知らないと損するネットショップ通販の集客方法:クーポン活用編

「クーポンって、割引券を渡すだけでしょ?」というイメージだけでは、単なる値引きになってしまって、価格競争まっしぐらです。
付け焼き刃で、場当たり的にクーポン発行をしていると、クーポンを出さなければ売れない、という悪循環にもなりかねません。

じゃあ値引きをしないのか?と言えば、確かにクーポン発行をして、やることは「値引き」です。ただ、そのクーポンを発行をして「値引き」をする「目的」と「意図」を持って、その先の展開までイメージしているかどうかが、非常に重要です。

その先の展開までイメージしているかどうかで、その後の売上の上昇具合や、売上の安定感がまったく変わってきます。

では、「クーポン発行」の「目的」と「意図」とは、どんなものがあるのか?
そして、その先の展開として何をイメージするのか?

このあたりを、「クーポン発行して、渡す」というシーンを「細分化」しながら、その活用ポイントをお伝えしていきます。

この記事を読み終わる頃には、「クーポンを発行して集客する」というザックリとしていたイメージが、具体的に細分化されて、先の展開を意図した戦略的なクーポン発行ができるようになります。

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ECサイトの「クーポン」とは

ECサイトのクーポンとは、販売促進や顧客獲得のために配布する割引券や商品券のことを指します。クーポンは、売上につなげる効果的なマーケティング施策の一つです。

クーポンは、集客や売上アップにつながりやすい代表的な施策ですが、むやみにクーポンを発行することで利益を削ってしまう可能性があります。

クーポン発行を活用するポイント

利益を削らずに、マーケティング効果を最大化するためには「クーポン発行を活用するポイント」を熟知しておくことが重要です。

ここでは具体的なポイントを項目別に紹介していきます。

売りたい商品を意図的に売る

例えばよく見かけるのは「10%OFFクーポン」として発行されているクーポンですが、このパターンで発行してしまうと、「どの商品を買っても良い」という状況になりますが、そこに少し意図を加えます。

在庫状況、売上目標への到達具合、ランキング狙いなど理由は様々ですが、「売りたい商品」が出てきたタイミングで、その商品群を売るために、特定の商品群に限定したクーポンを発行します。

この方法は、在庫処分の意図でも使えますし、売上目標まであともう少し、という時のカンフル剤としても使えます。

そしてランキング狙いの場合は、事前に「期間限定」を明示したクーポンを発行することで、特定の期間に、特定の商品の受注増加をさせることができます。

見事ランキング上位を獲得できた場合は、その実績を商品ページに掲載することで「売れてる感」を演出し、さらにそのランキング上昇に対する「ありがとうクーポン」を発行して、第2弾のキャンペーンを仕掛けることもできます。

自社ECサイトの場合は、ランキングはありませんが、独自ドメイン店舗内でのランキング上昇を「売れ筋No.1」としてアピールすることもできます。

参照:独自ドメイン店舗でのランキング機能

購入単価を引き上げる

既にネットショップ通販をされている場合、自店舗の平均購入単価を把握されているかと思います。この平均購入単価を、「クーポン活用」で引き上げることができます。通常時よりも数%の引き上げは、クーポン発行を工夫することで可能です。

その方法とは、クーポンの利用条件として「クーポン利用可能最低金額」を設定する方法です。

このクーポン利用可能最低金額の「設定金額の考え方」がポイントです。この最低金額を、通常時の平均購入単価よりも、少しだけ上げた金額で設定します。

すると、お客様は「クーポンの割引を利用したい」という動機で、もう1品、もうワンランク上の商品を選択することが多くなり、購入金額としてはアップしますが、クーポンで割引が適用されるので、いつもの予算と同等か、もしくは少しだけ上の購入単価で購入が完了していきます。

単純に「10%OFFクーポン」として発行するのではなく、上記のような意図を持ってクーポンを発行することで、購入単価の引き上げができます。

新規会員を獲得するツールとして使う

ネットショップで購入をする際に、必ず通過するのが、名前や住所の個人情報の入力画面。そこで「会員登録をするか、しないか」という選択を迫られます。

楽天市場やAmazonのようなモールと違い、自社ECサイトでは、また次回も同じ店で購入するかどうかわからない、という心理も働き、会員登録をしてもらえない場合も多くあります。

店舗側のスタンスとして、会員登録を積極的にしてほしいのか、会員登録はそれほど求めないか、という部分は、店舗毎の方針で考え方が分かれる所ですが、リピート率の向上・売上の安定化を考えるのであれば、会員登録はできるだけしてもらえる導線設計にしておくことが得策です。

なぜ会員登録をしてもらえるようにするのが得策なのか?

