【担当者必見】ECサイトの運営に必要な業務フロー図の作成方法を6ステップで紹介!
- 2024.07.192024.07.19
ECサイトの適切な運営において、業務フロー図は重要な役割を果たします。しかし、具体的な作成方法が分からない方は多いのではないでしょうか。
本記事では、ECサイトの業務フロー図作成方法と、その効果的な活用法を詳しく解説します。記事内の知識を活用すれば、業務の可視化や効率化、そして継続的な改善が可能になります。自社のECサイト事業を適正化したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
ECサイトの運営に必要な業務内容と業務フロー
ECサイトの運営に必要な業務は、大きくフロント業務とバックオフィス業務の2つに分類できます。適切な業務運営には、両方の業務を把握・管理することが重要です。ここでは、ECサイトの運営に必要な業務内容について、業務フローに順じて解説します。
フロー①フロント業務
フロント業務は、主に顧客と直接関わる業務です。そのなかでも、販売戦略に関わるマーチャンダイズ部門と、仕組み作りに関わるマーケティング部門に分かれます。
マーチャンダイズ部門の業務
マーチャンダイズ部門が担う業務は、以下の3つです。
1.商品の企画
商品の企画は、ECサイトの根幹を成す重要な業務です。売れ筋商品を分析し、顧客ニーズに合った新商品を開発します。
また、既存の商品ラインナップを見直し、必要に応じて拡充する視点も欠かせません。顧客の購買意欲を高める魅力的な商品提供がECサイトの売上向上につながります。
2.販売体制の整備
スムーズな販売を実現するためには、販売体制の整備が重要です。商品の仕入れ先や製造工場を選定し、安定した供給体制を構築します。
ECサイトやアプリの設計では、ユーザビリティの向上やサイト構成を最適化し、顧客が快適に利用できる環境かどうか、顧客視点でのチェックが必要です。
3.受注体制の構築
バックオフィス業務との連携も重要です。在庫管理システムを導入し、商品の在庫状況をリアルタイムで把握できると対応がスムーズです。また、ロケーションを管理し、商品の保管場所が誰でも分かるように整備します。
さらに、迅速かつ確実な配送体制を整えるため、信頼できる配送会社と提携することも、選択肢のひとつです。
外注すべきかどうか、どのように外注先を選ぶべきかは以下の記事で解説しているため、あわせてご覧ください。
マーケティング部門の業務
マーケティング部門が担う業務は、以下の2つです。
1.販売戦略の立案
効果的な販売戦略は、ECサイトの成功に不可欠です。採算が合う適切な価格設定や、顧客の興味を引くプロモーション企画を立案します。
また、季節や特定の時期に合わせたキャンペーンを実施し、売上の増加を図る取り組みも重要です。競合他社との差別化を意識した戦略を立てることで、顧客の獲得と維持につながります。
2.集客施策の実施
ECサイトで売上を伸ばし続けるためには、効果的な集客施策が欠かせません。具体的な方法としては以下が挙げられます。
- SEO施策を実施し、検索エンジンでの上位表示を目指す
- ネット広告の運用やアフィリエイトプログラムの導入
- メールマガジンの配信やSNSでの情報発信
また、新規顧客の獲得とリピーターの維持では最適な方法が異なるため、自社の状況に応じた施策の展開が重要です。
フロー②バックオフィス業務
バックオフィス業務は、フロント業務を支える重要な役割を担います。以下6つの業務を効率的に行うことで、安定したECサイト運営が実現します。
1.受注管理
受注管理は、顧客からの注文を正確に処理する業務です。注文内容を適切に記録し、商品の準備や発送までの流れをスムーズに進めます。
また、注文のキャンセルや変更にも迅速に対応することで、顧客満足度の向上につながります。受注管理システムを導入すると、ヒューマンエラーの防止や業務効率化に役立つため、未導入の場合は検討しましょう。
2.在庫管理
常に正確な在庫数を把握し、適正な在庫量を維持します。在庫切れを防ぐため、需要予測と適切なタイミングでの商品補充がポイントになります。
過剰在庫を抱えることで資金が固定化されないよう、在庫管理システムを活用しながら、現状把握と将来予測をモニタリングし、体制を整えましょう。その際、マーケティングの販売施策との連携も重要です。
在庫管理システムをこれから導入する場合は、以下の記事で選び方を解説しているため、ぜひご覧ください。
3.決済処理
決済代行会社と連携し、多様な支払い方法に対応します。銀行振込だけではなく、キャリア決済やQRコード決済、後払い決済など複数の選択肢が用意できると顧客の利便性が高まります。また、カゴ落ち対策としても有効です。
