日本の化粧品は、品質の高さから海外でも人気を集めているため、化粧品販売で越境ECを検討される方は多くいらっしゃいます。しかし、越境ECを始める際には、あらかじめ知っておくべき注意点がいくつかあります。
本記事では、化粧品越境ECが注目されている理由や、成功させるコツを紹介します。化粧品を販売するうえで知っておきたい規制や、商品表示についても紹介しているので、化粧品越境ECが気になっている方は、ぜひご覧ください。
目次
越境ECにおける化粧品市場は拡大している
越境EC市場において、化粧品分野は成長を見せています。特に日本製化粧品は海外で絶大な人気を博しています。
その背景には、高品質や安全性など日本のブランドイメージが世界中で高く評価されていることがあります。実際に、2023年時点では、東南アジアや台湾で絶大なシェアを持つ越境ECプラットフォーム「Shopee」において、日本商品の中で「美容品・化粧品」が人気カテゴリーの第1位を獲得しています。(参照:化粧品の越境ECは意外と簡単?企業事例と成功のコツ – Shopee Japan ショッピージャパン)
海外の消費者が、日本の技術力や繊細なモノづくりによる価値を化粧品にも見出しているとも考えられます。越境ECにおける化粧品市場のさらなる拡大が期待されます。
越境ECで化粧品販売がおすすめな理由
越境ECにおいて化粧品販売を特におすすめできる理由は、主に日本の品質の高さが海外で圧倒的な評価を受けている点にあります。
日本の化粧品は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)をはじめとする厳格な法律に基づき、品質と安全性が徹底的に管理されています。
製品の開発から製造、販売に至るまで、高い基準が設けられているため、海外からの高い評価に繋がっています。日本の化粧品は「信頼できる」「安心して使える」といった認識が強く、消費者の間で絶大な人気を集めているのです。
既に確立された「高品質・安全」というブランドイメージが、海外における日本の化粧品のニーズを一層高めていることから、化粧品の越境ECはおすすめです。
化粧品越境ECで狙うべき地域
化粧品の越境ECを展開するうえで大切なのが、ターゲットとする地域です。ニーズや文化などを理解し、商品に合った地域で越境ECを展開しましょう。化粧品越境ECで狙うべき地域は、以下が挙げられます。
- 中国
- アメリカ
- 東南アジア
それぞれの地域の特徴やおすすめな理由を見ていきましょう。
中国
化粧品の越境ECにおいて、中国は注目すべき巨大市場です。人口が多く、越境ECの市場規模も世界トップクラスと言えます。富裕層だけでなく中間所得層の増加も、越境ECがおすすめな理由のひとつです。
近年、中国では越境ECに関する規制が緩和されており、特定のECプラットフォームを介することで、比較的スムーズな参入が可能になっています。中国のユーザーは日本製の化粧品に対して高い信頼を寄せており、品質や安全性に対する意識の高さから、日本のブランドが選ばれやすい傾向にあります。
ただし、中国市場は競争が激しく、KOL(Key Opinion Leader)を活用したライブコマースなど、独自のマーケティング手法が必須です。一部で規制強化の動きが見られる場合もあるため、常に最新の法規制情報を得て、適切な戦略を立てる必要があります。
アメリカ
アメリカは、中国に次ぐ大きな越境EC市場であり、化粧品においてもターゲット地域と言えます。中国に比べると市場規模は小さいものの、人口比率を踏まえれば、大規模な消費市場が広がっています。多様な人種と文化が混在するため、様々な肌質やニーズに対応できる幅広い製品が求められるでしょう。
アメリカの消費者は、機能性だけでなく、SDGsやヴィーガン対応などサステナビリティに関心が高いのが特徴です。製品の品質だけでなく、ブランドの理念やストーリーを丁寧に伝えるのがおすすめと言えます。競合が多い市場ではありますが、様々なニーズに応えられる製品であれば、安定した顧客層を獲得できる可能性があるでしょう。
東南アジア
東南アジア地域も、化粧品越境ECにおすすめな地域と言えます。タイ、ベトナム、フィリピンなどは若年層の人口が多く、経済成長も期待できるため、今後も消費市場の拡大が見込まれます。