正確に言えば「会員登録」ではなく、「会員登録&メルマガ送信可」というお客様を増やす意識を持つ、ということです。「会員登録&メルマガ送信可」のお客様を増やすことで、店舗からのメッセージを発信できる層を広げていくことができます。

店舗からお客様へメッセージを発信できる手段を持ち、その範囲を拡大していくことは、リピート訪問・リピート購入を増加させ、売上の安定化を図る上で、非常に重要なポイントです。

『今さらメルマガ?開封率してクリックされるのは10%以下で、反応とれないよ。メルマガ読者を増やすってこと?そんなの時代遅れじゃない?』

その通りです。メルマガの反応は以前に比べれば落ちています。

しかし、ここが重要なポイントですが、売上を上げている店舗の多くは、積極的にメルマガを活用しています。

低い開封率・クリック率とはいえ、読んでいただいているお客様、クリックして店舗に再訪問していただいているお客様がいるのであれば、店舗側からプッシュできる数少ない手段の1つとして、メルマガはまだまだ活用できる手段です。

「メルマガを配信すれば、必ず売上が上がるとは限らないが、売上が上がっている店舗は、必ずメルマガを発行している」ともいえます。「必ず」メルマガを発行している、と言ってしまうと語弊がありますが、それほどにまだまだ使える手段だということです。

そしてメルマガの開封率・クリック率も、お客様の登録動機・普段の配信内容・配信周期・配信タイミングなどによって、まったく変わってきます。ここでメルマガの話をし始めると、クーポン活用から話が脱線しすぎるので、このあたりにしておきますが、重要なのは「待たれているメルマガ」になる、ということです。

会員登録を増やす方法

どうすれば、また来るかわからないお店で、会員登録をしてもらうのか?

あなたが実際にお買い物に行った時のことを思い出してみましょう。あなたは、旅行先のお店で「これを買おう」と決めて、レジに商品を持って行きました。

店員のお姉さんは、あなたに言います。

「会員登録をしてカードをお作りできますが、作りますか?」

あなたはカードを作りますか?

カードを作るには、申込用紙に名前や住所を記入する必要があるようです。

少し面倒そうですね。多くの人が断るのではないでしょうか?

独自ドメイン店舗の本店ネットショップは、これに近い状態とも考えられます。

欲しい商品を探していて、検索している中でたまたま出会ったお店は、お客様視点から見れば、旅行先の「また行くかわからない、たぶん行かないお店」と近い状態です。

旅行先の「また行くかわからない、たぶん行かないお店」で、会員登録用紙に、名前と住所を記入してもらうには、どうすれば良いのでしょうか?

では、レジのお姉さんのセリフを少し変えます。あなたが「これを買おう」と決めて、レジに商品を持って行きました。するとレジのお姉さんは、あなたにこう言いました。

「会員登録をしてカードを作っていただくと、500円引きになりますが、どうされますか?」

あなたはカードを作りますか?

この場合、急いでいる状況でなければ、多くの人が会員登録をすることになるでしょう。少しの手間で500円引きになるなら、会員登録用紙に名前や住所を書く、という選択をします。

つまり、お客様に会員登録をしたほうがメリットがある、と感じて頂ければ、「めんどくさいから、いいや」の壁を越えられます。そのメリットを感じて頂く手段として「クーポン」を活用していきます。(実を言えば、「ポイント付与」も同様に使えるので、「クーポン」か、「ポイント」か、いずれかを会員登録メリットとして活用していきます)

具体的にどうするのかというと、購入途中の「会員登録をするか、しないか」というタイミングの画面で、「会員登録をすると、今スグ使える500円OFFクーポンをお渡しします」と表記しておきます。

