ1つチェックし、お客さま目線で改善し続けていることが成果につながったポイントだと思います(池内さん)

反響が大きかったメルマガの成功事例

丸山さんは、過去に配信して反響が大きかったメルマガの事例も紹介してくださいました。例えば、コーヒーの日(10月1日)にちなんで「珈琲モンブラン」を訴求するメルマガを配信したところ、大きな反響があり、販売個数が全商品中で1位になったそうです。

記念日にちなんだ訴求は定番の施策ですが、「コーヒーの日」のように、はちみつとは関係ないイベントでも、お客さまに刺さることがあります。固定観念にとらわれず、アイデア次第で大きな反響が得られるのもメルマガの魅力です(丸山さん)

反響が大きかったメルマガの成功事例

秋田屋本店さまはメルマガを通じて、お客さまと一緒に商品開発に取り組んでいます。例えば、サブスク会員限定で新商品を試食してもらい、好評だったものを定番メニューにすることでヒット商品を生み出しました。

お客さまと商品開発に取り組んだ事例

「DATA CAST for futureshop」を選んだ理由

メールマーケティングのツールに「DATA CAST for futureshop」を選んだ理由について丸山さんは「運用の手軽さと費用感」を挙げました。ECサイト構築システム「futureshop」とのデータ連携によってセグメント配信などを行えることや、導入時に大がかりな個別開発が必要ないことも評価のポイントとして言及。「契約から5営業日で始められたのは驚きだった」と感想を述べました。

初期費用を抑えられ、月額費用も従量課金制なので、規模に合わせてスモールスタートできる点もメリットだと思います(丸山さん)

DATA CAST for futureshopの紹介

「DATA CAST for futureshop」はfutureshopのデータと連携し、配信対象者の抽出やシナリオメールの配信などを行える

まとめ

今回のオンラインセミナーでは、秋田屋本店さまが取り組んでいるメルマガ施策について、事例を交えて実践的なお話をお聞かせいただきました。情報発信の手段に囚われず、お客さまにとって価値のあるコンテンツを届け続けることが、ネットショップのファン作りにつながることをあらためて実感していただけたのではないでしょうか。お客さまとの関係を深めるヒントとして、秋田屋本店さまの取り組みをぜひ参考にしてください。

株式会社フューチャーショップは自社ECサイト「秋田屋」も導入しているCRM/MAツール「DATA CAST for futureshop」をオプション機能として提供しています。futureshop側に蓄積した店舗データを活用し、メルマガのシナリオ配信やセグメント配信を自動化・効率化することも可能です。メールマーケティングを強化していきたい店舗さまは、下記ページよりお気軽にお問い合わせください。

秋田屋本店さまへのインタビューも掲載しています。同社のビジネスの概要や、商品づくりへの思い、メルマガ施策を強化した経緯などを語っていただきました。「メルマガはお客様との重要なタッチポイント」秋田屋本店・MA/CRM導入で売上10倍アップの成功のポイント【futureshop DATA CAST事例】」をご一読ください。