また、中国や欧米と比較して、東南アジア地域は、物流に関するコストを比較的低く抑えられる点も魅力です。一概に東南アジアといっても、各国で関税や輸入規制が異なるため、事前のしっかりとした調査は欠かせません。
国ごとのプラットフォームによっては、海外発送によるタイムラグや文化の違いによって注文キャンセルが発生する可能性があります。日本では売れ行きが良くても、東南アジアでは価格帯が高いと感じられ、購入に繋がらないケースも少なくありません。東南アジア地域に参入する際は、文化の違いや物価などにも考慮する必要があるでしょう。
化粧品越境ECを成功させるコツ
化粧品越境ECを成功させるには、ターゲット地域に合わせた戦略を立てることが大切です。他にも越境ECを成功させるコツは、以下が挙げられます。
- ターゲットに合わせた化粧品を選定する
- 現地の声を用いたマーケティングを行う
- カスタマーサポートを充実させる
- 国に合わせた決済方法を導入する
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ターゲットに合わせた化粧品を選定する
海外で化粧品越境ECを成功させるには、ターゲット市場のニーズに合わせた商品を選定することが大切です。日本国内で人気の製品が必ずしも海外で売れるとは限らないためです。
まずは、現地のメディアやSNSを調査し、どのような化粧品が話題になっているか、トレンドがあるかを把握しましょう。現地のインフルエンサーが紹介している商品や、消費者のリアルな声をチェックするのもおすすめです。
また、現地の気候や物価、化粧品に関する規制などを踏まえて選ぶ必要があります。例えば、乾燥した気候の国では保湿力の高い製品が求められ、高温多湿な国ではベタつきにくいサッパリとした使用感が好まれる傾向があります。
物価に合わせて価格帯を調整したり、特定の成分が規制されている場合は該当成分を含まない製品を選んだりすることも欠かせません。
現地の声を用いたマーケティングを行う
海外市場でブランド認知度を高め、ユーザーの購買意欲を刺激するためには、地域に合わせたマーケティングを展開する必要があります。
なかでもおすすめなのが、インフルエンサーマーケティングやSNSの活用です。ターゲット地域で影響力のあるインフルエンサーに商品を試してもらい、感想を動画や投稿で発信してもらうことで、現地の消費者に自然な形でアプローチできます。単に広告を出すよりも、信頼性が高く、購買行動に直結しやすいのがメリットです。
また、InstagramやTikTok、Facebookなど、各国の主要SNSで積極的に情報を発信し、現地の言葉でコミュニケーションを取るのもおすすめです。現地の文化や言葉を理解したコンテンツを作成し、一方的な情報発信ではなく、ユーザーとのコミュニケーションを意識しましょう。
カスタマーサポートを充実させる
化粧品越境ECでは、言語や時差、文化の違いから、顧客からの問い合わせが発生しやすくなります。ユーザーが安心して商品を購入し、リピーターになってもらうためには、充実したカスタマーサポート体制が必要です。
たとえば、サイトのよくある質問を多言語化し、ユーザーが自己解決できる環境を整えましょう。簡単な疑問であれば迅速に解決でき、問い合わせ件数も減らせます。
さらに、リアルタイムチャットの導入もおすすめです。現地の言葉で即座に質問に答えられる体制を整えることで、お客様の不安を解消し、購買意欲の低下を防げます。自社での多言語対応が難しい場合は、現地の代理店と契約を結ぶことも検討しましょう。
国に合わせた決済方法を導入する
化粧品越境ECにおいて、国に合わせた決済方法を導入することも大切です。国や地域によって、クレジットカードやモバイル決済、銀行振込など、主要な決済手段が異なります。日本ではクレジットカードや代引きなどが一般的ですが、特定の国では銀行振込が好まれるケースもあります。
そのため、事前にターゲット国の決済事情をリサーチし、現地で利用されている決済方法を複数用意しましょう。ユーザーが使い慣れた決済方法がないと、購入を途中で諦めてしまう「カゴ落ち」の原因にもなりかねません。利便性の高い決済手段を提供することで、ユーザーの購買体験を向上させ、コンバージョン率を高められます。