ここで「500円OFFクーポン付与」をお伝えすることで、会員登録を拒否するよりも、会員登録をしたほうが明らかにメリットがある、という状態になるので、会員登録を選択するお客様の比率が上昇します。

そもそも先ほどの旅行先の実店舗と少し違うのは、ネットショップの場合は、会員登録するかしないかに関わらず、購入する際には、名前・住所などの個人情報の入力が必ず必要になります。

その手間をかけていただく部分は必ず通過するのであれば、何もせずに「会員登録されない。店舗からの情報発信ができない。」という方向に流すのではなく、「会員登録される。店舗からの情報発信ができる。」というお客様を増やしていく方向に流れていくように、少し工夫をしておくほうが、お客様にとっても、店舗側にとってもメリットのある状態となります。

実際に、この「会員登録メリットを提示して、【会員登録&メルマガ可】のお客様を増やしていく」という方法により、会員登録数の増加から、リピート収益の安定化へとつなげている店舗も多数ありますので、売上の安定化には有効な手段と言えます。

お誕生日クーポンを発行する

「お誕生日おめでとうございます」と配信されてくるメールに、お誕生日クーポンを添えて送る、というのは常套手段ではありますが、常套手段であるということは、昔からある「有効な手段」ということ。

自分の場合を振り返っても、お誕生日の月は各所からメールが届いたり、DMが届いたりしますし、その割引率が通常時よりも高めになっていることに気づくと、購買へのきっかけにもなります。

普段からキャンペーン企画でクーポンを発行していく中で、通常時の割引率を刷り込んでおく。お誕生月は、通常時よりも少し高めの割引率でクーポンを出す。

お客様にとっては、1年に1度の「お誕生月」ですが、店舗側から見れば、「お誕生月」は毎月、1年で12回。

単なる「お誕生日クーポン」ではなく、事前の布石を打った上でのクーポン発行をすることで、意図的に「お誕生月」に購買が発生するように仕込んでおくことは有効です。

この考えは、お誕生日クーポンに限らず、うまく他にも展開できるかもしれません。

広告物の効果測定をする

これはDMや雑誌のキャンペーン等で、よく採用される手段ですが、クーポンコードを掲載しておくことで、その広告物からの反応を計測することができます。

コンビニで買うカフェラテやペットボトルにも、ペラっとめくるとクーポンコードが書いてあり、それをWEB上で入力するキャンペーンもよく見かけるかと思います。

大手企業のクーポンコードは、各商品毎に異なるクーポンコードを記載していることも多いですが、そこまでするのはなかなか難しいので、1つのクーポンコードで広告物の効果計測ができるように展開していきます。

特定の期間、特定の広告媒体に、特定のクーポンコードを利用する、という方法であれば、1つのクーポンコードで効果計測が可能となります。

具体的には、

  • 雑誌広告には、このクーポンコード
  • 今月送るDMには、このクーポンコード

というように、時期、媒体で分けて、クーポンコードを振り分けて掲載しておくことで、その反応率が計測できます。

オフライン媒体に限らず、PPC広告、アフィリエイト広告等のオンライン広告で集客した先のランディングページでも、Aパターン・Bパターンでクーポンコードを分けて、反応率を計測するという手段もあります。

前回の記事でお伝えした「同梱物」にクーポンコードを記載する方法もありますし、異なる種類の「同梱物」を作成して、クリエイティブのABテストを行うこともできます。

もちろん、メールで送るクーポンに関しても、複数のクーポンコードを発行して、配信対象を絞り込んで配信すれば、配信対象毎の反応率や、メール件名/本文のテスト・LPのテスト・キャッチコピーのテスト等の効果測定をしていくこともできます。

実店舗から、ネットショップへの誘導

「実店舗のクーポン」ですぐに連想してしまうのは、ホットペッパーや、ぐるなび等の飲食店クーポンです。ユニクロや、ツタヤでも「スマホクーポン」活用が広がり、お店でスマホの画面を見せればクーポン適用OK、という場面が増えています。