4.発送対応
商品の発送は、ECサイトの評価に直結する重要な業務です。商品を丁寧に梱包し、破損や汚損を防ぎます。スピーディに商品を届けるためには、配送会社と連携し効率的な配送ルートの設定が大切です。
また、配送状況を追跡し、顧客に最新情報を提供することで顧客満足度の向上につながり、リピート購入を促進します。
5.顧客情報の管理
顧客情報の適切な管理は、ECサイトの信頼性を高めます。顧客のデータベースを構築し、購買履歴や問い合わせ履歴について記録しましょう。個人情報保護法の遵守をはじめ、徹底したセキュリティ対策が顧客からの信頼につながります。
さらに、蓄積したデータを二次利用すれば、顧客ニーズの把握や効果的なマーケティング施策の立案に役立ちます。
6.運営コストの管理
ECサイトの健全な運営には、適切なコスト管理が欠かせません。売上や経費を正確に把握し、予算を管理します。広告費や人件費、システム運用費など、事業に関するコストを分析し、効率化を図りましょう。
また、無駄な支出を削減するための取り組みは継続が大切です。適切なコスト管理により、ECサイトの収益性向上につながり、持続可能な運営を可能にします。
ECサイトの業務フロー図を作るための6ステップ
業務フロー図を作成することで、ECサイトに関する業務の全体像が把握でき、運営の効率化につなげられます。業務フロー図とは、以下のようなイメージです。
ここでは、業務フロー図を作成するための6つのステップを詳しく説明します。
ステップ1|目的を明確にする
業務フロー図作成の第一歩は、目的の明確化です。なぜこの業務フロー図を作成するのか、何を明らかにしたいのかを明確にします。
たとえば「注文処理の効率化」や「顧客対応の改善」などの具体的な目標を設定します。目的が明確になれば、業務フロー図の作成範囲や方向性を見失いません。無駄な作業を省き、効果的なフロー図の作成が可能になります。
ステップ2|業務内容と担当者を洗い出す
次に、業務内容と担当者を詳細に洗い出します。その際、スイムレーンを活用すると効果的です。スイムレーンとは、業務フロー図で「誰が」その業務を担当するのかを示すもので、横軸に担当者や部署を配置します。
各業務をそれぞれの担当者のレーン内に配置することで、業務の流れと責任者が一目で分かるようになります。業務の重複や抜け漏れを防ぎ、業務分担や責任の所在が明確になるでしょう。
ステップ3|フロー図のルールを決める
次に、フロー図の見やすさと分かりやすさを高めるため、作成ルールを設定します。主なルールは以下のとおりです。
- 記号の種類は最低限に抑え、複雑化を避ける
- 矢印は基本的に上から下、または左から右に進むようにし、逆方向の矢印は最小限にする
- 線は重ならないよう配置し、視認性を高める
- 記号と記号の間に一定の間隔を設け、読みやすさを確保する
また、各手順に対して正しい記号を使用することで、統一感のあるフロー図が作成できます。
ステップ4|フロー図を作成する
実際のフロー図作成では、まず全体像を大まかに書き出し、その後徐々に細分化していきます。タスクや処理を時系列に並べ、各タスクに適切な図形を割り当てます。そして、矢印で各プロセスをつなぎ、業務の流れを表現するまでが一連の流れです。
その際、ステップ3で決めたルールに従って作成することで、一貫性のあるフロー図が作成できます。複雑な業務フローの場合は、主要な流れを示すメインフローと、詳細を示すサブフローに分けて作成すると混乱しないでしょう。
ステップ5|作成したフロー図をレビューする
完成したフロー図のレビューは必須です。フローに誤りや不備がないか、無駄なプロセスが含まれていないかを1つずつ確認します。また、実際の業務の流れと合致しているかのチェックも必要です。
レビュー時は、業務担当者にも参加してもらい、現場の視点からの意見も取り入れます。必要に応じて修正を加え、現状を表したフロー図に仕上げていきます。
ステップ6|完成したフロー図を共有する
最後に、完成したフロー図を関係者全員で共有します。社内のイントラネットや共有フォルダなど、関係者がいつでも確認できる場所に格納しておきます。
作成後は定期的に見直しの機会を設け、業務の変更や改善に応じてフロー図を更新します。フロー図を活用して業務の標準化や効率化を図り、ECサイトの運営をさらに改善していく組織風土の醸成が重要です。
業務フロー図の作成で得られる効果
ここからは、業務フロー図の作成によって得られる3つの効果について解説します。
業務の全体像が把握できる
業務フロー図を作成することで、ECサイト運営の全体像を視覚的に理解できるようになります。受注から発送までの一連の流れや、顧客対応の手順などが、一目で分かります。
