インスタライブの成功事例!ランジェリーブランド「Chut! INTIMATES」が取り組むライブ配信の舞台裏
- 2019.04.042024.01.30
オンワードホールディングスのグループ会社で、
2014年からランジェリーブランド「 Chut! INTIMATES (シュット! インティメイツ) 」を実店舗とECで展開しているインティメイツ株式会社。
2018年秋から、社内のデザイナーやEC担当者がInstagramでライブ配信を行い、ブランドのファン作りに取り組んでいます。
1回の配信中に平均約2000人が視聴するなど、人気を集めている同社のライブ配信は、どのように作られているのでしょうか。
インスタライブを始めた理由や、配信する際に意識していること、そして約4カ月間の成果について、インティメイツの鈴木淳也副社長にお話を伺いました。(聞き手:E-Commerce Magazine編集部)
目次
インティメイツがインスタライブを始めた理由とは?
– 本日は、インティメイツさんが取り組んでいるインスタライブについて、詳しく聞かせてください。
– 本題に入る前に、 まずは御社の事業の概要を教えていただけますか?
インティメイツ株式会社 代表取締役副社長 鈴木淳也氏(以下、鈴木) :
2014年3月にインティメイツを設立し、ランジェリーブランド「Chut! INTIMATES」をスタートしました。
「ランジェリーも、ファッションのように楽しんでもらいたい」というコンセプトのもと、ほどよく流行を取り入れた、オシャレで快適な着け心地のランジェリーを販売しています。
販売チャネルは実店舗とオンラインショップ。当初からオムニチャネルを前提として事業を手掛けており、リアル店舗とECのポイントや顧客情報などを一元化しています。
実店舗は東京、神奈川、愛知、大阪、岡山、福岡で合計12店舗あり、すべてルミネやマルイ、高島屋、大丸、コレドなど商業施設のテナントです。
EC事業は、自社ECサイトを中心に、楽天のファッションモール「Rakuten BRAND AVENUE」など一部のモールにも出店しています。
ブランドのEC化率は年々上昇しており、今期(2019年2月期)は約50%近くになる見通しです。
「Chut! INTIMATES」の自社ECサイトのトップページ(画像は編集部がキャプチャ)
– 2018年9月から1〜2カ月に1回ほどの頻度で、「Chut! INTIMATES」のチーフデザイナーである斎藤ゆかりさんがメインパーソナリティを務め、インスタライブを行なっていらっしゃいますね。
– 毎回さまざまなテーマで配信していて、例えば、ファッション誌のモデルや女優として活躍している高山都さんがゲストして登場した第1回では、ランジェリーの着こなしなどをテーマとしたトークセッションが、見ていてとても楽しかったです。
– また、2018年12月末に配信した、年末年始のセールにおけるオススメ商品を紹介する企画は、多くのフォロワーが視聴し、コメントも盛り上がっていた印象です。御社はなぜ、こうしたインスタライブを始めたのでしょうか?
鈴木 : インスタライブを始めたのは、ランジェリーを好きになる人を、もっと増やしたいからです。
日本では、ランジェリーに関する情報に触れられる機会が、それほど多くはありません。ファッション誌は、洋服のトレンドや着回しを毎号特集しますが、ランジェリーの特集は年に数回ほど。もっと情報発信を増やさないと、ランジェリーを好きになる人は、なかなか増えていかないでしょう。
できるだけ多くの消費者に、ランジェリーの魅力を伝えたい。そのための手段の1つとして、インスタライブを行なっています。
「Chut! INTIMATES」のチーフデザイナーである斎藤ゆかりさん(左)と、オンラインプレスのまあやさん(右)。2018年12月27日のライブ配信「SALE攻略法! fromBackstage」では、年末年始のセールにおけるオススメ商品を紹介した(画像はYoutubeの画面のキャプチャ)
– インスタライブは、商品を売ることが目的ではないのですか?
鈴木 : インスタライブを使って、直接的にECのコンバージョンにつなげるつもりはありません。あくまでも、ランジェリーの魅力や、弊社のブランドについて理解を深めてもらうことが優先です。
ですから、企画によっては、自社の商品をほとんど紹介しない場合や、他社の商品に言及することもありますよ。
昨年末に配信した、セール商品を紹介する「SALE攻略法! fromBackstage」も、「何を買ったらいいかわからない」というお客さまに、人気商品やオススメの商品を分かりやすく伝えるのが目的でした。
ですから、商品を紹介するだけではなく、フォロワーさんからの質問にリアルタイムで答える形式で、ランジェリーの選び方や、綺麗に着こなすコツなどの説明に比重を置きました。
– たしかに、過去の配信では他社の商品を紹介したり、御社が扱っていない水着について話したりしていて驚きました。
鈴木 : ランジェリーのことで悩んでいるフォロワーさんに、正しい知識や使い方を伝えていけば、結果的に弊社のファンも増えていくはず。そう考えれば、他社の商品を取り上げることに矛盾はありません。
– インスタライブでは売り上げを追いかけないとのことですが、配信ごとにKPIは設定しているのでしょうか?
鈴木 : 正直に言うと、KPIは特に設定していません。
視聴者数やフォロワー数の推移などはチェックしていますが、特定の数字を追いかけている訳ではないんです。
– ちなみに、ライブ配信の視聴者数は何人ぐらいなのでしょうか?
鈴木 : その時々で異なりますが、ライブ配信中の視聴数は平均2000人ぐらいだと思います。「Chut! INTIMATES」のInstagramアカウントのフォロワー数は約2万5000人なので、フォロワーの1割弱が視聴してくださっている計算です。
ライブ配信を行うチームの体制は?台本はあるの?