みんながみんなスマホクーポンかと思いきや、吉野家に行けばお会計時にクーポンを渡されたり、地元の商店はポスティングのチラシにクーポンを付けたり、紙媒体のフリーペーパーには、切り取れるクーポンが印刷されていたりもします。

アパレル系店舗での、スマホクーポン実体験

スマホクーポンも、紙のクーポンも、目的に応じてバランスよく活用していくことが必要ですが、ネットショップへの誘導を考えれば、スマホクーポンの活用は必須と言えるでしょうし、そのクーポンを取得していただく為の紙媒体も欠かせません。

アパレル系の店舗では、スマホクーポンの活用が目立ってきています。

メルマガで送られてきた情報の中に、クーポンに関する案内があり、そのページを開くと読み取り用のQRコードが表示されました。店頭ではレジ横の機械にQRコードを当てて「ピッ」と鳴れば、クーポン適用完了、という動線の引き方が一般的です。

あらゆる「接点」を意識するオムニチャネル戦略

実店舗に訪れているお客様と、ネットショップに訪れているお客様をつなぐO2O戦略(Online to Offline)、そして実店舗・イベント・スマートフォン・PC・タブレットといった「あらゆる場所」「あらゆる媒体」「あらゆる流入経路」すべてを「接点」として考えるオムニチャネル戦略。

「お店でお買い物をしたら、ネットショップで使える割引クーポンがもらえた」となれば、

お店で気になっていたもう1つのアノ服を、家に帰ってからも、迷って迷って、次の日も、次の日も気になって、ネットショップを見て、やっぱり気になってお店に行って、「よし、買っちゃえ。」ということもできます。

お店で買わない「ショールーミング」

「店舗では買わずに、家に帰ってからネット通販で購入する」という展開は、店舗がまるで「ショールーム」のような役割になっていることから「ショールーミング」と呼ばれます。

「実店舗で売れない」という現象を危惧する考えもありますが、ここまでスマートフォンやタブレット端末市場が拡大した段階では、むしろこの流れにいかに適用して、活用していく視点を持つかが重要です。

「ショールーミング」の流れを逆手にとって、実店舗をあえて「ショールーム」として考え、ショールーミング化に資金を投下するという流れも出てきています。

そして、クーポンでの相互送客だけでなく、ポイントの共通化を動機とした「実店舗とECサイトの会員情報の統合」は、今後、非常に注目すべき動向です。

「実店舗とECサイトの会員情報の統合」により実店舗では取得することが難しかったお客様のお名前・住所・電話番号等の属性情報を取得することができるようになり、「顧客の顕在化」が可能となります。

「顧客の顕在化」とは、これまでに購入された商品、来店頻度、居住地域、年齢、職業、ECサイトへの来店頻度など、これまで推測するしかなかったデータが顕在化して蓄積できるようになり、販促活動・企業戦略に活用されていくこととなります。

クーポンを渡すだけで終わらない

少し話が広がってしまったので、クーポン活用に話を戻しますが、クーポンでの販促を成功させるためには、クーポンを発行して「待っているだけ」の姿勢で終わらないことが重要です。

往々にして、人は広告や告知をスルーしています。

「クーポンを発行して、メールを1回送ったので、もう大丈夫。」

「同梱物にクーポンを入れたので、あとは待つだけ。」

この「待ち」の姿勢でも、確かにある程度の反応は取れますが、可能であれば、もう一歩踏み込んだ施策を打つことで、よりクーポン販促が成功へと近づきます。

  • メールでお知らせするだけでなく、同梱物にもクーポンを入れる。
  • 1度メールで告知しても反応が薄ければ、メールの件名や本文を変えて、2回目を送ってみる。
  • クーポンの期限が近づいたら、「もう少しで期限が切れますよ」とクーポン期限切れ間近メールを送る。
  • 同梱物を入れている場合は、優良顧客を絞り込んで、お電話をしてみる。

などなど、「待ち」の姿勢から、あと一歩踏み込んだ施策を絡めることで、反応率・利用率を高め、成果を上げていくことができます。

(※上記の施策は、futureshopのクーポン機能で実現できる内容をベースとして記載されています。)