全体像が把握できないと、業務上のミスが発生した際に原因の特定が困難です。しかし、フロー図があれば、どの段階でミスが起きたのか、またそのミスがどのような影響を及ぼすのかを迅速に把握できます。結果として、問題解決や業務改善がよりスムーズになります。
業務の属人化を防止できる
業務の属人化は、ECサイト運営における大きなリスクです。特定の個人にしか分からない業務の詳細や流れがあると、その人材が不在の際に業務が停滞する可能性があります。そのような状況を避けるためにも、業務フロー図を作成し、各業務の手順や必要な知識を明文化することで、リスクヘッジにつながります。
また、フロー図があることで他部署の担当者も業務対応がスムーズに行えるようになるため、属人化のリスクを軽減することが可能です。
さらに、新入社員の教育にも活用でき、スムーズな業務の引き継ぎや人材の育成にも役立つのが業務フロー図のメリットです。結果として、組織全体の生産性向上と安定した運営につながります。
業務改善の土壌が作れる
業務フロー図を作成し、ECサイト運営の全体像を可視化することで、さまざまな改善点がみえてきます。たとえば、以下のような気づきが生まれやすくなります。
- この作業は不要ではないか
- 別の部署の方が適任ではないか
- 同じような作業を複数の場所で行っている
- この順序を変えればもっと効率的ではないか
これらの気づきは、業務の無駄を省き、効率性を高めるための重要な手がかりです。また、定期的なフロー図の見直しにより、常に業務プロセスを最適化する意識を組織全体でもてるようになります。すると、継続的な業務改善の文化が根付き、ECサイトの競争力向上につながります。
業務フロー図を作成する際の注意点
ここでは、より効果的な業務フロー図を作成するための3つの主要な注意点を説明します。
一人では作らない
業務フロー図は一人で作成すべきではありません。なぜなら、一人で作業すると、以下のような問題点が生じる可能性があるためです。
- 業務の抜け漏れ
- 不必要なプロセスの見落とし
- 潜在的な問題点の見逃し
たとえば、日常的な作業を当たり前と考え、フロー図に反映させ忘れることがあります。また、自分の視点だけでは気づかない非効率な作業が存在する可能性もあります。
そのため、各部門の担当者や関係者の協力を得ながら作成することが重要です。多様な視点を取り入れることで、より正確で包括的なフロー図が完成します。さらに、チームでの作成により、業務に対する共通理解が深まり、組織全体の業務改善意識も高まります。
シンプルを意識する
業務フロー図は、ECサイト運営に関わるすべての人が理解できるように、シンプルな作りが重要です。特に、初めて業務を担当する人でも理解しやすいよう心がけます。
複雑なフロー図は、かえって混乱を招き、本来の目的である業務の可視化と効率化を妨げる可能性があります。そのため、以下の点に注意しましょう。
- 図形の形や記号の数は必要最小限にとどめる
- 使用する図形は5種類程度に抑える
- 矢印の方向を統一する
- 一つのフロー図に盛り込む情報量を調整する
- 必要に応じてサブフローを作成する
シンプルで分かりやすいフロー図は、新人教育やクロストレーニングにも活用でき、組織全体の業務理解度向上にも貢献します。
業務マニュアルと整合性をとる
業務フロー図と業務マニュアルの内容が一致していないと、実務に大きな影響を与える可能性があります。たとえば、フロー図では省略されているステップがマニュアルには記載されていると、実務で混乱を招きます。
そのため、以下の点に注意して整合性を保つことが重要です。
- 業務フロー図で全体の流れを把握し、業務マニュアルで各ステップの詳細を確認する
- 定期的に両者を照合し、不一致がある場合は速やかに修正する
- 業務プロセスに変更があった場合は、フロー図とマニュアルの両方を同時に更新する
整合性を保つことで、ECサイト運営の標準化と品質維持が可能となり、結果的に顧客満足度の向上にもつながります。
まとめ
ECサイトの業務フロー図作成は、効率的な運営に不可欠です。フロント業務とバックオフィス業務の両面を考慮し、6つのステップに従って作成することで、業務の全体像把握や属人化の防止、改善の土壌作りが可能になります。
作成時は、チームで取り組み、シンプルさを意識し、マニュアルとの整合性を保つことが重要です。適切に作成された業務フロー図は、ECサイトの生産性向上、問題解決の迅速化、そして顧客満足度の向上につながります。
また、作成したあとは定期的に更新するタイミングを設け、常に最適な業務プロセスを維持することで、ECサイトの持続的な成長と競争力強化が実現できるでしょう。まずは、ステップ1の目的の明確化から取り組んでみてはいかがでしょうか。