ー ライブ配信の撮影場所や、当日の撮影方法などについて教えてください。
鈴木 : 番組の企画から撮影、配信まですべて社員が行なっています。インスタライブに携わっているのは、出演者とスタッフを合わせて5人です。撮影は、閉店後の店舗で行っています。
配信時間は30分〜1時間以内。視聴者が盛り上がれば、上限の1時間まで配信します。
コメントの盛り上がり具合をリアルタイムでチェックしながら、質問のテーマを変えるなど、ライブ感を重視しています。
– セリフの台本は用意しているのでしょうか?
鈴木 : 事前に内容の大枠は決めておきますが、台本はありません。
– 台本がないにも関わらず、メインパーソナリティの斎藤さんや、まあやさんは、トークや視聴者とのやりとりがとても上手ですね。ライブ配信のために、何かトレーニングなどを行なっているのでしょうか?
鈴木 : いえ、特別なことはしていませんよ。2人ともライブ配信は未経験でした。
強いて言えば、自然体で出演していることが良いのではないでしょうか。
出演者の2人は、番組で商品を売ることを意識せず、率直にランジェリーの魅力を説明し、本音でフォロワーさんとやりとりするようにしています。
また、配信は毎回午後10時に始まるのですが、当日は午後6時ごろに仕事を切り上げて、出演者や撮影スタッフがみんなで食事をすることで、リラックスして撮影に臨めるようにしています。
– KPIを設定していないから、出演者さんもリラックスして番組に臨めて、それが結果的に視聴者も気軽に楽しめる雰囲気につながっているのかもしれませんね。
鈴木 : そうかもしれませんね。
― 出演者は、どのように決めたのでしょうか?
鈴木 : まず、弊社のチーフデザイナーである斎藤を中心に配信していくことは決まっていました。ランジェリーのトレンドや自社商品のことを、誰よりも詳しく語れますから。
パートナーを務めているまあやは、ECサイトの運営やカスタマーサポートなども担当しています。
ライブ配信における掛け合いの相性などを踏まえて起用したほか、作り手や販売員(EC担当者)の顔が見るようにすることで、お客さまに安心していただく目的もあります。
– インスタライブを行うことで、実店舗の売り上げに影響はありますか?
鈴木 : それもありますよ。
動画で紹介した商品を、実店舗で指名買いしてくださるお客さまもいますから。ライブ配信を行うときは、店舗スタッフにも事前に共有しています。
– 今後はインスタライブを、どのくらいの頻度で実施するのでしょうか。
鈴木 : 理想としては、月1回ほどのペースで配信したいです。
実店舗とEC、SNSが連携してブランディングに取り組む
– 御社は事業全体の中で、Instagramをどのように活用しているのか教えてください。
鈴木 : Instagramは主に、ブランディングに活用しています。
Instagramでは、ブランディング要素が強いコンテンツの方が、フォロワーさんからの反応は良い。だから、なるべく販促の雰囲気は排除し、ブランディングを意識したコンテンツを投稿するようにしています。
ただし、「ストーリー」に投稿するコンテンツは、少し販促要素を強めにするなど、機能によって役割を使い分けています。
投稿するコンテンツや、投稿スケジュールは、ECや店舗のセールなどに合わせて決めています。
– Instagramの「ショッピング機能」も活用していらっしゃいますね。ECの売り上げにどの程度影響していますか?
鈴木 : 「ショッピング機能」を含めて、Instagramの投稿を経由した売り上げは、EC事業全体の5%前後はあると思います。
– Instagramの売り上げへの影響は、無視できない規模ですね。
鈴木 : そうですね。今後も、Instagramを起点とした、いろいろな企画を実施していきたいです。
ただし、Instagramだけを切り出して、独立した施策を考えるのではなく、実店舗とWEB、SNSなど、さまざまなチャネルを連動させて、お客さまとの接点を増やしていくことが大事だと思っています。
– 御社は、実店舗の販売スタッフが、来店者にアプリのダウンロードや会員登録を勧めるなど、オフラインとオンラインがしっかり連携している印象を受けます。
鈴木 : ネットとリアルの連携は、今後も強化していきたいポイントです。
自社ECサイトには、実店舗での来店予約の機能があり、ランジェリーについて店舗スタッフに相談しながら買いたいというお客さまにご利用いただいています。
今後は、実店舗の在庫をECサイト上に表示する機能なども実装し、より便利に買い物ができるようにしていきたいです。
ランジェリーを好きになる人を増やすため、今後も情報発信に力を注ぐ
– EC化率は今後、何割ほどに落ち着いていきそうですか?
鈴木 : 今後の実店舗の出店タイミングにも寄りますが、ECか実店舗のどちらかに寄り過ぎるのは好ましくないと思っていますので、両方の売り上げを、バランスよく増やしていきたいです。
– 今後もインスタライブやSNSなどを通じ、ランジェリーの情報発信を継続していくのでしょうか?
鈴木 : その方針です。お客さまとのコミュニケーションの接点を増やし、LTVをしっかり伸ばしていくために、情報発信は欠かせません。
また、商品のストーリーを、自分たちの言葉で語ることの重要性は、ますます高まっていくでしょう。
そして、インスタライブなどを通じて良質な情報を提供し、ランジェリーのことを好きになる人をもっと増やしていきたいです。
– インティメイツさんが取り組んでいらっしゃるインスタライブの視聴者が増えていけば、ランジェリー業界の活性化にもつながりそうですね。
これからも、ライブ配信を楽しみにしています。
本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!
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