IRCE参加レポート(2):アメリカのECサイトの成長率ベスト5は?

前回はIRCE2015の全体の所感についてお話させていただきました。今回はアメリカのECサイトで高い成長率を見せた企業のベスト5をご紹介したいと思います。

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アメリカのEC成長率は15.4%。その中でも、一段と高い成長率を見せた企業TOP5は?

一年間を振り返るかのようなセッション「How The Top 500 Keep Up With a Shifting Market(アメリカECのトップ500の企業はいかにして変化する市場に追い付いているのか)」があり、アメリカのECについて45分ほど数字を交えて解説してくれるセッションに参加しました。

このセッション内でアメリカのEC成長率は全体で15.4%を記録(※1)したと発表。日本の物販系分野は13.4%(※2)なので、成長率で言うとわずかな差ですが、額で見るとアメリカは約4.8兆円、日本は約0.9兆円の成長という結果でした。こう改めて比較するとアメリカのEC市場規模は非常に大きいですね。

そして、ECのTOP500にランクインするようなECの売上規模の中で、高い成長率を示した企業も発表されていました。アメリカではどのようなECサイトが成長しているのでしょうか?第5位から発表したいと思います。
※なお、画像については記事公開当時のサイトトップの画像です。

第5位:「Shinola」(成長率199%,2014年の売上:約714億円)

Made in USAにこだわり、消費者製品の企画や製造を行う企業です。Shinolaはデトロイトが本拠地です。「デトロイトは昔は自動車産業で栄えていたけれども、最近は少し元気がない街を洗練されたモノづくりで復興する」という街自体のストーリーを背景に、クオリティの高い製品を世に出しています。実店舗の内装もとても魅力的で、ついレザー製品を買ってしまいそうになりました(おりしもの円安で泣く泣くあきらめました)。入口では(アメリカーノではなく)薫り高いコーヒーを買えたり、「こんな家に住めたらいいよね」と思わせるような、くつろげる店内の様子でした。

第4位:「eSalon」(成長率200%,2014年の売上:約358億円)

アンケートに答えたり、自分の写真をアップロードすることで自分に似合うヘアカラーを発送してくれます。「専門家がヒアリングを行い、自分のために作ってくれる」という触れこみで、自社ECサイトの新しい価値を提供していると考えます。また、一口にヘアカラーと言えども、欧米とアジアなど、人種や体質によっても髪質が違うため、「パッケージ通りに染まらない…」というこれまでの消費者の悩みもあるのかと考えます。

第3位:「Dollar Shave Club」(成長率242.1%,2014年の売上:約776億円)

カミソリやシェービングクリームの定期販売。最も高価な商品でも$9(送料無料)なので$65Mも売り上げているのが単純にすごい。2014年後半から男性のトレンドは”lumbersexual(木こりのlumber+モードな洋服を着てスキンケアなどに気を遣うような男性のmetrosexual。少し前まではこれが主流でした。この2つの造語)”で、デニムやチェックシャツなど、モードからはちょっと離れたファッションへと変化し、顔はひげで覆われたようなラフさを前面に出すスタイルに変わったので、グルーミングキットの充実はあるのか、と一人気にしてます。

また、一部のアパレルではヒゲをデザインしてくれるスペースも提供していたので、ヒゲをどう整えるのかはこれから男性の課題となりそうです。

第2位:「The Men’s Wearhouse」<>(成長率251.1%,2014年の売上:2,574億円)

ECで購入した物は90日以内なら返品OK。会員になるとポイントシステムや送料無料サービス(しかも最低金額無し)など、サービスが充実しています。また、タキシードのレンタルも行っており、全米に広がる実店舗のネットワークで借りたり返したりする場所を自由に選べるようになっています。自分のサイズとカラー、そして郵便番号を入れると近くの実店舗の在庫を押さえ、実物を見て買い物できるサービスを開始。

第1位:「Blue Apron」(成長率550%,2014年の売上:約776億円)

初心者を表す「Blue Apron」を名前に付けたこのサービスは、初心者に向けた料理のレシピと食材を定期的に配送してくれます。2人のカップル向けもしくは4人家族向けのメニューから選択でき、「ベジタリアンかどうか」やある程度、「この食材は入れないで欲しい」という選択もできます。一週間の食材はカップル向けは3回分、ファミリー向けは2回分か4回分か選択が可能です。

次回はこのBlue Apronをピックアップして紹介したいと思います。

■出典

※1 :internet RETAILER「U.S. annual e-retail sales surpass $300 billion for the first time」
※2 :経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「平成 26 年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査) 」(pdf)

■シリーズ
【第1回】最新の海外EC事例が目白押し! のIRCE2015に参加しました
【第2回】アメリカのECサイトの成長率ベスト5は?(このページです)
【第3回】年間成長率が550%!Blue ApronってどんなECサイト?
【第4回】顧客中心の企業活動実現に必要な事とは?(事例:BOSCH)