越境ECの主な始め方
越境ECの始め方は、様々な方法があります。おすすめな方法としては、以下の流れが挙げられます。
- 国内向けECサイトを越境ECに対応させる
- 海外のECモールに出店する
- 越境ECサイトを構築する
国内向けECサイトを越境ECに対応させたうえで、海外のECモールに展開することで、自社越境ECサイトを立ち上げるための情報収集が可能になります。ターゲット地域のニーズや文化などを理解できるため、入念な戦略を立てることが可能です。
越境ECの始め方については、以下ページも合わせてご覧ください。
化粧品越境ECの注意点
化粧品の越境ECは魅力的な市場ですが、海外展開には特有のリスクやハードルが伴います。主な注意点としては、以下が挙げられます。
- 化粧品規制に対応する
- 禁止成分リストを入念に確認する
- 商品表示を多言語化する
注意点について詳しく見ていきましょう。
化粧品規制に対応する
化粧品を海外で販売するうえで複雑なのが、化粧品規制への対応です。各国の規制は、成分や製造など多岐にわたり、頻繁に変更されるため、常に最新の情報を確認し続ける必要があります。
特に巨大市場である中国へ輸出する場合、「国家薬品監督管理局(NMPA)」が定める規制への対応が必要です。NMPA(国家薬品監督管理局)は、化粧品などの管理を行っている中国の国家機関です。越境ECで化粧品を中国に販売する際は、NMPAに登録・届出をしなくてはなりません。
製品は「一般化粧品」と「特殊化粧品」に分類され、それぞれで所要期間が異なります。
一般化粧品(例:保湿クリーム、洗顔料など)は「届出制」で、資料準備から届出完了までにおよそ2〜6カ月程度かかるとされています。
一方、特殊化粧品(例:日焼け止め、美白・育毛などの機能性化粧品)は「登録制」で、登録証の取得におよそ4〜6カ月が目安です。
ただし、審査の混雑状況や不備による差し戻しが発生した場合、さらに期間が延びる可能性もあります。余裕をもったスケジュール設計が重要です。
化粧品の現地輸入規則および留意点:中国向け輸出 | 貿易・投資相談Q&A – 国・地域別に見る – ジェトロ
禁止成分リストを入念に確認する
各国の化粧品規制の中でも厳格なのが、禁止成分リストです。国によっては、日本で一般的に使用されている成分が、禁止されていたり、使用量に制限があったりする場合があります。
越境ECを展開する際は、ターゲット国ごとに管轄当局が公表する禁止成分リストや配合制限成分リストと自社製品の処方と照らし合わせ、問題がないか確認する必要があります。禁止成分が入っていると、通関で差し止められたり、販売後にリコール命令を受けたりするケースもあるでしょう。
自社での確認が難しい場合は、第三者検査機関に処方チェックを依頼するのがおすすめです。専門機関に依頼することで、リスクを最小限に抑え、安心して海外展開を進められます。
商品表示を多言語化する
海外のユーザーに安心して購入してもらうには、商品表示を多言語化するのがおすすめです。単に翻訳するだけでなく、国ごとに異なる商品表示の基準にも対応する必要があります。
製品の成分表示や使用方法、原産国などは現地の言語で明確に記載することが義務付けられている国もあり、規制は様々です。ユーザーが誤解なく商品を理解できるよう、正確で分かりやすい情報提供を心がけましょう。
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まとめ
化粧品越境ECがおすすめな理由として、日本製品の品質の高さが挙げられます。化粧品に問わず日本製品の品質の高さは、海外から注目を集めています。化粧品越境ECを始めるのにおすすめな地域として、中国やアメリカ、東南アジアが挙げられます。
また、化粧品越境ECを成功させるには、ターゲットに合わせた化粧品の選定や現地の声を用いたマーケティングが重要です。
各国の規制や禁止成分などを正確に把握することも欠かせません。成功のコツや注意点を踏まえたうえで、化粧品越境ECを始めましょう。